第23回 熱と解熱薬
今年もインフルエンザが猛威をふるっています。各地域で学級閉鎖が目立ち、インフルエンザの外来を強化した医師会もあります。
第15回でお話したようにインフルエンザの症状は、高熱、倦怠感、頭痛、関節痛などの全身症状が主で、熱は2〜3日で下がることが多いのですが、その後、咳、咽頭痛に加えて、鼻汁・鼻閉等のかぜ症状が目立ってきます。
今回は熱についてお話させて頂きます。
第15回でお話したようにインフルエンザの症状は、高熱、倦怠感、頭痛、関節痛などの全身症状が主で、熱は2〜3日で下がることが多いのですが、その後、咳、咽頭痛に加えて、鼻汁・鼻閉等のかぜ症状が目立ってきます。
今回は熱についてお話させて頂きます。
熱と発熱を伴う疾患
発熱の程度
微熱:37.0〜37.9℃
中等度熱:38.0〜38.9℃
高熱:39.0℃以上
発熱の持続期間
短期発熱:短くて数日、長くても2週間以内。
長期発熱:長期間続く発熱。
発熱を伴う疾患は、主に感染症・膠原病そして悪性腫瘍です。インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染症です。
発熱を伴う疾患は、下記の表のようなものが考えられます。
微熱:37.0〜37.9℃
中等度熱:38.0〜38.9℃
高熱:39.0℃以上
発熱の持続期間
短期発熱:短くて数日、長くても2週間以内。
長期発熱:長期間続く発熱。
発熱を伴う疾患は、主に感染症・膠原病そして悪性腫瘍です。インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染症です。
発熱を伴う疾患は、下記の表のようなものが考えられます。
疾患 | その他の症状 |
インフルエンザ、感冒、上気道炎 | のどの痛み・鼻水・咳・痰 |
気管支炎、肺炎、胸膜炎 | 咽頭痛・咳・痰・胸痛・呼吸苦 |
麻しん、風しん等のウイルス感染、薬剤アレルギー、膠原病 | 発疹 |
リウマチ | 関節痛 |
白血病、悪性リンパ種 | リンパ節の腫脹 |
流行耳下腺炎(おたふくかぜ) | 唾液腺の腫脹 |
脳炎、髄膜炎 | 激しい頭痛・脳圧の亢進 |
食中毒、急性虫垂炎、腹膜炎 | 腹痛・嘔吐・下痢 |
尿路感染症 | 頻尿・排尿痛・残尿感・尿混濁 |
婦人科疾患 | 腹部痛・帯下 |
感染症
感染症による発熱は、生体防御反応です。ウイルスや細菌感染によっての発熱は、ウイルスや細菌が直接的な原因で熱が出るわけではありません。病原体を攻撃し死滅させ、排出させるために身体が反応し、その結果として発熱します。そのため、熱だけを下げることは、ウイルスや細菌と戦いにくい状態を作り出すことになります。ウイルスや細菌は体温が上がると増殖速度が鈍るといわれ、ウイルスや細菌などと戦うためには、体温が高いほうが有利です。白血球の働きが強まり、病源微生物を食べる力が高まります。以上のような理由で、発熱の場合、必ずしも解熱薬で熱を下げることが的確な処置とはいえません。
小児が発熱していても、食事が摂れていて機嫌がよく、十分に睡眠がとれていれば、解熱薬は使わず、水分補給とクーリング(太い血管を冷やす・薄着をさせる)等で様子をみます。しかし、高齢者の場合は、発熱で体力を消耗させたり、脱水を起こしやすくなります。医療関係者と連携をとり、解熱薬を適切に使用し、経口補水液(水分と電解質をすばやく補給できるようにナトリウムとブドウ糖の濃度を調整した飲料)で水分を補給します。
高熱による発熱や下痢などで、ひどい脱水状態を起こしたときは水分補給がかかせませんが、補給する水分を選ぶことが大切です。 体内の水は塩分(電解質)を含んでいるので、ただの水を補給すると薄まってしまいます。脱水から回復するためには、脱水の原因を取り除くことはもちろん、失われた水分と電解質を補給することが大切です。
