第35回 山と湿原(上)
湿原の意味と種類
山歩きを楽しんでいると、湿原に出くわすことがよくあります。なかにはこの湿原にこだわって歩く愛好家も少なくありません。
コケに覆われた湿源のあちこちに四季折々の草花が咲き乱れ、昆虫や小魚なども生息しています。動植物の愛らしい姿は、しばし心を癒してくれる“オアシス”となります。
湿原とは、その名のとおり、水分が多く、水辺が一定程度に広がっている所をいいます。地域によっては「谷地」とか、「田代(田地)」、「ガキ田(地塘)」などと呼ばれているところもあります。
いずれにしても、湿原は、湖沼や潟などがいつの間にか堆積物で埋まって陸地化し、その後、長い年月を経て草原になっているものです。
生態学的には、植生の枯れ死と堆積を繰り返しながら低層から中層、さらには高層へと変わっていくため、その形状により、これらの三つの湿原に分類されています。
コケに覆われた湿源のあちこちに四季折々の草花が咲き乱れ、昆虫や小魚なども生息しています。動植物の愛らしい姿は、しばし心を癒してくれる“オアシス”となります。
湿原とは、その名のとおり、水分が多く、水辺が一定程度に広がっている所をいいます。地域によっては「谷地」とか、「田代(田地)」、「ガキ田(地塘)」などと呼ばれているところもあります。
いずれにしても、湿原は、湖沼や潟などがいつの間にか堆積物で埋まって陸地化し、その後、長い年月を経て草原になっているものです。
生態学的には、植生の枯れ死と堆積を繰り返しながら低層から中層、さらには高層へと変わっていくため、その形状により、これらの三つの湿原に分類されています。
湿原の保護運動
もう少し厳密にお話しすると、湿原とは底の地表が平坦で、しかも水面まで冠水している状態をいいます。また、栄養的にはどちらかというと富栄養化となっていることが多く、ヨシやガマ、スゲなどの群落な草花が育つ傾向にあります。
これらの草花は地下水で涵養されているため、このような生態系を少しでもおびやかすような周囲の開発は禁物です。開発によって地下水が変化して草花が変質したり、減少したりしてしまいます。ひどい場合、湿原が消失してしまうおそれさえあります。
そういえば、高度経済成長期、群馬、福島、新潟の三県にまたがる尾瀬ヶ原の周囲にスーパー林道の造成が計画されました。
しかし、このような開発は、観光バスやマイカーを利用した観光客が大挙して押し寄せることにつながります。そこで、地元の山小屋の経営者やハイカーなど多くの関係者は、彼らが湿原に勝手に踏み込み、貴重な草花、とくに高山植物の植生をおびやしかねないと、反対運動を展開したほか、時の大石武一環境長官もその先頭に立ち、これを阻止したことは有名な話です。
これらの草花は地下水で涵養されているため、このような生態系を少しでもおびやかすような周囲の開発は禁物です。開発によって地下水が変化して草花が変質したり、減少したりしてしまいます。ひどい場合、湿原が消失してしまうおそれさえあります。
そういえば、高度経済成長期、群馬、福島、新潟の三県にまたがる尾瀬ヶ原の周囲にスーパー林道の造成が計画されました。
しかし、このような開発は、観光バスやマイカーを利用した観光客が大挙して押し寄せることにつながります。そこで、地元の山小屋の経営者やハイカーなど多くの関係者は、彼らが湿原に勝手に踏み込み、貴重な草花、とくに高山植物の植生をおびやしかねないと、反対運動を展開したほか、時の大石武一環境長官もその先頭に立ち、これを阻止したことは有名な話です。