第20回 わかりやすさを助ける工夫 その1〜情報量をコントロールしたリモコンと解説図〜
近年、高齢者対応の「わかりやすさ」をうたった製品を目にすることが多くなりました。私たちが行ってきた調査では、前回取り上げたように仕様がシンプルであることがわかりやすさにつながった例、一般的にはわかりやすい製品であっても、認知症の方にはかえってわかりにくかった例、など様々な例がありました。また、既存の製品に手を加えて、その方にとってわかりやすく・使いやすくカスタマイズしている住まいの工夫も数多く行われていました。そこで、今回から数回に渡り、わかりやすさを助ける住まいの工夫をご紹介したいと思います。
住まいの工夫の内容
エアコンのリモコンのボタンのうち、認知症の方が使わない操作ボタンを隠すために、リモコンの下半分を白い紙のカバーを付けていました。白いリモコンに合わせてカバーも白い紙を使ったことで、わざとらしくなく、そして見た目も美しく操作ボタンが隠されていました。さらに、リモコンの操作方法を図と文字を使った「クーラーの使い方」と題した解説図をつくり、リモコンと並べて置いていました。(写真)
住まいの工夫を行った理由・ねらい
日中はひとりで過ごすので、認知症の方が自分でクーラーを使いこなせるようにしたい、ということでした。以前、リモコンの誤操作によって室温が異常な温度になったことがあり、夏場・冬場の体調管理のためにもリモコンの誤操作を防ぐ工夫が必要でした。
(家族から見て)住まいの工夫が役立つと感じる理由
いまのところ、エアコンのリモコンは使いこなせているようだ、ということでした。テレビのリモコンもエアコンのリモコンに合わせて同様の工夫を行っている、ということでした。
専門家からみたひとこと
今回取り上げた住まいの工夫は、リモコンの不要なボタンを隠すことによって、認知症の方が受け取る情報量をコントロールしている例でした。
この事例のポイントのひとつに、リモコンの操作ボタンの隠し方が秀逸であったことがあります。一見すると、隠してあることがわからない程でした。これは、第3回で取り上げた電化製品のランプにカバーをする工夫や第17回の浴室扉の目立たない鍵と共通点のある工夫でもあります。
そして特筆すべき点として、この事例では、リモコンの不要なボタンを隠すだけでなく、リモコンの操作方法を示した解説図を作り、それをリモコンと並べて配置していたことが挙げられます。つまり、もの(エアコン)と言葉(解説図)の両面からリモコンの操作をわかりやすくしていたといえます。
この事例の方は文字からのメッセージを受け取ることのできる方であったこともあり、リモコンを使いこなすことにつながった好例です。リモコンの解説図はいわゆる「取り扱い説明書」といえますが、解説図に載せる情報量もコントロールしていたことも住まいの工夫が成功した一因といえると思います。
「もの」と「ことば」を並べて配置する工夫は、さりげない工夫ではありますが、複数の事例で実践されていた工夫でした。リモコンだけでなく他のものにも応用できる可能性のある住まいの工夫ではないでしょうか。
この事例のポイントのひとつに、リモコンの操作ボタンの隠し方が秀逸であったことがあります。一見すると、隠してあることがわからない程でした。これは、第3回で取り上げた電化製品のランプにカバーをする工夫や第17回の浴室扉の目立たない鍵と共通点のある工夫でもあります。
そして特筆すべき点として、この事例では、リモコンの不要なボタンを隠すだけでなく、リモコンの操作方法を示した解説図を作り、それをリモコンと並べて配置していたことが挙げられます。つまり、もの(エアコン)と言葉(解説図)の両面からリモコンの操作をわかりやすくしていたといえます。
この事例の方は文字からのメッセージを受け取ることのできる方であったこともあり、リモコンを使いこなすことにつながった好例です。リモコンの解説図はいわゆる「取り扱い説明書」といえますが、解説図に載せる情報量もコントロールしていたことも住まいの工夫が成功した一因といえると思います。
「もの」と「ことば」を並べて配置する工夫は、さりげない工夫ではありますが、複数の事例で実践されていた工夫でした。リモコンだけでなく他のものにも応用できる可能性のある住まいの工夫ではないでしょうか。