第22回 麻薬
平成18年より、がんの末期の患者も介護保険を利用できるようになり、在宅で最期の時を迎える利用者が増えてきました。
限りある命と告知された時、多くの人々は、「愛する家族に見守られて、住み慣れた我が家で、安らかに最期の時を迎えたい」と願うのではないでしょうか?
そこに立ちはだかるのが、がんが進行してくると起こるがん特有の痛み(疼痛(とうつう))にどう対処するかです。
今回は、がん性疼痛をコントロールする麻薬についてお話します。
がんの痛みは、がんの進行とともに頻度を増し、終末期では70〜80%の患者さんになんらかの痛みが出現します。がんの進行によって、周囲組織を圧迫したり、破壊することで痛みが起ります。最近、「緩和ケア」という言葉をよく耳にしますが、「緩和ケア」とは、がんの痛みや苦痛を和らげるケアのことをいいます。
昔は、緩和ケアというと末期になって、耐えられない痛みが起こってから行うものと考えられていましたが、最近では痛みがあれば、がんの早期であっても、病気の治療と平行して積極的に痛みの治療を行うという考え方に変わってきました。
がんの痛みは、「動けない」「眠れない」「食べられない」「不安やイライラを感じる」など、生活全体に影響を及ぼし、精神的な苦痛も伴います。
がんの痛みは、きちんとした治療を行えば、90%の痛みをコントロールできるといわれています。モルヒネなどの「医療用麻薬」を上手に使うことが大切です。
痛みは主観的な感覚であり絶対評価はできず、各自の相対評価(今まで体験した痛みとの比較)となります。
以下のように痛みのフェイススケールを使うこともあります。
限りある命と告知された時、多くの人々は、「愛する家族に見守られて、住み慣れた我が家で、安らかに最期の時を迎えたい」と願うのではないでしょうか?
そこに立ちはだかるのが、がんが進行してくると起こるがん特有の痛み(疼痛(とうつう))にどう対処するかです。
今回は、がん性疼痛をコントロールする麻薬についてお話します。
がんの痛みは、がんの進行とともに頻度を増し、終末期では70〜80%の患者さんになんらかの痛みが出現します。がんの進行によって、周囲組織を圧迫したり、破壊することで痛みが起ります。最近、「緩和ケア」という言葉をよく耳にしますが、「緩和ケア」とは、がんの痛みや苦痛を和らげるケアのことをいいます。
昔は、緩和ケアというと末期になって、耐えられない痛みが起こってから行うものと考えられていましたが、最近では痛みがあれば、がんの早期であっても、病気の治療と平行して積極的に痛みの治療を行うという考え方に変わってきました。
がんの痛みは、「動けない」「眠れない」「食べられない」「不安やイライラを感じる」など、生活全体に影響を及ぼし、精神的な苦痛も伴います。
がんの痛みは、きちんとした治療を行えば、90%の痛みをコントロールできるといわれています。モルヒネなどの「医療用麻薬」を上手に使うことが大切です。
痛みは主観的な感覚であり絶対評価はできず、各自の相対評価(今まで体験した痛みとの比較)となります。
以下のように痛みのフェイススケールを使うこともあります。
しかし、麻薬は「麻薬中毒になる」「命を縮める」「使いすぎると効かなくなる」などという、誤解があり、がんの痛み治療の妨げになってきました。こうような誤解は、患者さんや家族だけでなく、医師の間にもみられることがあります。
麻薬に対して正しい認識を持ち、適正に使用されることは病気の予後にも深く関わってきます。必要な量を使用すれば必ず効果が得られます。疼痛緩和の目標は、(1)痛みがなく安眠できる、(2)寝ているときに痛みがない、(3)体を動かすときに痛みがない、などです。
がんの痛みの原因は、がん自体が原因の痛み、がんに関連した痛み、がんの治療によって起こる痛み、併発した疾患からくる痛み等が考えられます。どのような痛みであれ、疼痛緩和の目標を達成するために、麻薬を上手に使う必要があります。
