第19回 老人性のそうよう症とくすり
秋から冬にかけて、空気が乾燥し気温が低くなってくると、うるおいが減少して肌がカサカサになり、不快な「かゆみ」を覚えるようになる人も少なくありません。
強い「かゆみ」は、痛みより耐え難いといわれています。かゆみの原因は、乾燥による場合が多くスキンケアが重要な意味をもちます。
強い「かゆみ」は、痛みより耐え難いといわれています。かゆみの原因は、乾燥による場合が多くスキンケアが重要な意味をもちます。
皮膚の役割
私達の体を覆う皮膚には、主に次のような役目があります。
1. | 身体の体表面を包み、体の形を維持・保護し、細菌等の異物の体内への侵入を防ぐ。 |
2. | 体の水分が体外に蒸発しないよう、または、逆に水分が体内に浸透しないように水分を保持する。 |
3. | 外界と体内の熱のやり取りをし、体温を一定に保つ。 |
4. | 触覚、圧覚、痛覚、温度感覚等の皮膚感覚で外界情報を感知する。 |
また、皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、それら微生物の存在によって、病原菌の皮膚の表面での繁殖や、体内への侵入を妨でいます。皮膚の表面に存在する微生物のバランスが崩れたり、また乾燥などによって、皮膚組織のバランスが崩れると、病原菌の繁殖や侵入が起こりやすくなります。その結果、皮膚に炎症を生じ、発疹や発赤、かゆみ等の症状が現れやすくなります。
また、皮膚には常にうるおいが必要です。その表面には、保湿を目的として天然保湿因子(アミノ酸)、皮脂(あぶら)、角質細胞間脂質(セラミド)の3種類の物質が存在します。加齢と共にこれらのうるおい物質が少なくなるため、高齢者の皮膚はとても乾燥しやすくなります。また、1人暮らしや高齢の夫婦のみの世帯では、衛生面の整備がされずに、ダニや害虫が発生しやすい環境にある場合もみられます。そのうえ、尿・便失禁があったり、おむつを使用していたり、あるいは入浴が定期的にできない場合もあるなど、スキントラブルもおこりやすくなっています。
乾燥肌には、保湿を第一に考えましょう。次に環境の整備を考えます。
その他、高齢者には、多くの軟膏が処方されています。在宅では、主疾患の治療が優先され、漫然と軟膏が処方されているなど、皮膚疾患が軽く考えられていることもあります。皮膚は人体の15%を占める臓器で、「健康のバロメーター」ともいわれています。
それぞれの皮膚疾患の治療に使う軟膏の種類は多く、また作用も大きく異なりますので、使用法を間違えるとかえって症状を悪化させることがあります。
乾燥肌には、保湿を第一に考えましょう。次に環境の整備を考えます。
その他、高齢者には、多くの軟膏が処方されています。在宅では、主疾患の治療が優先され、漫然と軟膏が処方されているなど、皮膚疾患が軽く考えられていることもあります。皮膚は人体の15%を占める臓器で、「健康のバロメーター」ともいわれています。
それぞれの皮膚疾患の治療に使う軟膏の種類は多く、また作用も大きく異なりますので、使用法を間違えるとかえって症状を悪化させることがあります。
薬の分類
皮膚の薬は、皮膚疾患の原因によって次のように分類されます。
種類 | 区分 | 製品名 |
寄生性皮膚疾患用薬…真菌などのカビを抑える | 抗真菌薬…外用薬は毎日1〜2回、患部を含めて広い範囲に根気よく1〜3か月間塗布する。頭部、爪、深在性白癬は、内服薬を併用することもある。 | アトラント、フロリード、ラミシール |
化膿性皮膚疾患用薬…細菌などの病原微生物を抑える。抗生物質、抗菌薬、サルファ剤がワセリンを基剤として軟膏になっており、表剤感染に使われる。 | 抗生物質・抗菌薬 サルファ剤 |
ゲンタシン テラジア・パスタ |
消炎、鎮痛、収斂、鎮痒薬…炎症を抑える・痛みを抑える・かゆみを抑える。 | 副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)…作用は5段階に分けられる。基剤によって軟膏(乾燥、慢性の病巣に用いる)、クリーム(配合薬の吸収がよいが、浸潤面には使用不可)、ローション(被髪頭部に用いる)、テープ薬(配合薬の皮膚への浸透性が高いが、浸潤面には使用不可)などがある。 | マイザー、リンデロン(消炎) |
非ステロイド系消炎・鎮痛薬…ステロイド薬より効果が弱い。炎症や痛みを抑える。 | アンダーム、インテバン、ボルタレン(鎮痛) | |
鎮痒薬…かゆみを抑える。抗ヒスタミン薬が使われる。 | カラミン(収斂)、レスタミン、オイラックス(鎮痒薬) | |
消炎・鎮痛ハップ薬…痛みをとるハップ薬 | セルタッチ、ボルタレン | |
抗ウイルス薬…ウイルスを抑える。単純疱疹などに用いられる。 | アラセナ、ゾビラックス | |
皮膚軟化薬…角質を軟化させる。乾燥皮膚病変に使用。 | サリチル酸ワセリン | スピール膏M |
ビタミン薬…ビタミンを補給する。ビタミンAは非感染性角化性皮膚疾患に、ビタミンEは血行促進に効果がある。 | ザーネ、ユベラ | |
そのほか…アトピー性皮膚炎、脱毛治療など。 | アトピー性皮膚炎 脱毛治療 角化症 保湿 |
プロトピック フロジン ウレパール ケラチナミン ワセリン、フロペト、ヒルドイドソフト |
老人性皮膚そうよう症の予防と治療
乾燥肌は、誤った入浴方法や湿度の低い室内環境で乾燥を助長し症状を悪化させている場合があります。
生活習慣を改善し、正しい予防方法を学ぶことが大切です。
・入浴・・・・・長時間・高温浴をやめる。強くこすり過ぎない。硫黄を含んだ入浴剤を使用しない。
・入浴後・・・・・乾燥しやすいため、体に湿り気があるうちに保湿剤を使う。冬場は室内が乾燥するので、加湿器などを使用する。
・その他・・・・・電気毛布やこたつなども皮膚の乾燥を悪化させるので、適度な使用にとどめる。
などに気をつけましょう!
生活習慣を改善し、正しい予防方法を学ぶことが大切です。
・入浴・・・・・長時間・高温浴をやめる。強くこすり過ぎない。硫黄を含んだ入浴剤を使用しない。
・入浴後・・・・・乾燥しやすいため、体に湿り気があるうちに保湿剤を使う。冬場は室内が乾燥するので、加湿器などを使用する。
・その他・・・・・電気毛布やこたつなども皮膚の乾燥を悪化させるので、適度な使用にとどめる。
などに気をつけましょう!