第26回 山と絵画
その魅力と楽しみ方
前回までは、テント泊や積雪期の山歩きなどハードな話でしたので、今回からはまたソフトな話に戻り、その手始めに山と絵画についてお話しましょう。
実は、筆者は小・中学校時代、習字とともに水彩画が得意で、学校の代表として各地に絵を描きに出かけて賞状をいただいたことがあります。もっとも、高校に進学してからは、「やはりスポーツを楽しみたい」と柔道を始めたため、絵画との縁は後にも先にもそれっきりとなっていました。それ以来、うん十年が過ぎたころ、「リタイアしたら山歩きだけでなく、山の油彩画(油絵)をもう一度始められれば」と思い、キャンバスなどを買い求めました。
しかし、それすらもう十年も前のことです。こんなわけで、意思が弱いことこのうえなく、とても「山と絵画」についてお話しする資格などはないかもしれませんが、素人なりにその魅力や楽しみ方などを述べてみたいと思います。
まず、山の絵画の一番の魅力は、水彩画でも、油彩画(油絵)でも、写真とは違い、画材やそれに対する自分の思いを自由に選び、キャンバスに込めることができることのように思われます。また、自分の好きな山を眺めながら、さまざまな思いを馳せる楽しみもあります。
「ふるさとの山に向ひて言うことなし
ふるさとの山はありがたきかな」
漂泊の詩人といわれる石川啄木ではありませんが、絵画に山を思う気持ちを込めることも、もう一つの山歩きの楽しみではないでしょうか。
実は、筆者は小・中学校時代、習字とともに水彩画が得意で、学校の代表として各地に絵を描きに出かけて賞状をいただいたことがあります。もっとも、高校に進学してからは、「やはりスポーツを楽しみたい」と柔道を始めたため、絵画との縁は後にも先にもそれっきりとなっていました。それ以来、うん十年が過ぎたころ、「リタイアしたら山歩きだけでなく、山の油彩画(油絵)をもう一度始められれば」と思い、キャンバスなどを買い求めました。
しかし、それすらもう十年も前のことです。こんなわけで、意思が弱いことこのうえなく、とても「山と絵画」についてお話しする資格などはないかもしれませんが、素人なりにその魅力や楽しみ方などを述べてみたいと思います。
まず、山の絵画の一番の魅力は、水彩画でも、油彩画(油絵)でも、写真とは違い、画材やそれに対する自分の思いを自由に選び、キャンバスに込めることができることのように思われます。また、自分の好きな山を眺めながら、さまざまな思いを馳せる楽しみもあります。
「ふるさとの山に向ひて言うことなし
ふるさとの山はありがたきかな」
漂泊の詩人といわれる石川啄木ではありませんが、絵画に山を思う気持ちを込めることも、もう一つの山歩きの楽しみではないでしょうか。
「耳学問」的うんちく話
絵と絵画の違いは、図像一般を指す前者に対し、後者は視覚的な芸術の一つで、山の絵画というとつい身構えてしまいがちです。
しかし、アクティブシニアが山の絵画を楽しむとき、実際にキャンバスに向かって絵筆をとるか、もっぱら鑑賞にまわるかは各自の自由です。しかし、少なくとも絵画という以上、できれば専門家に指導してもらえると、基礎から学べるうえに仲間ができて、作品を発表するチャンスも増えます。
最近では新聞社やテレビ局のほか、専修学校なども地元の日展の入賞者や美術系大学の教授、大学院生を講師に、広く絵画教室の受講生を募集しているほか、自治体の広報紙やミニコミ誌(紙)などで愛好家による趣味のサークル活動の参加者を募集しているので、好みに応じて上手に活用するといいでしょう。
初めからいきなり油彩画(油絵)にチャレンジするよりは、手軽なスケッチや水彩画、水墨画から始めてはいかがでしょうか。道具も画用紙やスケッチブックを買えば十分でしょう。絵筆も、町の文房具店や100円ショップで手に入れられるようなもので結構だと思います。
ただ、山の絵画は写真と同様に、まずは自分が一番好きな山や思い入れのある山にできるだけ絞り、四季折々の姿を描いてみてはいかがでしょうか。同じ山でも四季の移ろいが感じられ、その時々の自分の感情なども表現できるため、面白みも違ってくるのではないでしょうか。ちなみに私のふるさとの山は富士山ですが、最も身近な山は浅間山で、いつ行っても表情が違うため、そのたびに心が躍ります。
