第7回 住空間の快適性 その2〜床材や換気の工夫を組み合わせたにおい対策〜
日本の気候の特徴に、高温多湿という点があります。梅雨時など空気がじめじめしている季節には家の中のにおいが気になる方も少なくないと思います。認知症の方に失禁がみられる場合は、においは季節を問わず気にかけていることであるかもしれません。
今回は、前回に引き続き住空間の快適性をテーマに排泄物の汚れやにおいを軽減するために行った住まいの工夫をご紹介します。
今回は、前回に引き続き住空間の快適性をテーマに排泄物の汚れやにおいを軽減するために行った住まいの工夫をご紹介します。
住まいの工夫の内容
1)汚れのしみ込みを防ぐ工夫(写真1)
床材をカーペットから汚れがしみ込まないフローリングに変更していました。
床材をカーペットから汚れがしみ込まないフローリングに変更していました。
2)換気を充分に行うための工夫
ひとつは、玄関扉に網戸をつける工夫です。玄関扉を開放できるようにして、風を通しやすくしていました。(写真2)
ひとつは、玄関扉に網戸をつける工夫です。玄関扉を開放できるようにして、風を通しやすくしていました。(写真2)
もうひとつは、扇風機を活用する工夫です。換気扇の取付け工事をするのではなく、定期的に窓を開け、扇風機の首振り機能を利用して部屋の中の空気を入れ替えていました。
住まいの工夫を行った理由・ねらい
この事例の方は、トイレの使用が難しくなっていたので、寝室の中の専用コーナーで排泄していました。おむつは常に使っていました。
そのため、カーペットについた排泄物の汚れとにおい対策が必要でした。排泄物のにおいを取り除き、清潔で快適な寝室の環境を保つために住まいの工夫を行う必要がありました。
そのため、カーペットについた排泄物の汚れとにおい対策が必要でした。排泄物のにおいを取り除き、清潔で快適な寝室の環境を保つために住まいの工夫を行う必要がありました。
(家族から見て)住まいの工夫が役立つと感じる理由
床の汚れも拭き取りやすくなり、以前は気になっていた排泄物のにおいが前ほどは気にならなくなった、ということでした。空間全体の換気効率を高めることによって、後始末などの家族の負担が軽減し、家族の生活空間も快適になったということでした。
専門家からみたひとこと
私たちは、この住まいの工夫から2つの点を学んだと考えています。
ひとつは、「固定観念にとらわれずに住まいの工夫を行う」姿勢です。
今回の事例では、扇風機を換気のために転用していました。認知症の方にとって見慣れない新しい換気扇などの機器を生活環境に持ち込むより、見慣れた扇風機を活用した方がずっと違和感が無いと思います。私たちが訪問したのは冬でしたが、季節を問わず玄関扉を開け、扇風機を活用して効果的に換気を行っていました。このように、固定観念にとらわれない工夫から大きな気付きを得ました。
もうひとつは、「住空間の快適性は、人や社会とのつながりを保つためにも重要」という視点です。
家のなかのにおい、とりわけ排泄物のにおいは非常にデリケートな話題であると思います。住宅の立地条件、家の構造や間取り、エアコンなどの設備によってもその影響はずいぶん異なるのではないかと思います。
住空間の快適性は、認知症の方はもとより、一緒に生活する家族の生活の快適性を保つためには不可欠の要素です。また、この事例の方は、認知症の方やご家族を訪ねて近所の方が訪問されることがたびたびありました。訪問者はにおいを感じなかったり、気にしない場合でも招き入れる側が気になるときには、気楽に人を家に招きにくくなってしまった経験があるのではないでしょうか。
このようなことから、快適な住空間を保つことは、健康を保持し、快適な生活を送るためだけにあるのではなく、一緒に暮らす家族ともども人や社会とつながりを保つためにも重要である、という視点に気付くきっかけとなった工夫でした。
ひとつは、「固定観念にとらわれずに住まいの工夫を行う」姿勢です。
今回の事例では、扇風機を換気のために転用していました。認知症の方にとって見慣れない新しい換気扇などの機器を生活環境に持ち込むより、見慣れた扇風機を活用した方がずっと違和感が無いと思います。私たちが訪問したのは冬でしたが、季節を問わず玄関扉を開け、扇風機を活用して効果的に換気を行っていました。このように、固定観念にとらわれない工夫から大きな気付きを得ました。
もうひとつは、「住空間の快適性は、人や社会とのつながりを保つためにも重要」という視点です。
家のなかのにおい、とりわけ排泄物のにおいは非常にデリケートな話題であると思います。住宅の立地条件、家の構造や間取り、エアコンなどの設備によってもその影響はずいぶん異なるのではないかと思います。
住空間の快適性は、認知症の方はもとより、一緒に生活する家族の生活の快適性を保つためには不可欠の要素です。また、この事例の方は、認知症の方やご家族を訪ねて近所の方が訪問されることがたびたびありました。訪問者はにおいを感じなかったり、気にしない場合でも招き入れる側が気になるときには、気楽に人を家に招きにくくなってしまった経験があるのではないでしょうか。
このようなことから、快適な住空間を保つことは、健康を保持し、快適な生活を送るためだけにあるのではなく、一緒に暮らす家族ともども人や社会とつながりを保つためにも重要である、という視点に気付くきっかけとなった工夫でした。