第54回　マイカー登山（下）

　山岳道路のなかでも、かつて筆者が利用したおすすめのコースをいくつかご紹介しましょう。
　まずは、大人気の日本最高峰の富士山（標高3776メートル）を登る「富士スバルライン」です。全長約30キロで、夏山シーズンなら山梨県の富士河口湖町から五合目（2305メートル）まで一気に登り、そこから七〜八合目まで歩いて山小屋に一泊。そして、早朝に頂上をめざせばご来光を拝むことができます。
　一方、石川県白山市と岐阜県白川村を結ぶ「白山スーパー林道」は全長約33.3キロの白山（2702メートル）に登る最高の山岳道路です。ちなみに、この二つの山岳道路は有料です。
　無料のところなら、奈良県上北山村から川上村まで全長約20キロの「大台ヶ原ドライブウェイ」（1690メートル）でしょう。大峰山脈を眺められ、大台ヶ原山（日出ヶ岳；2541メートル）の登山に格好のコースです。
　このほか、岐阜県高山市郊外の平湯（ひらゆ）峠から北アルプスの乗鞍岳（3026メートル）の頂上直下の畳平（たたみだいら；2700メートル）まで続く、全長約33キロの「乗鞍スカイライン」もあります。
　一方、同じ北アルプスの立山（雄山（おやま）；3003メートル）の中腹を縫う立山黒部アルペンルート」のうち、全長約23キロの「立山高原バス道路（約2500メートル）はマイカー規制されていますので、ご注意下さい。

　変わったところでは、栃木県日光市から長野県小諸市まで（注：栃木県宇都宮市〜長野県上田市間をいう場合もある）の「日本ロマンチック街道」でしょう。ドイツの「ロマンチック街道」をヒントにした一般国道の別称で、全長も約200キロのスケールです。
　しかも、沿道には日光の男体山（2486メートル）や尾瀬（約2000メートル）、谷川岳（1977メートル）、四阿山（あづまやさん；2354メートル）、浅間山（2568メートル）などの関東の名山や、吾妻（あがつま）渓谷など観光名所が目白押しで、“マイカー登山の宝庫”といっても過言ではないでしょう。
　もちろん、初心者にもおすすめのコースもあります。
　その一つが浅間山（2568メートル）の前山の小浅間山（こあさまやま；1655メートル）で、峰ノ茶屋のある駐車場に車を止め、そこから歩いても１時間半ほどで頂上にたどり着けます。そこから仰いだ「大浅間」といわれる浅間山はすっくと立ち尽くして圧巻、絶好のシャッターポイントとなっています。
　ただし、一般道とはいえ、冬場は積雪や道路の凍結もありますので、運転には十分な注意が必要です。
　次回は「山と旧街道」についてお話ししましょう。