第21回 排泄障害
冬の寒い朝、トイレに行くのがおっくうになる高齢者の方をみかけます。お部屋が暖かくなるのを待っていたら、トイレに間に合わずに漏らしてしまったという話しを聞いたこともあるかと思います。
今回は高齢者の排泄障害についてお話したいと思います。
今回は高齢者の排泄障害についてお話したいと思います。
排泄のメカニズム
超高齢化時代を迎えて、高齢者にかかわっている介護者を困惑させるのが排泄障害です。
その上、人間の尊厳を傷つける排泄障害が、主疾患の治療を重視するあまり、軽く扱われることが少なくありません。障害があっても、介護が必要になっても、人は誰でも最後まで、尊厳をもって快適に暮らしたいという願いを持っています。本来、排泄障害をコントロールすることは、主疾患の治療と同等の重みがあり、生活を豊かに生きてゆくためにも、廃用症候群(生活不活発病)を予防するためにも重要なことであると考えます。
排泄障害の原因は、高齢者の場合、多岐にわたり、絡まった糸をほどくように地道に行う必要があります。また、高齢者は多病・多剤併用のため、薬の副作用からも排泄障害を起すことがあります。
その上、人間の尊厳を傷つける排泄障害が、主疾患の治療を重視するあまり、軽く扱われることが少なくありません。障害があっても、介護が必要になっても、人は誰でも最後まで、尊厳をもって快適に暮らしたいという願いを持っています。本来、排泄障害をコントロールすることは、主疾患の治療と同等の重みがあり、生活を豊かに生きてゆくためにも、廃用症候群(生活不活発病)を予防するためにも重要なことであると考えます。
排泄障害の原因は、高齢者の場合、多岐にわたり、絡まった糸をほどくように地道に行う必要があります。また、高齢者は多病・多剤併用のため、薬の副作用からも排泄障害を起すことがあります。
正常に排尿を行うためには、図1のように尿をためる膀胱と、尿をだすときに通る尿道と、尿を溜める・出すなどの指令を出す中枢と、指令を伝える神経が正しく働いていなければなりません。
尿は腎臓で1分間に約1ml作られ、尿管を通って膀胱に送られます。尿は150mlくらい溜まると膀胱から排泄中枢に「尿が溜まりました」という指令を送ります。しかし、排尿の準備が整っていないと、排泄中枢で「もう少し我慢するように」という指令をだし、膀胱は弛緩し、尿道は締ります。そして尿が300mlを超えるくらいに溜まるとトイレに行き、排泄の用意を整え、膀胱が収縮し尿道が開き排尿が行なわれます。排尿をきちんとコントロールすることによって、高齢者の生活の質をあげることができます。
排尿障害を改善させる薬は、「膀胱に作用する薬」(膀胱を弛緩させる・膀胱を収縮させる)と「尿道に作用する薬」(尿道を収縮させる・尿道を弛緩させる)が主になります。
尿は腎臓で1分間に約1ml作られ、尿管を通って膀胱に送られます。尿は150mlくらい溜まると膀胱から排泄中枢に「尿が溜まりました」という指令を送ります。しかし、排尿の準備が整っていないと、排泄中枢で「もう少し我慢するように」という指令をだし、膀胱は弛緩し、尿道は締ります。そして尿が300mlを超えるくらいに溜まるとトイレに行き、排泄の用意を整え、膀胱が収縮し尿道が開き排尿が行なわれます。排尿をきちんとコントロールすることによって、高齢者の生活の質をあげることができます。
排尿障害を改善させる薬は、「膀胱に作用する薬」(膀胱を弛緩させる・膀胱を収縮させる)と「尿道に作用する薬」(尿道を収縮させる・尿道を弛緩させる)が主になります。
排泄障害治療薬
適応 | 分類 | 商品名 | 効能・効果 | 副作用 |
頻尿・尿失禁 夜尿症などに使われる薬 |
膀胱に作用して膀胱を弛緩させる | バップフォー | 頻尿・尿失禁 神経因性膀胱 過活動膀胱 |
口腔乾燥 排尿困難 胃腸障害 |
ポラキス | ||||
ベシケア | ||||
デトルシトール | ||||
ブラダロン | ||||
尿道に作用して尿道を収縮させる | スピロペント | 腹圧性尿失禁 | 振戦・動悸 | |
トフラニール | 遺尿症 | 口腔乾燥 | ||
トリプタノール | 夜尿症 | 眠気 | ||
排尿困難などに 使われる薬 |
尿道に作用して尿道を弛緩させる | ミニプレス | 前立腺肥大に伴う排尿困難 | 起立性低血圧 めまい |
ハルナール | ||||
フリバス | ||||
ユリーフ | ||||
エブランチル | ||||
膀胱に作用して膀胱を収縮させる | ベサコリン | 排尿困難 前立腺肥大に伴う |
腹痛 発汗 |
|
ウブレチド | ||||
その他 | パラプロスト | 排尿困難 | 胸やけ 胃腸障害 |
|
エビプロスタット | ||||
その他 | 漢方薬 | 八味地黄丸 | 排尿困難・頻尿 |
|
猪苓湯 | ||||
牛車腎気丸 | ||||
その他 | ハルンケア |
しかし、排尿障害の改善は、薬による治療だけではなく、原疾患の治療、排泄障害の副作用を起こす可能性のある薬の見極めや骨盤底筋体操などの行動療法、他職種の連携による排泄行為の見直しによる場合があります。また、ポータブルトイレやオムツなどのグッズを上手に使うことによって快適さを得ることもできます。
自律神経系に作用
排泄に関係する薬には、自律神経系に作用する薬が多くあります。
自律神経は、大脳皮質の影響を受けない呼吸や排泄、血圧等の無意識な機能を調節します。そのために、この機能を調節するのに交感神経と副交感神経の両神経が、各臓器に互いに作用し合いながら、二重に支配します。
自律神経のおのおのの臓器に対する影響は、あるときは興奮的に、またあるときは抑制的に作用し、一見ばらばらのようにみえますが、生体全体からみると整然と統一されています。
交感神経は活動状態に適応する神経であり、たとえば、生体が交感神経刺激にある状態は、闘争という極度の緊張状態にあるときのことを考えるとわかりやすいです。例えば、生体が敵に出会うと、心臓はドキドキと速く脈打ち、血圧は上昇し、気管支は拡張して呼吸量を多くし、敵と戦うのに適した状態となります。反対に、副交感神経は休息のときの状態をいいます。
自律神経は、大脳皮質の影響を受けない呼吸や排泄、血圧等の無意識な機能を調節します。そのために、この機能を調節するのに交感神経と副交感神経の両神経が、各臓器に互いに作用し合いながら、二重に支配します。
自律神経のおのおのの臓器に対する影響は、あるときは興奮的に、またあるときは抑制的に作用し、一見ばらばらのようにみえますが、生体全体からみると整然と統一されています。
交感神経は活動状態に適応する神経であり、たとえば、生体が交感神経刺激にある状態は、闘争という極度の緊張状態にあるときのことを考えるとわかりやすいです。例えば、生体が敵に出会うと、心臓はドキドキと速く脈打ち、血圧は上昇し、気管支は拡張して呼吸量を多くし、敵と戦うのに適した状態となります。反対に、副交感神経は休息のときの状態をいいます。
上記の図2のように、自律神経の支配は全身に及びますので、副作用として排泄障害を起こすには、循環器や呼吸器、消化器などの疾患に使われる薬のすべて薬に可能性があります。その他、膀胱・尿道を弛緩、収縮させる薬も排泄障害の副作用を起こす可能性があります。