第4回 情報の伝え方の工夫(3)〜複数口の電源タップに表示をつける工夫〜
私たちは家の中で沢山の家電製品を使用しています。そのために、パソコンや携帯電話など複数のプラグを挿せる複数口の電源タップを使用している方も多いと思います。中には省エネを目的に差し口ごとに電源の入/切を操作できる個別のスイッチがついている製品もあります。どの差し口がどの家電製品のものか分からず、抜いてはいけないプラグを間違って抜いてしまった経験はないでしょうか。今回は、このような間違いを防ぎ、認知症の方が暮らしやすくするために行われていた延長コードに表示をつける工夫をご紹介します。
住まいの工夫の内容
電源タップの差し込み口に、「ポット」「仏だん」などマジックで記入した紙やシールを貼り、どの差し込み口にどの家電製品の電源が挿さっているか一目でわかるようにしていました。
住まいの工夫を行った理由・ねらい
携帯電話やポットなどの家電製品の電源コンセントが電源タップのどの口に挿さっているのかわからなくなることがありました。間違ってポットの電源を抜いてしまい、後になってお湯がなくて戸惑うことのないように工夫していました。
(家族から見て)住まいの工夫が役立つと感じる理由
間違えなくなるし、節電にもなるということでした。
専門家からみたひとこと
今回ご紹介した工夫自体は、認知症の方・高齢者に限らず実践されている工夫ではないでしょうか。私たちがこの工夫を通じて学んだことは、工夫自体はめずらしいものではありませんが、他の人にとっては当たり前だ、わかっているはずだということでも、認知症のある方にとって、説明や表示が必要だということです。
この事例の方は、ご家族が仕事をしている昼間はひとりで過ごしていました。ご家族からの連絡を受ける携帯電話やお茶を飲むために欠かせないポットは、認知症の方やご家族が安心して生活するために欠かせないものでした。2人暮らしにもかかわらずご飯を10合も炊いてしまったり、めがねや入れ歯を失くすことが多いなど、認知症の方もご家族も独りで過ごすことを心配に感じる点はあるものの、認知症の方のできることを制限せずに何とか現在の生活を保ち続けていました。そのためにも、このお宅では、現在の生活を維持する目的で、様々な住まいの工夫が行われていました。この電源タップに表示をつける工夫も、数多くの小さな工夫の中のひとつでした。
この事例から、住まいの工夫を行わないことや、逆に住まいの工夫を行ったことが、認知症の方が出来ること、いま出来ていることを制限していないだろうか、という点を常に考えることが必要であることを学びました。これは当たり前のことですが、非常に大切な視点だと思います。
この事例の方は、ご家族が仕事をしている昼間はひとりで過ごしていました。ご家族からの連絡を受ける携帯電話やお茶を飲むために欠かせないポットは、認知症の方やご家族が安心して生活するために欠かせないものでした。2人暮らしにもかかわらずご飯を10合も炊いてしまったり、めがねや入れ歯を失くすことが多いなど、認知症の方もご家族も独りで過ごすことを心配に感じる点はあるものの、認知症の方のできることを制限せずに何とか現在の生活を保ち続けていました。そのためにも、このお宅では、現在の生活を維持する目的で、様々な住まいの工夫が行われていました。この電源タップに表示をつける工夫も、数多くの小さな工夫の中のひとつでした。
この事例から、住まいの工夫を行わないことや、逆に住まいの工夫を行ったことが、認知症の方が出来ること、いま出来ていることを制限していないだろうか、という点を常に考えることが必要であることを学びました。これは当たり前のことですが、非常に大切な視点だと思います。