第8回 市民同士の助け合い、支え合い(下)
がんばっている地域の助け合い
高齢者の一人世帯、二人世帯が増えてくる中で、高齢者が「長生きしてよかったなあ」と思えるような社会にしていくには、どうしたらよいのでしょう。
今政治問題化しているガソリン税(道路特定財源)を見直して、高齢者の生活改善を始め国民の生活、福祉にこれを振り向ける、というのも方策の一つでしょう。実現すれば、少なくともこれまでよりは、国民生活の負担は軽減するのではないでしょうか。一日も早くそうした方向になることを、多くの国民は望んでいると思います。
でも、それを期待しつつも、市民同士が少しでも相互の助け合い、支えあいをすることによって、ささやかな安心や安らぎを得ることが出来たなら、毎日の生活も少しは楽しくなるのではないでしょうか。
そうした思いから、各地で取り組まれている市民による支え合い、助け合い活動があります。
これから紹介するのは、埼玉県のある市で取り組まれている、女性たちが中心の活動事例です。
今政治問題化しているガソリン税(道路特定財源)を見直して、高齢者の生活改善を始め国民の生活、福祉にこれを振り向ける、というのも方策の一つでしょう。実現すれば、少なくともこれまでよりは、国民生活の負担は軽減するのではないでしょうか。一日も早くそうした方向になることを、多くの国民は望んでいると思います。
でも、それを期待しつつも、市民同士が少しでも相互の助け合い、支えあいをすることによって、ささやかな安心や安らぎを得ることが出来たなら、毎日の生活も少しは楽しくなるのではないでしょうか。
そうした思いから、各地で取り組まれている市民による支え合い、助け合い活動があります。
これから紹介するのは、埼玉県のある市で取り組まれている、女性たちが中心の活動事例です。
NPO法人「まごころ」の発足まで
2級ヘルパーの資格を一緒にとった、A子さん、B子さん、C子さんの3人の女性たちは、
「これからは介護が必要となる高齢者が多くなるので、地域で何か役立つことがしたいわね」
と話し合いをしていましたが、具体的にどうすればいいのかは分かりませんでした。
しばらくは、どこかで経験しましょう、ということになり、それぞれがパートとして働き始めました。その間も、毎月1、2回くらいは集まり、仕事のことや所属する団体のことについて話し合ってきました。
2年が過ぎたころ、NPO事業サポートセンターの起業講座を受けてみることにしました。3時間ずつ3回の講座はとても刺激的でした。
「私たちにも在宅介護に関係することなら何か出来るかもしれないわね」
と、ある日B子さんがつぶやきました。
それまで、介護保険の事業所でヘルパーとして働いていたA子さんも、こう続けました。
「いきなり介護保険事業所の立ち上げは無理だけど、家事手伝いなどなら出来ると思うわ」
C子さんからは、
「それでは、3人でとりあえず10万円ずつ出し合って準備に取り掛かろうか」
と積極的な提案が出ました。それから3人は、それぞれの家庭で家族とも相談することになりました。
B子さんのご主人は、
「そんなに簡単ではないぞ。人間様を相手にするのだし、ましてや、高齢者の面倒を見た経験もなく出来るのか」
「他人が家庭に入ることを嫌がる人のほうが多いのではないか」
と、否定的な意見でした。
C子さんの家庭では、ご主人の父親をC子さんが面倒を見たこともあり、
「確かに家庭で全部面倒見るのは大変だから、誰か手伝ってくれる人がいれば助かる家もあるよな」
と、こちらは賛成してくれました。
A子さんの家では、子どもたちが
「お母さんがやる気があるのなら応援するから」
といって賛成してくれました。
3人は、B子さんのご主人と話し合い、何とか説得することにしました。それには何を、どのようにやるのかを作ることにしました。3人で一致したことは、
(1)高齢者や介護を受けている家族が地域で人間らしい生活が出来るための助け合い、支えあいを中心にした活動にしよう。
(2)活動は決して無理をしないで、出来ることを、出来る範囲で一生懸命に、誠実にを基本にしよう。
(3)家族に迷惑をかけることなく、家庭と両立できるものにしよう。
この3点を確認し、B子さんのご主人と話し合いをしました。3度ほどの話し合いの結果、ご主人は3人の熱意にも押されたようで、ようやく了承してくれました。
それから3人は、それまで関係していた団体の人達や友人にも声をかけ、地域の主婦が18名メンバーとして参加することになりました。団体の名称や運営のための規約づくり、事務所探しなど、1か月があっという間でした。
団体の名称は全員一致で「まごころ」となりました。そして、任意団体のままでとりあえず活動をスタートさせることになりました。
