第52回 山とバリアフリー(下)
バリアフリーの山や高原
さて、バリアフリーの山や高原をご紹介しましょう。
一つは、神戸市の六甲山(標高931メートル)のコースです。神戸在住の山歩き愛好家の中には、毎朝、通勤前に自宅から1〜2時間かけて六甲山に登り、異国情緒あふれる港町・神戸を眺めたあと、大満足してから職場に向かう人もいるというほど人気があります。そこで、いつしか「毎日登山」といわれるようになり、神戸や大阪などに在住している外国人にも知られるようになりました。
数ある登山道のうち、いくつかは、車椅子でも登ることができるよう、ゆるやかにコンクリートで舗装してあります。このような試みは、神戸市が「福祉のまちづくり」に先進的に取り組んでいる一端を示すものでしょう。
一方、福島県の磐梯山(1819メートル)の麓にある「休暇村磐梯高原」も、遊歩道の一部をコンクリートで舗装し、車椅子でも1時間程度で、裏磐梯高原の散策や自然観察が楽しめるよう、配慮されています。一汗かいたら日帰り温泉につかることもでき、“知る人ぞ知る”人にやさしい公共の宿です。
温泉といえば、群馬県の草津温泉の歩道の一部もゆるやかなスロープに舗装されています。
一つは、神戸市の六甲山(標高931メートル)のコースです。神戸在住の山歩き愛好家の中には、毎朝、通勤前に自宅から1〜2時間かけて六甲山に登り、異国情緒あふれる港町・神戸を眺めたあと、大満足してから職場に向かう人もいるというほど人気があります。そこで、いつしか「毎日登山」といわれるようになり、神戸や大阪などに在住している外国人にも知られるようになりました。
数ある登山道のうち、いくつかは、車椅子でも登ることができるよう、ゆるやかにコンクリートで舗装してあります。このような試みは、神戸市が「福祉のまちづくり」に先進的に取り組んでいる一端を示すものでしょう。
一方、福島県の磐梯山(1819メートル)の麓にある「休暇村磐梯高原」も、遊歩道の一部をコンクリートで舗装し、車椅子でも1時間程度で、裏磐梯高原の散策や自然観察が楽しめるよう、配慮されています。一汗かいたら日帰り温泉につかることもでき、“知る人ぞ知る”人にやさしい公共の宿です。
温泉といえば、群馬県の草津温泉の歩道の一部もゆるやかなスロープに舗装されています。
“心のバリアフリー”で協力も
もちろん、このようなインフラの整備も必要ですが、だからといって、「地域活性化」という美名を掲げ、無計画にロープウエーやケーブルカー、山岳ドライブウエー、高原バス道路などを建設することは、あまりにも問題が多すぎます。いくら山歩きの好きな高齢者や障がい者のためとはいえ、いったん、自然破壊をしようものなら生態系が壊れ、二度と復旧はできません。また、仮にできるとしても数百年という長い歳月がかかり、後世に禍根を残してしまうことになりかねません。そこに、山とバリアフリーの難しい問題があるように思われます。
しかし、たとえバリアのままであっても、関係者の知恵と協力によって高齢者や障がい者を希望する山や高原に案内し、感動をとともにすることはできます。つまり、“心のバリアフリー”です。
たとえば、大阪のある社会人山岳会では、毎年、「一生のうちに一度でいいから富士山に登りたい」という障がい者の願いに、五合目までは車で、その後は交代で車椅子ごと持ち上げて一緒に富士登山をし、その夢を果たしています。
筆者も以前、三重県の全盲の鍼灸師の御嶽(岳)山(3067メートル)登山に同行し、道案内に協力させていただきました。また、社会福祉協議会の職員やボランティアの有志とともに、視察先の中国で万里の長城を見物する際、東京から一緒に行った障がい者の方の車椅子を押したりするお手伝いしたこともありますが、いずれも多くの示唆を受けました。
次回は「マイカー登山」についてお話ししましょう。
しかし、たとえバリアのままであっても、関係者の知恵と協力によって高齢者や障がい者を希望する山や高原に案内し、感動をとともにすることはできます。つまり、“心のバリアフリー”です。
たとえば、大阪のある社会人山岳会では、毎年、「一生のうちに一度でいいから富士山に登りたい」という障がい者の願いに、五合目までは車で、その後は交代で車椅子ごと持ち上げて一緒に富士登山をし、その夢を果たしています。
筆者も以前、三重県の全盲の鍼灸師の御嶽(岳)山(3067メートル)登山に同行し、道案内に協力させていただきました。また、社会福祉協議会の職員やボランティアの有志とともに、視察先の中国で万里の長城を見物する際、東京から一緒に行った障がい者の方の車椅子を押したりするお手伝いしたこともありますが、いずれも多くの示唆を受けました。
次回は「マイカー登山」についてお話ししましょう。