がんの痛みは、病気そのものからくる痛みのほか、死に対する恐怖・生活上の不安等、多岐に絡み合っています。そのため麻薬の使用だけでは効果が不十分な場合があります。時には、鎮痛補助薬として、不安をなくす「抗不安薬」「抗うつ薬」「抗けいれん薬」「抗不整脈薬」「ステロイド薬」などの薬が併用されます。
麻薬に対して正しい認識を持ち、適正に使用されることは病気の予後にも深く関わってきます。必要な量を使用すれば必ず効果が得られます。疼痛緩和の目標は、(1)痛みがなく安眠できる、(2)寝ているときに痛みがない、(3)体を動かすときに痛みがない、などです。
がんの痛みの原因は、がん自体が原因の痛み、がんに関連した痛み、がんの治療によって起こる痛み、併発した疾患からくる痛み等が考えられます。どのような痛みであれ、疼痛緩和の目標を達成するために、麻薬を上手に使う必要があります。
がんの痛みは、病気そのものからくる痛みのほか、死に対する恐怖・生活上の不安等、多岐に絡み合っています。そのため麻薬の使用だけでは効果が不十分な場合があります。時には、鎮痛補助薬として、不安をなくす「抗不安薬」「抗うつ薬」「抗けいれん薬」「抗不整脈薬」「ステロイド薬」などの薬が併用されます。
がんの痛みの治療には、WHO方式の基本的治療法があります。
1.簡便な投与法 経口投与を第一に考える。
投与が難しい場合は、口→直腸→貼付→注射と投与法を変えていく
2.適切な投与量を決めて投与する。
少量から始めて、次第に増量する
3.時間を決めて規則正しく投与する
持続的な鎮痛効果を得るためには、次の痛みがくる前に規則正しく投与を行う
4.痛みの強さに応じた鎮痛薬を投与する
痛みの強さによってA〜Cへと投与薬を変えていく
A. | 非オピオイド(非麻薬類)鎮痛薬(NSAIDS等)と補助薬 アスピリン・アセトアミノフェン・イブプロフェン・インドメタシン |
B. | 弱オピオイド鎮痛薬(リン酸コデイン等)とNSAIDS等と補助薬 コデイン |
C. | 強オピオイド鎮痛薬とNSAIDSと補助薬 モルヒネ |
※投与は副作用に注意しながら少量から開始し、強い痛みが消えるのに必要な充分な量を投与する |
5.鎮痛薬の副作用に対する予防対策を十分に行なう
麻薬
分類 | 商品名 | 剤形 | 副作用 |
アヘンアルカロイド系 | アヘン | 粉 | 便秘 傾眠 呼吸抑制 吐き気 依存症 錯乱 |
アヘンチンキ | 液 | ||
ドーフル散 | 粉 | ||
塩酸モルヒネ | 錠・粉 | ||
オプソ | 液 | ||
アンペック | 坐薬 | ||
MSコンチン | 錠・粉 | ||
カディアン | カプセル | ||
オキシコンチン | 錠 | ||
リン酸コデイン | 錠・粉 | ||
メテバニール | 錠 | ||
コカアルカロイド系 | 塩酸コカイン | 粉 | |
非アルカロイド系 | デュロテップ | 貼付薬 |
その他鎮痛補助薬
分類 | 商品名 | 適応 |
抗けいれん薬 | テグレトール | 三叉神経痛 |
アレビアチン | 痛みの補助薬 | |
抗不安薬 | アタラックスP | 不安・嘔気・嘔吐 |
セルシン | 筋攣縮 | |
抗うつ薬 | トリプタノール | うつ状態 |
トフラニール | 痛みの補助薬 | |
抗精神病薬 | ノバミン | 嘔気・嘔吐 |
コントミン | 幻覚・不穏 | |
セレネース | 混乱 | |
ステロイド薬 | プレドニン | 頭蓋内圧亢進 |
デカドロン | 神経・脊髄圧迫 | |
リンデロン | 呼吸困難・全身倦怠感 | |
抗不整脈薬 | メキシチール | 痛みの補助薬 |
麻薬拮抗薬 | ナロキソン | 呼吸抑制 |