Vol.3 退職金にかかる税金を計算しておこう
元橋好雄(税理士)
さまざまな退職金
退職金とは何と改めて聞かれて、「会社を定年退職したときに支給される金銭」だろうというぐらいはご存じでしょう。法的には、退職金は、退職手当や慰労金、一時恩給等、退職によって一時に受ける給与などを意味します。また、次に記載したものも退職金となります。
(1)厚生年金保険法、国民年金法、国家公務員共済組合法等の法律にもとづいて支払われる一時金
(2)退職したことにより厚生年金基金から支払われる一時金
(3)退職したことにより特定退職金共済団体から支払われる一時金
(4)労働基準法の規定により、予告なしに解雇される場合に支払われる予告手当
(5)確定給付企業年金法にもとづいて支払われる一時金
一方、退職を理由に支払われる退職金も、適格退職年金のように、その受け取り方に選択肢があるものもあります。その選択肢とは、一時金として受け取る方法、年金として受け取る方法や、それぞれを組み合わせて受け取る方法などさまざまです。
(1)厚生年金保険法、国民年金法、国家公務員共済組合法等の法律にもとづいて支払われる一時金
(2)退職したことにより厚生年金基金から支払われる一時金
(3)退職したことにより特定退職金共済団体から支払われる一時金
(4)労働基準法の規定により、予告なしに解雇される場合に支払われる予告手当
(5)確定給付企業年金法にもとづいて支払われる一時金
一方、退職を理由に支払われる退職金も、適格退職年金のように、その受け取り方に選択肢があるものもあります。その選択肢とは、一時金として受け取る方法、年金として受け取る方法や、それぞれを組み合わせて受け取る方法などさまざまです。
退職金にはどのくらい税金がかかるか
退職金と年金の税金計算の方法
退職金を受け取ったはよいものの、どのくらい税金がかかるかを知っている人は少ないでしょう。今後の人生設計のためにも,「えっ、こんなに税金で減ってしまうの?」と人生設計の変更を余儀なくされないように、しっかり手取りはどのくらいになるか把握しておくことは重要です。
計算の前に、「所得」と「収入」とを混同する場合が多いので、この言葉の意味を説明します。「収入」とはまさに実際に手にする金額です。もちろん、給与などのように源泉徴収されると実際の手取り額が減少するものもあります。このときは総支給額を「収入」と考えます。
一方、「所得」とは収入からその収入を得るために負担する経費を控除したものです。これを算式にすると次のようになります。
所得=収入金額−必要経費
このことを踏まえて、計算方法について説明します。所得税法上は、退職金に関する税金を給与所得、不動産所得、一時所得、事業所得、譲渡所得、配当所得等の税金から分離して「分離課税」という方法で計算するので、大幅な税負担の軽減が図られています。
しかし、前述した「年金」として受け取る方法を選択すると、これを「雑所得」と考え、給与所得、不動産所得、事業所得等と合算して「総合課税」という方法で税金の計算をします。その結果、雑所得以外の他の所得の金額の多少により、一時金で受け取るときに比べ、税負担に増減が生ずることがあります。
そこで、退職時には自分が加入している退職に関する給付制度が複数ある場合、一時金で受給する(退職所得となる)のか、年金で受給する(雑所得となる)のか、またはこれらを組み合わせて受給するかは、自分の退職時および退職後の財産(預貯金等)、債務(住宅ローン等)状況、家族の状況、ライフスタイル、再就職の有無などを勘案することが大切です。
計算の前に、「所得」と「収入」とを混同する場合が多いので、この言葉の意味を説明します。「収入」とはまさに実際に手にする金額です。もちろん、給与などのように源泉徴収されると実際の手取り額が減少するものもあります。このときは総支給額を「収入」と考えます。
一方、「所得」とは収入からその収入を得るために負担する経費を控除したものです。これを算式にすると次のようになります。
所得=収入金額−必要経費
このことを踏まえて、計算方法について説明します。所得税法上は、退職金に関する税金を給与所得、不動産所得、一時所得、事業所得、譲渡所得、配当所得等の税金から分離して「分離課税」という方法で計算するので、大幅な税負担の軽減が図られています。
しかし、前述した「年金」として受け取る方法を選択すると、これを「雑所得」と考え、給与所得、不動産所得、事業所得等と合算して「総合課税」という方法で税金の計算をします。その結果、雑所得以外の他の所得の金額の多少により、一時金で受け取るときに比べ、税負担に増減が生ずることがあります。