助け合い、支えあい、という相互扶助の活動ですから、支援を提供する側も支援を必要とする方も「まごころ」の会員として入会していただくことも決めました。支援の内容は、当面、家の中の片付け・掃除・買い物などの家事援助、外出介助、話し相手、見守り、子育て支援、病後保育、趣味のお手伝いなどとしました。
会費は年間2000円、利用料金は1時間1000円とし、支援者の謝礼金は1時間800円としました。このほかに、協力会員や賛助会員も募ることにしました。
“地域の助け合い、支えあい「まこごろ」が活動を開始します“
大きな見出しのチラシを500枚地域に配りました。
「これからは介護が必要となる高齢者が多くなるので、地域で何か役立つことがしたいわね」
と話し合いをしていましたが、具体的にどうすればいいのかは分かりませんでした。
しばらくは、どこかで経験しましょう、ということになり、それぞれがパートとして働き始めました。その間も、毎月1、2回くらいは集まり、仕事のことや所属する団体のことについて話し合ってきました。
2年が過ぎたころ、NPO事業サポートセンターの起業講座を受けてみることにしました。3時間ずつ3回の講座はとても刺激的でした。
「私たちにも在宅介護に関係することなら何か出来るかもしれないわね」
と、ある日B子さんがつぶやきました。
それまで、介護保険の事業所でヘルパーとして働いていたA子さんも、こう続けました。
「いきなり介護保険事業所の立ち上げは無理だけど、家事手伝いなどなら出来ると思うわ」
C子さんからは、
「それでは、3人でとりあえず10万円ずつ出し合って準備に取り掛かろうか」
と積極的な提案が出ました。それから3人は、それぞれの家庭で家族とも相談することになりました。
B子さんのご主人は、
「そんなに簡単ではないぞ。人間様を相手にするのだし、ましてや、高齢者の面倒を見た経験もなく出来るのか」
「他人が家庭に入ることを嫌がる人のほうが多いのではないか」
と、否定的な意見でした。
C子さんの家庭では、ご主人の父親をC子さんが面倒を見たこともあり、
「確かに家庭で全部面倒見るのは大変だから、誰か手伝ってくれる人がいれば助かる家もあるよな」
と、こちらは賛成してくれました。
A子さんの家では、子どもたちが
「お母さんがやる気があるのなら応援するから」
といって賛成してくれました。
3人は、B子さんのご主人と話し合い、何とか説得することにしました。それには何を、どのようにやるのかを作ることにしました。3人で一致したことは、
(1)高齢者や介護を受けている家族が地域で人間らしい生活が出来るための助け合い、支えあいを中心にした活動にしよう。
(2)活動は決して無理をしないで、出来ることを、出来る範囲で一生懸命に、誠実にを基本にしよう。
(3)家族に迷惑をかけることなく、家庭と両立できるものにしよう。
この3点を確認し、B子さんのご主人と話し合いをしました。3度ほどの話し合いの結果、ご主人は3人の熱意にも押されたようで、ようやく了承してくれました。
それから3人は、それまで関係していた団体の人達や友人にも声をかけ、地域の主婦が18名メンバーとして参加することになりました。団体の名称や運営のための規約づくり、事務所探しなど、1か月があっという間でした。
団体の名称は全員一致で「まごころ」となりました。そして、任意団体のままでとりあえず活動をスタートさせることになりました。
助け合い、支えあい、という相互扶助の活動ですから、支援を提供する側も支援を必要とする方も「まごころ」の会員として入会していただくことも決めました。支援の内容は、当面、家の中の片付け・掃除・買い物などの家事援助、外出介助、話し相手、見守り、子育て支援、病後保育、趣味のお手伝いなどとしました。
会費は年間2000円、利用料金は1時間1000円とし、支援者の謝礼金は1時間800円としました。このほかに、協力会員や賛助会員も募ることにしました。
“地域の助け合い、支えあい「まこごろ」が活動を開始します“
大きな見出しのチラシを500枚地域に配りました。
代表となったB子さんは、開所式で
「これからが大変だと思うけれど、地域の人達と一緒に、安心して生活できる社会を作って生きたい」
「私たちの活動で地域から変えていかないと住みよい社会は作れない」
と力強く決意を述べました。
「まごころ」はその後1年半が過ぎたところでNPO法人となり、市役所からの生活援助支援員派遣事業の委託うけて、2007年度は約2300万円の事業まで拡大しています。
(2008年6月13日)
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