第15回 紅葉の山歩き
日本人の美意識と紅葉
前回は「山の植物」でしたので、今回は、その関連として「紅葉の山歩き」をお伝えします。
さて、紅葉の話の前に、日本人の美意識について少しお話しますと、世界広しといっても、日本人ほど自然に対する美意識の高いお国柄も珍しいのではないでしょうか。
伊藤左千夫の『野菊の墓』や滝廉太郎の「花」、歌川(安藤)広重の「東海道五十三次絵」などをはじめとした名作や名曲、名画に始まり、歌謡曲に至るまで、自然の美を詠み、歌い込んだ作品は、枚挙にいとまがありません。そういえば『金色夜叉』の作者、尾崎紅葉はまさに地(字?)でいっている感じですね。
なぜ、それほどまでに、私たち日本人の心や生活に自然への美意識が染み込んでいるのでしょうか。
その理由の一つに、他の国に見られないような四季の移り変わりに恵まれており、その営みが生活に密着していることがあるでしょう。また、平安から室町にかけ、文人墨客の間で、そのような自然に対し、「わび」や「さび」を感じ入るようになり、それが文学や絵画、音楽、茶道などにまで広がり、人々の心のよりどころになったこともあるでしょう。
そのような背景を受け、諸外国では考えられない「紅葉狩り」という楽しみが生まれたのでしょう。なかでも、山の紅葉は下界よりも早く訪れ、しかも美しいことはご存知のとおりです。
さて、紅葉の話の前に、日本人の美意識について少しお話しますと、世界広しといっても、日本人ほど自然に対する美意識の高いお国柄も珍しいのではないでしょうか。
伊藤左千夫の『野菊の墓』や滝廉太郎の「花」、歌川(安藤)広重の「東海道五十三次絵」などをはじめとした名作や名曲、名画に始まり、歌謡曲に至るまで、自然の美を詠み、歌い込んだ作品は、枚挙にいとまがありません。そういえば『金色夜叉』の作者、尾崎紅葉はまさに地(字?)でいっている感じですね。
なぜ、それほどまでに、私たち日本人の心や生活に自然への美意識が染み込んでいるのでしょうか。
その理由の一つに、他の国に見られないような四季の移り変わりに恵まれており、その営みが生活に密着していることがあるでしょう。また、平安から室町にかけ、文人墨客の間で、そのような自然に対し、「わび」や「さび」を感じ入るようになり、それが文学や絵画、音楽、茶道などにまで広がり、人々の心のよりどころになったこともあるでしょう。
そのような背景を受け、諸外国では考えられない「紅葉狩り」という楽しみが生まれたのでしょう。なかでも、山の紅葉は下界よりも早く訪れ、しかも美しいことはご存知のとおりです。
なぜ、紅葉するのか
それにしても、なぜ、木の葉は紅葉するでしょうか。
木は秋になると葉と枝の間に離層をつくり、水分や養分を運ぶ管がシャットアウトされるため、葉緑素を供給できなくなり、緑色が次第に消えて黄色い色素が浮き出たり、葉の中の残った糖分から赤い色素が合成されたりします。このため、葉の色が黄色や赤色に変わるからだといわれています。
もっとも、そのような変色も、木々の種類や色づきあいも、それぞれの山や木々のたたずまい、さらにはその年の気温や太陽光、水分の状態によって微妙に異なるため、毎年、同じように紅葉狩りを楽しめるというわけにはいきません。
それでも、一般的には昼と夜の気温の差が大きいほど、その年の紅葉はすばらしいものになるので、夏は猛暑が続き、初秋になって急に冷え込めば紅葉は最高となるのです。
紅葉前線は、カエデやウルシ、シラカバ、ブナ、コナラ、カラマツなどの多い日本最高峰の富士山や、“北海道の屋根”の大雪山から、標高3000メートル級の連峰が続く“日本の屋根”の北アルプス・涸沢や立山にかけ、9月下旬から紅葉狩りのシーズンを告げます。
そして、紅葉前線は次第に南下し、10月中旬から11月下旬にかけ、周辺の山々から里山、寺社などのある観光名所までが紅葉で染め上げられるのです。
