第23回 山小屋の利用
安全登山のためには山小屋も
さて、ここしばらくは山歩きの楽しみ方についていろいろお話をしてきたので、この辺で、また、山歩きの技術に話を戻しましょう。
山歩きを始めてそのおもしろさが増してくると、より高く、深く、大自然のふところに抱かれたいという欲が出てくるのが人情です。そうなると日帰りでは時間の制約があるため、どうしても泊まりがけとならざるを得ませんが、それに応じて技術もより専門的で、かつ高度なものが必要となってきます。
その一つに山小屋を利用しての山歩きがあるので、今回はこの山小屋についてお話しましょう。
そこで、思い出すのは、筆者が山歩きを始めたころ、「山小屋など使わず、テントや食料などをすべて担いで行け」、あるいは「山小屋があるから、だれでも安易に登山を始めて遭難するんだ。山小屋なんか全部撤去しろ。遭難を防ぐにはそれに尽きる」と、叱責してくれた先輩たちの言葉です。
確かに、山小屋があるからといって、それに頼りすぎて山小屋任せ、他人任せで行動しては登山の技術は上達しません。それは、これまで仲間や後輩のなかで何人かが遭難死したり、遭難騒ぎを起こしたりしたこと、さらにはちょっとしたトラブルに巻き込まれた筆者の経験から考えても、決して間違ってはいません。
そのような諸々のことを理解したうえで、初心者だからこそ何よりも安全登山に徹しようとすれば、山小屋の存在もあながち否定はできないでしょう。まして大衆登山化し、アクティブシニア世代の山歩きの愛好者が増えている昨今を考えれば、せめて山小屋の利用にあたっては最低限のマナーとルールを守ったうえで、山歩きをいっそう楽しいものにしたいものです。それも、山小屋の主(あるじ)と歓談できれば最高です。
山歩きを始めてそのおもしろさが増してくると、より高く、深く、大自然のふところに抱かれたいという欲が出てくるのが人情です。そうなると日帰りでは時間の制約があるため、どうしても泊まりがけとならざるを得ませんが、それに応じて技術もより専門的で、かつ高度なものが必要となってきます。
その一つに山小屋を利用しての山歩きがあるので、今回はこの山小屋についてお話しましょう。
そこで、思い出すのは、筆者が山歩きを始めたころ、「山小屋など使わず、テントや食料などをすべて担いで行け」、あるいは「山小屋があるから、だれでも安易に登山を始めて遭難するんだ。山小屋なんか全部撤去しろ。遭難を防ぐにはそれに尽きる」と、叱責してくれた先輩たちの言葉です。
確かに、山小屋があるからといって、それに頼りすぎて山小屋任せ、他人任せで行動しては登山の技術は上達しません。それは、これまで仲間や後輩のなかで何人かが遭難死したり、遭難騒ぎを起こしたりしたこと、さらにはちょっとしたトラブルに巻き込まれた筆者の経験から考えても、決して間違ってはいません。
そのような諸々のことを理解したうえで、初心者だからこそ何よりも安全登山に徹しようとすれば、山小屋の存在もあながち否定はできないでしょう。まして大衆登山化し、アクティブシニア世代の山歩きの愛好者が増えている昨今を考えれば、せめて山小屋の利用にあたっては最低限のマナーとルールを守ったうえで、山歩きをいっそう楽しいものにしたいものです。それも、山小屋の主(あるじ)と歓談できれば最高です。
山小屋の上手な利用法
次に、その山小屋の利用方法ですが、一口に山小屋といっても、実は営業小屋と避難小屋の二つがあります。
まず営業小屋は、従業員が住み込んでいて、訪れた人たちに対し、宿泊や食事などの世話を有料で行う山小屋です。そこで、営業小屋を利用する場合、必ず予約をしますが、その際、人数や食事の要否、すなわち、素泊まりか、朝・夕食付きか、それとも夕食のみかを告げます。
また、このとき、おおよその到着時間もいいますが、季節に関係なく、遅くとも午後3〜4時には到着するようにします。天候の悪化で計画を中止する場合、電話で事情を話してキャンセルします。
到着後、受付を済ませて利用料を支払ったのち、夕・朝食の時間や寝床、または部屋、トイレの場所、飲み水は有料か無料か、また、衣類の乾燥は可能かどうかを確認したら、靴に名札をつけて所定の場所に置いて移動します。そして、翌朝、すぐに行動を開始できるよう、装備を整えて枕元か足元に置き、夜中にトイレなどで起きたりする他の登山者の迷惑にならないようにするとともに、飲み水の確保に努めます。また、夕食はさっさと済ませ、明日に備えて午後8〜9時には就寝しますが、朝食後はトイレが込み合うため、できればその日のうちに済ませましょう。