そこで、退職時には自分が加入している退職に関する給付制度が複数ある場合、一時金で受給する(退職所得となる)のか、年金で受給する(雑所得となる)のか、またはこれらを組み合わせて受給するかは、自分の退職時および退職後の財産(預貯金等)、債務(住宅ローン等)状況、家族の状況、ライフスタイル、再就職の有無などを勘案することが大切です。
退職金に関する税金
退職金に関する税金には、(1)所得税と(2)住民税があります。
(1)所得税:原則として支払者(会社など)が源泉徴収して税務署に納付するので、受給者は何もしなくてよいということになります。
(2)住民税:原則として支払者(会社など)が源泉徴収して市区町村に納付するので、受給者は何もしなくてよいということとなります。
それでは、ここで退職金に関する基本的な税額計算の仕方を説明します。
退職所得=(収入金額−退職所得控除額)×1/2
算式中の退職所得控除額は、次の表1を利用して計算します。
表1 退職所得控除額
(1)所得税:原則として支払者(会社など)が源泉徴収して税務署に納付するので、受給者は何もしなくてよいということになります。
(2)住民税:原則として支払者(会社など)が源泉徴収して市区町村に納付するので、受給者は何もしなくてよいということとなります。
それでは、ここで退職金に関する基本的な税額計算の仕方を説明します。
退職所得=(収入金額−退職所得控除額)×1/2
算式中の退職所得控除額は、次の表1を利用して計算します。
表1 退職所得控除額
つぎに、算出された退職所得の金額を次の表2を利用して計算します。
ちなみに、住民税は、定率で10%ですが、減額措置がありますので10%割引となり、結果9%の負担で済みます。
表2 所得税額の速算表
ちなみに、住民税は、定率で10%ですが、減額措置がありますので10%割引となり、結果9%の負担で済みます。
表2 所得税額の速算表
具体的な計算
(1)まず退職所得の計算をします。
[2,600万円−{70万円×(35年−20年)+800万円}]×1/2
=(2,600万円−1,850万円)×1/2
=375万円
(2)次に税額の計算をします。
375万円×20%−427,500円=322,500円
(3)最後に住民税の計算をします。
375万円×10%×90%(減額措置・10%割引)=337,500円
(4)手取り額
2,600万円−322,500円(2)−337,500(3)
=25,340,000円
[2,600万円−{70万円×(35年−20年)+800万円}]×1/2
=(2,600万円−1,850万円)×1/2
=375万円
(2)次に税額の計算をします。
375万円×20%−427,500円=322,500円
(3)最後に住民税の計算をします。
375万円×10%×90%(減額措置・10%割引)=337,500円
(4)手取り額
2,600万円−322,500円(2)−337,500(3)
=25,340,000円
確定申告が必要な場合
これまでの説明のように、所得税も住民税も源泉徴収により納税しますが、次に説明する事項に該当するときは申告・納税(還付のときもあります)をする必要があります。なお、所得税の申告・納付は、退職金を受給した年の翌年の2月16日から3月15日までにします。
(1)源泉税が徴収不足となっている場合
(2)他の種類の所得に損失が生じているとき
(3)年の中途で退職し、その後給与収入がない場合
(4)年の中途で退職し、その後給与収入があるが、年末調整を実施していない場合
(5)その他
また、「年金」での受給を選択した者は、受給期間中は「雑所得」として他の所得との「総合課税」となるので、毎年、申告納税が必要か否かを計算しなければなりません。
(1)源泉税が徴収不足となっている場合
(2)他の種類の所得に損失が生じているとき
(3)年の中途で退職し、その後給与収入がない場合
(4)年の中途で退職し、その後給与収入があるが、年末調整を実施していない場合
(5)その他
また、「年金」での受給を選択した者は、受給期間中は「雑所得」として他の所得との「総合課税」となるので、毎年、申告納税が必要か否かを計算しなければなりません。
まとめ
退職金や年金は、退職後の大切な生活資金となるので、各人が税金の負担と生活資金の流れ(キャッシュフロー)をうまくバランスをとり、安定した生活設計が組めるよう、じっくり研究されることをお勧めします。なお、以上は平成19年3月31日現在の法令により説明しているので、その後の税制改正にはご注意下さい。
(2007年5月17日)