木は秋になると葉と枝の間に離層をつくり、水分や養分を運ぶ管がシャットアウトされるため、葉緑素を供給できなくなり、緑色が次第に消えて黄色い色素が浮き出たり、葉の中の残った糖分から赤い色素が合成されたりします。このため、葉の色が黄色や赤色に変わるからだといわれています。
もっとも、そのような変色も、木々の種類や色づきあいも、それぞれの山や木々のたたずまい、さらにはその年の気温や太陽光、水分の状態によって微妙に異なるため、毎年、同じように紅葉狩りを楽しめるというわけにはいきません。
それでも、一般的には昼と夜の気温の差が大きいほど、その年の紅葉はすばらしいものになるので、夏は猛暑が続き、初秋になって急に冷え込めば紅葉は最高となるのです。
紅葉前線は、カエデやウルシ、シラカバ、ブナ、コナラ、カラマツなどの多い日本最高峰の富士山や、“北海道の屋根”の大雪山から、標高3000メートル級の連峰が続く“日本の屋根”の北アルプス・涸沢や立山にかけ、9月下旬から紅葉狩りのシーズンを告げます。
そして、紅葉前線は次第に南下し、10月中旬から11月下旬にかけ、周辺の山々から里山、寺社などのある観光名所までが紅葉で染め上げられるのです。
紅葉の山−最新情報
そこで、最後に、紅葉の美しい山を順にご紹介しましょう。
まず首都圏周辺では、9月下旬から10月上旬にかけての奥日光で、戦場ヶ原や刈り込み湖・切り込み湖、龍王峡が一番でしょう。次いで、10月の谷川岳や尾瀬、赤城山、志賀、草津、軽井沢、那須、奥秩父、11月の養老渓谷、御岳山、高尾山、丹沢、箱根などが続きます。
また、中部では、上記した9〜10月の富士山をはじめ、三ッ峠、西沢渓谷、大菩薩峠、乗鞍高原、野麦峠、10〜11月の愛知県豊田市郊外の香嵐渓、鈴鹿山系などが楽しみです。
一方、関西では、10〜11月の六甲山や生駒山、湖東三山、比良山系、比叡山、愛宕山、伊吹山、熊野三山などがメッカです。
このほか、十和田湖や磐梯山、吾妻山、鳥海山などのような東北や山陰の大山、蒜山三山、四国の剣山、九州のえびの高原や霧島など、他の地方でも思い思いの紅葉の名所の山がありますが、残念ながら常夏のリゾート地・沖縄では、当然のことながら紅葉は楽しめません。
なお、紅葉の山歩きでは天気予報にはくれぐれも注意してください。朝のうちは晴れていても天気が崩れて降雪や吹雪に見舞われ、冬山に急変することもしばしばだからです。それだけに、この時季の高峰行きの際は、念のため、冬山の装備も考えておきましょう。
次回は「山の温泉」についてお伝えします。
まず首都圏周辺では、9月下旬から10月上旬にかけての奥日光で、戦場ヶ原や刈り込み湖・切り込み湖、龍王峡が一番でしょう。次いで、10月の谷川岳や尾瀬、赤城山、志賀、草津、軽井沢、那須、奥秩父、11月の養老渓谷、御岳山、高尾山、丹沢、箱根などが続きます。
また、中部では、上記した9〜10月の富士山をはじめ、三ッ峠、西沢渓谷、大菩薩峠、乗鞍高原、野麦峠、10〜11月の愛知県豊田市郊外の香嵐渓、鈴鹿山系などが楽しみです。
一方、関西では、10〜11月の六甲山や生駒山、湖東三山、比良山系、比叡山、愛宕山、伊吹山、熊野三山などがメッカです。
このほか、十和田湖や磐梯山、吾妻山、鳥海山などのような東北や山陰の大山、蒜山三山、四国の剣山、九州のえびの高原や霧島など、他の地方でも思い思いの紅葉の名所の山がありますが、残念ながら常夏のリゾート地・沖縄では、当然のことながら紅葉は楽しめません。
なお、紅葉の山歩きでは天気予報にはくれぐれも注意してください。朝のうちは晴れていても天気が崩れて降雪や吹雪に見舞われ、冬山に急変することもしばしばだからです。それだけに、この時季の高峰行きの際は、念のため、冬山の装備も考えておきましょう。
次回は「山の温泉」についてお伝えします。