第9回 ボツボツ何かやろうかな(上)
―ボランティア講座に参加した人達―
そんな奥さんが、ある日、退屈そうにしているAさんを見るに見かねて、市の社会福祉協議会が開催している、ボランティア活動入門講座に申し込んできたのです。Aさんは、しぶしぶ参加することにしました。
講座の初日…
「いるわ、いるわ、皆俺と同じように時間をもてあましている人達だな」
講座初日に公民館に行くと、男性が13人、女性が10人参加していました。
受付を済ませると、「席は自由ですから」と係の女性からいわれ、Aさんは同年輩の男性Hさんの隣に座り、ふたりは軽く「はじめまして」の挨拶を交わし合いました。
この日は、最初に、自己紹介から始まりました。男性の多くは、企業を退職した人たちですが、中には70歳の男性や、72歳の女性といった高齢の参加者がいることに、AさんとHさんは、顔を見合わせて驚きました。「これから2週間みんなとうまくやれるのか」と心配しながらの自己紹介が終わり、2週間全6回の講座が、こうして幕をあけたのです。
最初の講義は、大学の先生による、「ボランティアとはどういうものか」というテーマで、「好きなとき、できる範囲のことを、無理せずやるのが基本」というような内容を、事例を交えながら話してくれました。ものめずらしさもあってか、2時間退屈することなく、初日は無事終了しました。
家に帰ったAさんは、奥さんに今日の様子を話すと、「すぐにお友達ができるから、これから楽しくなるわよ」と励まされました。
「なに言っているんだ」と初めは反論したものの、そのうち「言われてみればそうだよな」と、なんとなく分かったような思いになりました。
講座2日目の水曜日。初日よりは、素直に会場入りができました。この日は、経験者による、ボランティアの楽しさや、生きがいを熱く語る体験談で、「皆さん、一緒に活動しましょうね」という激励の言葉で締めくくりました。
講座終了後、親しくなったAさんとHさんは、駅前の喫茶店で1時間ほどお茶を飲みながら、いつしか、現役時代の話になりました。二人は、ふとそのことに気づき、「やっぱり、いつまでたっても仕事から抜け出せないのですねえ」と、思わず苦笑いしてしまいました。
Hさんも、35年間勤めた企業を60歳で退職し、家でぶらぶらしていたところ、3年が過ぎて、以前から漠然と社会参加について考えていたとき、この講座を見つけて申し込んだのだそうです。Aさんも、「私も同じです。ただし、申し込んできたのは女房ですが…」と付け加えると、「これからもよろしく、がんばりましょう」と、おたがい励まし合って、その場を後にしたのでした。(つづく)
講座初日に公民館に行くと、男性が13人、女性が10人参加していました。
受付を済ませると、「席は自由ですから」と係の女性からいわれ、Aさんは同年輩の男性Hさんの隣に座り、ふたりは軽く「はじめまして」の挨拶を交わし合いました。
この日は、最初に、自己紹介から始まりました。男性の多くは、企業を退職した人たちですが、中には70歳の男性や、72歳の女性といった高齢の参加者がいることに、AさんとHさんは、顔を見合わせて驚きました。「これから2週間みんなとうまくやれるのか」と心配しながらの自己紹介が終わり、2週間全6回の講座が、こうして幕をあけたのです。
最初の講義は、大学の先生による、「ボランティアとはどういうものか」というテーマで、「好きなとき、できる範囲のことを、無理せずやるのが基本」というような内容を、事例を交えながら話してくれました。ものめずらしさもあってか、2時間退屈することなく、初日は無事終了しました。
家に帰ったAさんは、奥さんに今日の様子を話すと、「すぐにお友達ができるから、これから楽しくなるわよ」と励まされました。
「なに言っているんだ」と初めは反論したものの、そのうち「言われてみればそうだよな」と、なんとなく分かったような思いになりました。
講座2日目の水曜日。初日よりは、素直に会場入りができました。この日は、経験者による、ボランティアの楽しさや、生きがいを熱く語る体験談で、「皆さん、一緒に活動しましょうね」という激励の言葉で締めくくりました。
講座終了後、親しくなったAさんとHさんは、駅前の喫茶店で1時間ほどお茶を飲みながら、いつしか、現役時代の話になりました。二人は、ふとそのことに気づき、「やっぱり、いつまでたっても仕事から抜け出せないのですねえ」と、思わず苦笑いしてしまいました。
Hさんも、35年間勤めた企業を60歳で退職し、家でぶらぶらしていたところ、3年が過ぎて、以前から漠然と社会参加について考えていたとき、この講座を見つけて申し込んだのだそうです。Aさんも、「私も同じです。ただし、申し込んできたのは女房ですが…」と付け加えると、「これからもよろしく、がんばりましょう」と、おたがい励まし合って、その場を後にしたのでした。(つづく)
(2008年6月20日)
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