第21回 山の地名
人物の名前から付けられた山
今回は「山の地名」についてお話しましょう。それというのも、地名の由来というのは、山好きな者にとっても結構興味があるからです。現に、数ある山岳書のなかには山名だけをまとめた事典もあるくらいです。
さて、その山の地名のいわれですが、私なりに整理すると三つに大きく分けることができるのではないか、と思います。
その一つ目は、その山に何らかの関わりのあった人物の名前が付けられたものです。
たとえば、前回ご紹介した世界最高峰のエベレスト(山)ですが、これは、イギリス人で、当時、インド政府の測量官であったエベレスト氏(1790-1866)がエベレスト山(山群)の測量に関わり、その期間中に最高峰であることがわかったため、彼の功績を認めてエベレスト(山)と名付けられました。
ちなみに、それまでのエベレスト(山)は「ピーク15」と呼ばれていました。中国名のチョモランマは、チベット語で「世界の母神」、あるいは「大地の母」という意味です。また、ネパール名でいうサガルマータは、サンスクリット語で「世界の頂上」という意味だそうです。
なお、北アルプスに野口五郎岳という高峰がありますが、五郎と名の付く山はほかにもあり、野口五郎という特定の人物がいたわけではありません。
さて、その山の地名のいわれですが、私なりに整理すると三つに大きく分けることができるのではないか、と思います。
その一つ目は、その山に何らかの関わりのあった人物の名前が付けられたものです。
たとえば、前回ご紹介した世界最高峰のエベレスト(山)ですが、これは、イギリス人で、当時、インド政府の測量官であったエベレスト氏(1790-1866)がエベレスト山(山群)の測量に関わり、その期間中に最高峰であることがわかったため、彼の功績を認めてエベレスト(山)と名付けられました。
ちなみに、それまでのエベレスト(山)は「ピーク15」と呼ばれていました。中国名のチョモランマは、チベット語で「世界の母神」、あるいは「大地の母」という意味です。また、ネパール名でいうサガルマータは、サンスクリット語で「世界の頂上」という意味だそうです。
なお、北アルプスに野口五郎岳という高峰がありますが、五郎と名の付く山はほかにもあり、野口五郎という特定の人物がいたわけではありません。
姿形や地名から付けられた山
二つ目は、その山の姿や形から付けられたもので、前回少しお話した、各地の「ふるさとの富士」もその一つです。たとえば愛知県の尾張富士は本家の富士山に姿や形が似ているため、尾張地方の富士山ということでこの名前が付けられました。
また、駒ヶ岳は、その山容が昔、農林業のときに使った役馬の駒(子馬)に似ているところから付けられていますが、そのような山が各地にたくさんあるため、それぞれの地名を前に付けて秋田駒ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、木曽駒ヶ岳、越後駒ヶ岳、渡島(おしま)駒ヶ岳などと名付けられています。
有名な槍ヶ岳は、頂上が天を突く槍のような尖峰のため、この名前があります。また、同じ北アルプスの剣(劔)岳は、頂上がまさに剣のように尖っていて切れそうな感じのところから、この名前が付いています。
変わったところでは、山肌の残雪の形が麓から見て何かに似ているため、名付けられた山もあります。その代表的な山は北アルプスの白馬岳です。もっとも、この山の本来の名前は代馬(しろうま)岳で、毎年、苗代の時季に代掻(か)きの馬の形をした雪の形が現れるところから代馬岳と名付けられましたが、代馬よりも白馬の方が言葉の響きもよいうえ、地元の白馬(はくば)村という地名ともからみ、いつしか現在の名称の白馬岳となったことは有名な話です。
また、地名から付けられた山には、静岡県・浜名湖の西岸に連なる湖西(こさい)連峰があります。もっとも、その名前は文字どおり、連峰そのものの名称にすぎず、現に、それぞれの山には嵩山(すやま)や神石山、仏岩、雨やどり岩、大知波(おおちば)峠など、いくつかの低山や岩場の名前が付けられています。
また、駒ヶ岳は、その山容が昔、農林業のときに使った役馬の駒(子馬)に似ているところから付けられていますが、そのような山が各地にたくさんあるため、それぞれの地名を前に付けて秋田駒ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、木曽駒ヶ岳、越後駒ヶ岳、渡島(おしま)駒ヶ岳などと名付けられています。
有名な槍ヶ岳は、頂上が天を突く槍のような尖峰のため、この名前があります。また、同じ北アルプスの剣(劔)岳は、頂上がまさに剣のように尖っていて切れそうな感じのところから、この名前が付いています。
変わったところでは、山肌の残雪の形が麓から見て何かに似ているため、名付けられた山もあります。その代表的な山は北アルプスの白馬岳です。もっとも、この山の本来の名前は代馬(しろうま)岳で、毎年、苗代の時季に代掻(か)きの馬の形をした雪の形が現れるところから代馬岳と名付けられましたが、代馬よりも白馬の方が言葉の響きもよいうえ、地元の白馬(はくば)村という地名ともからみ、いつしか現在の名称の白馬岳となったことは有名な話です。
また、地名から付けられた山には、静岡県・浜名湖の西岸に連なる湖西(こさい)連峰があります。もっとも、その名前は文字どおり、連峰そのものの名称にすぎず、現に、それぞれの山には嵩山(すやま)や神石山、仏岩、雨やどり岩、大知波(おおちば)峠など、いくつかの低山や岩場の名前が付けられています。
ゆかりの寺社の名前から付けられた山
最後の三つ目は、その山にゆかりのある神社や寺の名前を付けたもので、北アルプスの穂高岳や立山(雄山=おやま)、白山、御岳(嶽)山、浅間山などがあります。
確かに、穂高岳は穂高神社、立山(雄山)は雄山神社、白山は白山比?刀iしらやまひめ)神社、御岳山は御岳神社、浅間山は浅間神社の奥宮や里宮が頂上や麓にあり、古くから人々の強い信仰を受けています。
もっとも、わが国最高峰の富士山も頂上に浅間神社の奥宮、麓に同じ浅間神社の里宮、それも静岡、山梨の両県にあるものの、浅間山とはいわず、富士山といっていますが、これは以前にもお話したように、富士山の「富士」は元々、「不二」、すなわち、このような秀峰はほかにない唯一の山、また「不尽」、すなわち、この富士山をおいて世界のどこの国や地域にもない単独峰のすばらしい山というわけで、この名前があります。
その意味でも富士山が今、「世界自然遺産」への登録待ちとなっていることがわかるような気がします。
次回は「山の野鳥」についてお伝えします。
確かに、穂高岳は穂高神社、立山(雄山)は雄山神社、白山は白山比?刀iしらやまひめ)神社、御岳山は御岳神社、浅間山は浅間神社の奥宮や里宮が頂上や麓にあり、古くから人々の強い信仰を受けています。
もっとも、わが国最高峰の富士山も頂上に浅間神社の奥宮、麓に同じ浅間神社の里宮、それも静岡、山梨の両県にあるものの、浅間山とはいわず、富士山といっていますが、これは以前にもお話したように、富士山の「富士」は元々、「不二」、すなわち、このような秀峰はほかにない唯一の山、また「不尽」、すなわち、この富士山をおいて世界のどこの国や地域にもない単独峰のすばらしい山というわけで、この名前があります。
その意味でも富士山が今、「世界自然遺産」への登録待ちとなっていることがわかるような気がします。
次回は「山の野鳥」についてお伝えします。