また、インフルエンザに伴う発熱には、アセトアミノフェン(カロナール・ピリナジン)以外の解熱鎮痛薬を使うと急性脳症を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。
小児が発熱していても、食事が摂れていて機嫌がよく、十分に睡眠がとれていれば、解熱薬は使わず、水分補給とクーリング(太い血管を冷やす・薄着をさせる)等で様子をみます。しかし、高齢者の場合は、発熱で体力を消耗させたり、脱水を起こしやすくなります。医療関係者と連携をとり、解熱薬を適切に使用し、経口補水液(水分と電解質をすばやく補給できるようにナトリウムとブドウ糖の濃度を調整した飲料)で水分を補給します。
高熱による発熱や下痢などで、ひどい脱水状態を起こしたときは水分補給がかかせませんが、補給する水分を選ぶことが大切です。 体内の水は塩分(電解質)を含んでいるので、ただの水を補給すると薄まってしまいます。脱水から回復するためには、脱水の原因を取り除くことはもちろん、失われた水分と電解質を補給することが大切です。
また、インフルエンザに伴う発熱には、アセトアミノフェン(カロナール・ピリナジン)以外の解熱鎮痛薬を使うと急性脳症を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。
膠原病
全身の結合組織が侵される非炎症性の炎症疾患です。全身の関節・血管・内臓などに障害を起します。原因としては体内の血液中の抗体が自己の細胞の核などと反応して免疫複合体を作り組織に沈着したり、組織を攻撃することで発病すると考えられています。主症状として発熱・倦怠感・関節痛・レイノー現象などがあげられます。慢性に経過し、寛解と再燃を繰り返しながら進行します。完全な病態の解明はなされていません。高熱を出すのは、全身性エリテマトーデス・結節性多発動脈炎・急性リウマチ熱などがあり、他の膠原病は微熱が続くことが多いです。
悪性腫瘍
早期から発熱するのは、白血病・悪性リンパ腫などです。
発熱の治療薬
解熱薬は、熱を下げる作用の他に、鎮痛作用、炎症作用を持っています。副作用として胃腸障害が知られています。
また、作用が早く、強く現われる坐薬を使う場合があります。解熱鎮痛薬の代表的なものは、以下の通りです。
また、作用が早く、強く現われる坐薬を使う場合があります。解熱鎮痛薬の代表的なものは、以下の通りです。
鎮痛・解熱薬
商品名 | 分類 | 特徴 | 副作用 | |
カロナール・ピリナジン | アニリン系 | 副作用が少なく、昔から使われている | 胃腸障害・過度の体温低下 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
アスピリン | 酸性抗炎症薬 | サリチル酸 | 100年以上、世界中で使用 | 胃腸障害・出血傾向 |
ポンタール | フェナム酸 | 鎮痛作用が強い | 悪心・下痢 | |
ボルタレン・クリノリル | アリール酸 | 鎮痛、消炎 | 胃腸障害・眠気 | |
インダシン | 解熱、鎮痛、消炎 | |||
ブルフェン・ナイキサン ニフラン・ロキソニン ソレトン |
プロピオン酸 | 解熱、鎮痛、消炎。 副作用が少ない |
胃腸障害・発疹・浮腫 | |
フルカム・ロルカム | オキシカム酸 | 鎮痛、消炎。胃腸への負担少ない | 発疹・浮腫 | |
イブロン・ソランタール | 塩基性抗炎症薬 | 作用が弱く、副作用も少ない | 食欲不振・頭痛 | |
ノイロトロピン | その他 | 作用機序が他の鎮痛薬と違う | 胃腸障害・発疹・浮腫 |