しかし、アクティブシニアが山の絵画を楽しむとき、実際にキャンバスに向かって絵筆をとるか、もっぱら鑑賞にまわるかは各自の自由です。しかし、少なくとも絵画という以上、できれば専門家に指導してもらえると、基礎から学べるうえに仲間ができて、作品を発表するチャンスも増えます。
最近では新聞社やテレビ局のほか、専修学校なども地元の日展の入賞者や美術系大学の教授、大学院生を講師に、広く絵画教室の受講生を募集しているほか、自治体の広報紙やミニコミ誌(紙)などで愛好家による趣味のサークル活動の参加者を募集しているので、好みに応じて上手に活用するといいでしょう。
初めからいきなり油彩画(油絵)にチャレンジするよりは、手軽なスケッチや水彩画、水墨画から始めてはいかがでしょうか。道具も画用紙やスケッチブックを買えば十分でしょう。絵筆も、町の文房具店や100円ショップで手に入れられるようなもので結構だと思います。
ただ、山の絵画は写真と同様に、まずは自分が一番好きな山や思い入れのある山にできるだけ絞り、四季折々の姿を描いてみてはいかがでしょうか。同じ山でも四季の移ろいが感じられ、その時々の自分の感情なども表現できるため、面白みも違ってくるのではないでしょうか。ちなみに私のふるさとの山は富士山ですが、最も身近な山は浅間山で、いつ行っても表情が違うため、そのたびに心が躍ります。
美術館などのご案内
なお、各地で展覧会が開かれているため、地元の美術館やデパート、スーパー、ギャラリーなどで山の絵画を鑑賞できるかもしれません。これらの情報は、新聞の美術欄やテレビの美術館めぐりの番組などでチェックできます。
また、著名な画家の出身地やゆかりの地には、個人の美術館や記念館、資料館が設けられている場合もあります。そこで、山歩きや旅行の計画を立てる際、あらかじめインターネットやガイドブック、専門書などで調べて予定に入れるといいでしょう。
たとえば、富士山を多く描いた横山大観の記念館は東京・上野にあり、生前、住んでいた静岡県・熱海の別荘の一部を復元し、遺族が寄贈した遺品などとともに展示されています。また、中国・チベットやシルクロードなど多くの作品で知られる平山郁夫の美術館は、ふるさとの広島県瀬戸田町(現・尾道市瀬戸田町)にありますが、長野県佐久市の佐久市立近代美術館にもその一部が展示されています。
海外では、ふるさとの南フランス、エクス・アン・プロバンス近郊にたたずむサント・ヴィクトワール山の作品で知られるセザンヌの場合、アメリカのフィラデルフィア美術館で見られますが、わが国にも時々出展されるため、情報に注意していれば、日本に居ながらにして名画を鑑賞できます。また、南欧方面に旅行する機会があれば現地を訪れるのもいいでしょう。
次回は「山とまちおこし」についてお伝えします。
また、著名な画家の出身地やゆかりの地には、個人の美術館や記念館、資料館が設けられている場合もあります。そこで、山歩きや旅行の計画を立てる際、あらかじめインターネットやガイドブック、専門書などで調べて予定に入れるといいでしょう。
たとえば、富士山を多く描いた横山大観の記念館は東京・上野にあり、生前、住んでいた静岡県・熱海の別荘の一部を復元し、遺族が寄贈した遺品などとともに展示されています。また、中国・チベットやシルクロードなど多くの作品で知られる平山郁夫の美術館は、ふるさとの広島県瀬戸田町(現・尾道市瀬戸田町)にありますが、長野県佐久市の佐久市立近代美術館にもその一部が展示されています。
海外では、ふるさとの南フランス、エクス・アン・プロバンス近郊にたたずむサント・ヴィクトワール山の作品で知られるセザンヌの場合、アメリカのフィラデルフィア美術館で見られますが、わが国にも時々出展されるため、情報に注意していれば、日本に居ながらにして名画を鑑賞できます。また、南欧方面に旅行する機会があれば現地を訪れるのもいいでしょう。
次回は「山とまちおこし」についてお伝えします。