第12回 安心できる空間をつくる工夫 その3〜居場所確保と手すり設置〜
みなさんは家の中で、決まって座る場所やお気に入りの場所があるでしょうか。おそらく認知症の方にもお気に入りの場所があると思います。今回は、自分の居場所を確保することが、認知症の方が安心して暮らせる環境につながっていた事例をご紹介します。
住まいの工夫の内容
住まいの工夫を行った理由・ねらい
家族は、認知症になっても自分のペースで生活ができるように住まいの工夫をしたいと考えていました。お仏壇のある居間は、認知症の方が一日の中で最も多くの時間を過ごす場所であり、その方にとって大切な場所でした。そこで、居間の居場所を拠点に家の中を自分のペースで安全に移動できるようにという思いが、居場所から手の届く範囲に手すりを付けるという工夫につながりました。
(家族から見て)住まいの工夫が役立つと感じる理由
手すりは居間以外にも玄関や浴室などにも設置していましたが、居間の手すりは最もよく活用され役立っているということでした。
また、認知症なったとは言え、その方は家族や親戚をまとめる家長なので、家族や親戚の方々は、皆が集まる居間を見渡せる位置に認知症の方の居場所があることを相応しく感じていました。
また、認知症なったとは言え、その方は家族や親戚をまとめる家長なので、家族や親戚の方々は、皆が集まる居間を見渡せる位置に認知症の方の居場所があることを相応しく感じていました。
専門家からみたひとこと
この事例の認知症の方は、家族や親戚の誰に対しても愛情を注ぐ人であり、家長として一族をまとめ、皆に信頼されている人でもありました。生活環境の全般を通じて、家族の中心でもある認知症の方の生活やこだわりを大切にしたいという家族の思いを活かした住まいの工夫が行われていました。
認知症ケアのポイントのひとつに、生活の継続性を活かした支援の必要性があります。今回の事例でいう生活の継続性とは、認知症が発症しても家族のなかでの大切な人であること、家族の中に置ける立場(役割)も変わらない生活を維持していこうとする思いを家族が共有していたということだろうと思います。それを実現する具体的な方法とひとつが、居間の居場所確保と手すりの設置という住まいの工夫でした。
この事により、認知症の方も含めた家族にとって大切な居間が認知症の方にとって安心できる場所(空間)につながっていたといえます。
認知症ケアのポイントのひとつに、生活の継続性を活かした支援の必要性があります。今回の事例でいう生活の継続性とは、認知症が発症しても家族のなかでの大切な人であること、家族の中に置ける立場(役割)も変わらない生活を維持していこうとする思いを家族が共有していたということだろうと思います。それを実現する具体的な方法とひとつが、居間の居場所確保と手すりの設置という住まいの工夫でした。
この事により、認知症の方も含めた家族にとって大切な居間が認知症の方にとって安心できる場所(空間)につながっていたといえます。