第56回 山と旧街道(下)
旧東海道の薩埵峠
さらに、皆さんにおすすめの旧街道を二つご紹介しましょう。
一つ目は、旧東海道の薩埵峠(さった)峠です。静岡市清水区と由比町にまたがる薩埵山(標高244メートル)の峠です。冬場の荒波と強風で危険な駿河湾の海岸線を歩くのを避け、山側を迂回する峠道です。しかし、その地形が幸いし、これに代わる国道や高速道路が海岸線に設けられたおかげで、歌川(安藤)広重の浮世絵「東海道五十三次・由比」そのままに往時をとどめています。正面に富士山、足元に駿河湾を従えた光景はまさに絶景です。
コースは2つあります。一つは、静岡側のJR興津(おきつ)駅から国道沿いの旧街道を歩き、興津川の左岸に沿い、瑞泉(ずいせん)寺を右に巻くように右折し、墓地の間を抜けて狭い峠道を登っていくものです。もう一つは、三島側のJR由比駅から宿場町の面影を残す町並みやミカン、ビワ畑が続く旧街道に沿い、ゆっくり登っていくコースです。
歩行時間は、前者は2時間、後者は1時間ほどですが、昼食に由比名物の桜エビを味わえば旅情もひとしおでしょう。
一つ目は、旧東海道の薩埵峠(さった)峠です。静岡市清水区と由比町にまたがる薩埵山(標高244メートル)の峠です。冬場の荒波と強風で危険な駿河湾の海岸線を歩くのを避け、山側を迂回する峠道です。しかし、その地形が幸いし、これに代わる国道や高速道路が海岸線に設けられたおかげで、歌川(安藤)広重の浮世絵「東海道五十三次・由比」そのままに往時をとどめています。正面に富士山、足元に駿河湾を従えた光景はまさに絶景です。
コースは2つあります。一つは、静岡側のJR興津(おきつ)駅から国道沿いの旧街道を歩き、興津川の左岸に沿い、瑞泉(ずいせん)寺を右に巻くように右折し、墓地の間を抜けて狭い峠道を登っていくものです。もう一つは、三島側のJR由比駅から宿場町の面影を残す町並みやミカン、ビワ畑が続く旧街道に沿い、ゆっくり登っていくコースです。
歩行時間は、前者は2時間、後者は1時間ほどですが、昼食に由比名物の桜エビを味わえば旅情もひとしおでしょう。
旧中仙(山)道の軽井沢
二つ目は、旧中仙(山)道の軽井沢です。軽井沢は、ご存知のとおり、浅間山(2568メートル)がそびえる高原の町です。
東海道(江戸・日本橋〜京都・三条大橋)の“裏街道”として開かれた中仙道の宿場町のなかでも、大いに栄えたところです。国道や上信越自動車道が開かれただけでなく、国際的なリゾート地として知られるようになったため、すっかり観光地化しており、夏場のJR軽井沢駅から旧軽銀座にかけては、その名のとおり、銀座が引っ越してきたかのようなにぎわいです。
ショーの教会(ショーハウス)の前から二手橋を経て右折し、「碓氷峠遊覧歩道」をたどって碓氷峠へと向かう旧道は森閑としており、もう一つの軽井沢を発見すること間違いなしです。頂上の見晴台は、浅間山や妙義山(1104メートル)、高崎市の町並みまで見渡せます。
歩行時間はJR軽井沢駅から1時間ほどですが、峠の茶屋で名物の「力餅(もち)」に舌鼓を打てば、当時の旅人が一息ついた心境に浸ることができます。
次回は、リクエストの多い「登山用品の選び方」についてお話ししましょう。
東海道(江戸・日本橋〜京都・三条大橋)の“裏街道”として開かれた中仙道の宿場町のなかでも、大いに栄えたところです。国道や上信越自動車道が開かれただけでなく、国際的なリゾート地として知られるようになったため、すっかり観光地化しており、夏場のJR軽井沢駅から旧軽銀座にかけては、その名のとおり、銀座が引っ越してきたかのようなにぎわいです。
ショーの教会(ショーハウス)の前から二手橋を経て右折し、「碓氷峠遊覧歩道」をたどって碓氷峠へと向かう旧道は森閑としており、もう一つの軽井沢を発見すること間違いなしです。頂上の見晴台は、浅間山や妙義山(1104メートル)、高崎市の町並みまで見渡せます。
歩行時間はJR軽井沢駅から1時間ほどですが、峠の茶屋で名物の「力餅(もち)」に舌鼓を打てば、当時の旅人が一息ついた心境に浸ることができます。
次回は、リクエストの多い「登山用品の選び方」についてお話ししましょう。