一方、避難小屋は無人で、従業員などはいないため、宿泊は無料な代わりに、食事などはすべて自前でまかなわなくてはいけません。このため、計画の段階で仲間と食料や炊事、清掃などの役割を決めておき、出発前、次に利用する登山者のためにも整理・整頓に努め、掃除もきちんと済ませます。もちろん、ゴミは持ち帰りますが、所定の場所で燃やすことができる物は燃やします。
また、他のパーティと一緒になったら、「一宿一飯」の仁義(?)を切って交流しますが、互いの計画によって行動が異なればそれも控えましょう。
まず営業小屋は、従業員が住み込んでいて、訪れた人たちに対し、宿泊や食事などの世話を有料で行う山小屋です。そこで、営業小屋を利用する場合、必ず予約をしますが、その際、人数や食事の要否、すなわち、素泊まりか、朝・夕食付きか、それとも夕食のみかを告げます。
また、このとき、おおよその到着時間もいいますが、季節に関係なく、遅くとも午後3〜4時には到着するようにします。天候の悪化で計画を中止する場合、電話で事情を話してキャンセルします。
到着後、受付を済ませて利用料を支払ったのち、夕・朝食の時間や寝床、または部屋、トイレの場所、飲み水は有料か無料か、また、衣類の乾燥は可能かどうかを確認したら、靴に名札をつけて所定の場所に置いて移動します。そして、翌朝、すぐに行動を開始できるよう、装備を整えて枕元か足元に置き、夜中にトイレなどで起きたりする他の登山者の迷惑にならないようにするとともに、飲み水の確保に努めます。また、夕食はさっさと済ませ、明日に備えて午後8〜9時には就寝しますが、朝食後はトイレが込み合うため、できればその日のうちに済ませましょう。
一方、避難小屋は無人で、従業員などはいないため、宿泊は無料な代わりに、食事などはすべて自前でまかなわなくてはいけません。このため、計画の段階で仲間と食料や炊事、清掃などの役割を決めておき、出発前、次に利用する登山者のためにも整理・整頓に努め、掃除もきちんと済ませます。もちろん、ゴミは持ち帰りますが、所定の場所で燃やすことができる物は燃やします。
また、他のパーティと一緒になったら、「一宿一飯」の仁義(?)を切って交流しますが、互いの計画によって行動が異なればそれも控えましょう。
注意点あれこれ
いずれにしても、このように山小屋はあくまでも集団生活の場であるため、自分勝手な行動は厳禁です。とりわけ、夕食時にアルコールを交えての宴会もどきの歓声や歌声などはご法度です。
また、近年、山小屋によっては、注文すれば個室で、刺身やステーキのフルコースが賞味できるほか、食堂などでクラシック音楽が鑑賞できるところもあります。しかし、このようなリッチなところはまだまだ少数で、多くは昔ながらの雑魚寝(ざこね)で、食事も地元でとれた山菜や川魚が並べばいい方で、レトロ・インスタント食品が関の山です。このため、梅干や漬物、佃煮、好みの缶詰などを持参して副食にするといいでしょう。
このほか、就寝時に不安があるという女性は“着たきりスズメ”やトレーナー姿で女性同士で固まって寝たり、仲間の男性にガードしたりしてもらいましょう。
なお、夜中にトイレへ行くとき、ヘッドランプや懐中電灯などで周囲を照らしながら移動するのは迷惑千万ですので、天井に向けるか、足元だけ照らして移動することなどは常識です。
次回は「テント泊」についてお伝えします。
また、近年、山小屋によっては、注文すれば個室で、刺身やステーキのフルコースが賞味できるほか、食堂などでクラシック音楽が鑑賞できるところもあります。しかし、このようなリッチなところはまだまだ少数で、多くは昔ながらの雑魚寝(ざこね)で、食事も地元でとれた山菜や川魚が並べばいい方で、レトロ・インスタント食品が関の山です。このため、梅干や漬物、佃煮、好みの缶詰などを持参して副食にするといいでしょう。
このほか、就寝時に不安があるという女性は“着たきりスズメ”やトレーナー姿で女性同士で固まって寝たり、仲間の男性にガードしたりしてもらいましょう。
なお、夜中にトイレへ行くとき、ヘッドランプや懐中電灯などで周囲を照らしながら移動するのは迷惑千万ですので、天井に向けるか、足元だけ照らして移動することなどは常識です。
次回は「テント泊」についてお伝えします。