第13回 骨粗鬆症を改善するには、何をすればいいの?
自宅に伺うと、関節痛や腰痛などで憂うつな毎日を送っている高齢者に出会います。痛みの主な原因は、骨粗鬆症による腰椎の圧迫骨折(骨がつぶれる)や変形で、腰や背中に痛みがでます。また、骨粗鬆症によって背が縮んだり、背中が丸くなったりなどの症状も現れます。転んだときにおこりやすい太ももの付け根の骨折(大腿骨頚部骨折)は高齢者の寝たきりの原因ともなります。
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨の主成分であるカルシウムやコラーゲン、リン酸などの量が減って骨がもろくなり、骨に鬆(ス)が入り、骨がスカスカになって骨折しやすくなった状態をいいます。
加齢とともにみられるようになり、特に女性では圧倒的に多く、男性の4〜5倍に達します。これは女性の場合、骨の形成を促進し、破壊を防ぐ働きのある「エストロゲン」という女性ホルモンが閉経後に急激に低下するためです。
また、老人性骨粗鬆症では加齢にともない、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの産生が腎機能の低下により少なくなることによっておこります。
骨粗鬆症になると、日常生活のちょっとした負荷で骨折をおこしやすくなるため、早めに予防することが大切です。骨粗鬆症はエックス線検査や骨量測定検査で診断がつけられます。
加齢とともにみられるようになり、特に女性では圧倒的に多く、男性の4〜5倍に達します。これは女性の場合、骨の形成を促進し、破壊を防ぐ働きのある「エストロゲン」という女性ホルモンが閉経後に急激に低下するためです。
また、老人性骨粗鬆症では加齢にともない、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの産生が腎機能の低下により少なくなることによっておこります。
骨粗鬆症になると、日常生活のちょっとした負荷で骨折をおこしやすくなるため、早めに予防することが大切です。骨粗鬆症はエックス線検査や骨量測定検査で診断がつけられます。
骨の役割と再生
骨には、(1)私達の臓器を守る保護作用、(2)体を支える支持作用、そして(3)体の中のカルシウムを貯蔵する貯蔵庫としての役割があります。カルシウムは人が生きていくうえで欠かせない栄養素の一つで、心臓の機能調整や筋肉の収縮や弛緩などといった大変重要な働きをもっています。体内では99%が歯と骨に、残りの1%は血液や細胞内に存在しています。
骨は、常に新陳代謝を繰り返しており、古くなると破骨細胞が骨を吸収し、骨芽細胞が骨を修復しています。
骨は、常に新陳代謝を繰り返しており、古くなると破骨細胞が骨を吸収し、骨芽細胞が骨を修復しています。
骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症はよくなることはないため、予防が中心となります。
予防法は、次の3つです。
予防法は、次の3つです。
1.適度な運動を行いましょう
適度な運動による刺激は骨の再生を促します。したがって、運動不足で骨に圧力がかからない状態が続くと、骨が壊されても新しい骨がつくられなくなります。また、筋力を弱めないためにも適度な運動が必要です。
2.食事の偏りをなくし、カルシウムを十分に補いましょう
骨粗鬆症の予防のために最も重要な栄養素は、骨の主な材料であるカルシウムです。また、カルシウムの吸収を助け、体外に排出されるのを防ぐ作用のある「ビタミンD」をとることも大切です。
アルコールやカフェイン、加工食品のとりすぎはカルシウムの吸収の妨げになります。
アルコールやカフェイン、加工食品のとりすぎはカルシウムの吸収の妨げになります。
3.日光に当たらない生活を避けましょう
骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症の薬による治療は、
1.骨の吸収を抑える
2.骨の形成を促進する
3.カルシウムの吸収を促進する
4.骨に含まれるカルシウムを補う
が中心となります。
高齢者の場合は、いくつかの薬を組み合わせて、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎます。
主な治療薬は次の表のとおりです。骨粗鬆症の薬は、長く服用するため1日1回の薬も増えています。また、1週間に1回の薬もあります。
1.骨の吸収を抑える
2.骨の形成を促進する
3.カルシウムの吸収を促進する
4.骨に含まれるカルシウムを補う
が中心となります。
高齢者の場合は、いくつかの薬を組み合わせて、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎます。
主な治療薬は次の表のとおりです。骨粗鬆症の薬は、長く服用するため1日1回の薬も増えています。また、1週間に1回の薬もあります。
作用 | 種類 | 商品名 | 注意事項 |
骨の吸収を抑える | エストロゲン(女性ホルモン) | エビスタ | 閉経後の骨粗鬆症・静脈血栓塞栓症 |
カルシトニン | エルシトニン(注射) | 顔のほてり | |
ビスホスフォネート | アクトネル・ダイドロネル・ボナロン | 空腹時に服用 胃腸障害あり 服用後30分は横にならない |
|
イブリフラボン | オステン | 胃の不快感 | |
骨の形成を促進する | ビタミンK | グラケー | 胃の不快感 |
カルシウムの吸収を促進する | ビタミンD | アルファロール・ワンアルファ | 高カルシウム血症 |
骨に含まれるカルシウムを補う | カルシウム製剤 | アスパラCa | 高カルシウム血症 |
この薬は、食物や他の薬剤と一緒に服用すると、薬の成分がカルシウムと結合してしまい、消化管からの吸収が悪くなります。したがって、空腹時に飲む必要があります。起床時、コップ一杯の水とともに飲んで下さい。
また、食道や胃腸の粘膜が荒れることがあります。食道をスムーズに通過させるよう、服用後30分は横にならないようにします。寝たきりの高齢者にはギャッジアップが必要です。30分以上、身体を起こしていることが難しい場合には服用はできません。
まれに、顎の骨(顎骨)の壊死のおこることが報告されています。歯の治療を受ける場合には、歯科医師にビスホスフォネートを服用していることを伝えて下さい。
いずれにしても、決められた飲み方を守り、医師や薬剤師に相談したうえで服用することが大切です。