第21回 わかりやすさを助ける工夫 その2〜リモコンのボタンへの着色〜
前回から、わかりやすさを助ける住まいの工夫をご紹介しています。前回は、リモコンの不要なボタンを隠すことで情報量のコントロールをした事例を取り上げました。今回は、前回の住まいの工夫と一緒に記憶にとどめていただきたいリモコンのボタンを「目立たせる」工夫をご紹介します。
住まいの工夫の内容
住まいの工夫を行った理由・ねらい
多くの操作ボタンがあるためにエアコンのリモコンを間違って押すことがたびたびあったそうです。昼間は一人で過ごしているので、体調の維持に直接関係するエアコンのリモコンだけは一人で操作できるように工夫したい、というねらいがありました。
(家族から見て)住まいの工夫が役立つと感じる理由
一人で問題なく操作できているようなので、今のところは役に立っているとのことでした。
専門家からみたひとこと
今回取り上げた住まいの工夫は、リモコン操作に必要なボタンを目立つ色に着色することによって、認知症の方が受け取る情報量をコントロールしている例でした。この工夫は、冒頭でも触れたように、前回ご紹介したリモコンの不要なボタンを隠した工夫と「情報量をコントロールする」という意味で近い工夫といえます。
前回は「もの(リモコン)」と「ことば(解説図)」を並べて配置していましたが、今回の工夫はリモコン本体に「ピンク色の3ケ所のみ」「エアコン」という取り扱い説明の「ことば」を書き加えていた点でも、よく似た工夫です。
このように家電製品のボタンを目立たせることで操作方法をわかりやすくする住まい工夫は、電子レンジのボタンに赤いシールを貼っている例、洗濯機の操作をする時押すボタンと押す順番が分るように番号(1、2・・・のように)も書いたシールを貼った例など類似する工夫がたくさんあります。
これらの事例から学べることは、同じ目的の住まいの工夫でも、認知症の方の状況や在宅生活の条件によって、適切な方法は異なる、ということです。同時に、それが生活の中で、本人専用のものか同居家族との共用にものかによっても、必要とされるボタンのかたちは関わってきます。
一般的に認知症になると、例えば「この赤いシールより、使わないボタンを隠した方がわかりやすい」など、自分にとってどのようなものがわかりやすいかを判断して、それを他の人に伝えることが難しくなります。そして、わかりやすいと感じるポイントやわかる範囲が人によって異なったり、認知症の進行状況や視覚などの身体能力などによる違いもあるという特徴があります。
ですから、試みた住まいの工夫が上手くいかなかった場合、視力の低下も含めて認知症の方の受け止められる情報の量と質にふさわしい住まいの工夫に至っていない可能性も疑ってほしいと思います。特にわかりやすさを助ける住まいの工夫では、様々な住まいの工夫を試しながら、その方に合った住まいの工夫を見つけていくことが遠回りをしているようでも実は近道ではないでしょうか。生活条件や認知症の方の状態像に合わせて使い分けられるように、似ているけれども「ちょっとずつ違う」住まいの工夫のアイディアを蓄積していただきたいと思います。
前回は「もの(リモコン)」と「ことば(解説図)」を並べて配置していましたが、今回の工夫はリモコン本体に「ピンク色の3ケ所のみ」「エアコン」という取り扱い説明の「ことば」を書き加えていた点でも、よく似た工夫です。
このように家電製品のボタンを目立たせることで操作方法をわかりやすくする住まい工夫は、電子レンジのボタンに赤いシールを貼っている例、洗濯機の操作をする時押すボタンと押す順番が分るように番号(1、2・・・のように)も書いたシールを貼った例など類似する工夫がたくさんあります。
これらの事例から学べることは、同じ目的の住まいの工夫でも、認知症の方の状況や在宅生活の条件によって、適切な方法は異なる、ということです。同時に、それが生活の中で、本人専用のものか同居家族との共用にものかによっても、必要とされるボタンのかたちは関わってきます。
一般的に認知症になると、例えば「この赤いシールより、使わないボタンを隠した方がわかりやすい」など、自分にとってどのようなものがわかりやすいかを判断して、それを他の人に伝えることが難しくなります。そして、わかりやすいと感じるポイントやわかる範囲が人によって異なったり、認知症の進行状況や視覚などの身体能力などによる違いもあるという特徴があります。
ですから、試みた住まいの工夫が上手くいかなかった場合、視力の低下も含めて認知症の方の受け止められる情報の量と質にふさわしい住まいの工夫に至っていない可能性も疑ってほしいと思います。特にわかりやすさを助ける住まいの工夫では、様々な住まいの工夫を試しながら、その方に合った住まいの工夫を見つけていくことが遠回りをしているようでも実は近道ではないでしょうか。生活条件や認知症の方の状態像に合わせて使い分けられるように、似ているけれども「ちょっとずつ違う」住まいの工夫のアイディアを蓄積していただきたいと思います。