第15回 介助犬ユーザーから学んだこと(2)……「魔の2センチ」
今回も前回に引き続き、肢体不自由者の「移動」について考えてみましょう。
「移動」を当たり前のことにするために……
「移動」には、2つの方向があります。それは、「横移動」と「縦移動」。
私たちは普段、何気なくその移動を組み合わせて生活しています。家の中でも、もちろん外でも。
建物内や屋外の道路、公園等、様々な形状のところを、目的地に向かって、階段やエレベーター・エスカレーターを利用しながら2本の足で移動しています。そして多くの場合は、「目的地までどう進めば近道か?」を考えて歩いているかと思います。
しかし、肢体不自由者の場合はそうはいきません。車椅子の利用者や杖歩行の方など、歩行に障がいのある方々は、進める道の形状が限られているのです。そして段差は、最も大きな障壁となります!
皆さんが歩いている歩道、車道との間の段差が、どのくらいあるかおわかりですか? 特に、横断歩道など、人が歩く部分の境目にある段差……。
前回ご紹介した「交通バリアフリー法」が施行されてからは、具体的な方策としての「道路の移動円滑化整備ガイドライン」(基礎編)に、2センチメートルの段差が推奨されています。
が、この2センチが、実は曲者なのです……。
2センチメートルの高さは、視覚障害者が白杖で触れて判断するのに必要な高さです。でも、このたった2センチがあることで、自走式の車椅子利用者は、自力で超えられないことも多く出てきてしまうのです!
前輪を浮かせ、ウイリーが可能な方は乗り越えることができますが、腕の力がない方などには、到底無理なのです。。。この「段差を乗り越える作業」、1日の中で何度も遭遇することがあります。
そんなとき、大活躍してくれるのが介助犬です!
多くのユーザーさんが車椅子利用者なのですが、介助犬がいれば、「プル(引っ張って)」の指示を出し、車椅子の足元前輪のバーに括りつけたバンダナやロープなどの輪っかを、口でくわえて引っ張ってもらえます。これで、ユーザーさん1人では乗り越えられない段差や、長いスロープについて、力を合わせて乗り越えることができるのです!
ただし、全体重をすべて犬だけの力で引っ張るのではなく、ユーザーさんの力も合わせて引っ張ります。(獣医学的観点・動物福祉の観点からも)補助犬の福祉が保たれない状態では、ユーザーの福祉は成り立ちません。
肢体不自由者は、移動に困難が生じたときには人に頼むしかありません。そして、人に頼むときには「すみませんが、車椅子を押していただけますか?」など、多くの方が気兼ねしながらお願いをされています。
それが、介助犬であれば、シッポふりふり♪大好きなユーザーさんのために指示に従って、喜んでお仕事をしてくれます。しかも、もともと犬にとって【くわえて引っ張る】という作業は、遊びの延長で大好きな作業♪ そんな大好きなことをして、大好きなユーザーさんに褒められ、さらにシッポふりふりが倍増する、というわけです。
ですので、介助犬とは、肢体不自由者の移動のUD(ユニバーサルデザイン)を実現するためのサポートもしてくれていると感じています。
最近では、横断歩道の切れ目部分の段差の一部に傾斜をつけ、段差をなくしたタイプのブロックも登場しました。これは、視覚障害者・肢体不自由者双方にとって優しいつくりになっています。これはつまり、高齢者・子どもをはじめ、すべての人が利用しやすいということになります♪
※参考:品川区の取り組み「まちで見かけるバリアフリー」
ひとことで、UD(ユニバーサルデザイン)と言っても、【すべての人に優しいデザイン】というものは、本当に難しいな〜と感じることがたくさんあります。それらに関しては、今後も触れていきたいと思っています。
次回は、「聴覚障害者から学んだこと」をご紹介します。どうぞお楽しみに♪
私たちは普段、何気なくその移動を組み合わせて生活しています。家の中でも、もちろん外でも。
建物内や屋外の道路、公園等、様々な形状のところを、目的地に向かって、階段やエレベーター・エスカレーターを利用しながら2本の足で移動しています。そして多くの場合は、「目的地までどう進めば近道か?」を考えて歩いているかと思います。
しかし、肢体不自由者の場合はそうはいきません。車椅子の利用者や杖歩行の方など、歩行に障がいのある方々は、進める道の形状が限られているのです。そして段差は、最も大きな障壁となります!
皆さんが歩いている歩道、車道との間の段差が、どのくらいあるかおわかりですか? 特に、横断歩道など、人が歩く部分の境目にある段差……。
前回ご紹介した「交通バリアフリー法」が施行されてからは、具体的な方策としての「道路の移動円滑化整備ガイドライン」(基礎編)に、2センチメートルの段差が推奨されています。
が、この2センチが、実は曲者なのです……。
2センチメートルの高さは、視覚障害者が白杖で触れて判断するのに必要な高さです。でも、このたった2センチがあることで、自走式の車椅子利用者は、自力で超えられないことも多く出てきてしまうのです!
前輪を浮かせ、ウイリーが可能な方は乗り越えることができますが、腕の力がない方などには、到底無理なのです。。。この「段差を乗り越える作業」、1日の中で何度も遭遇することがあります。
そんなとき、大活躍してくれるのが介助犬です!
多くのユーザーさんが車椅子利用者なのですが、介助犬がいれば、「プル(引っ張って)」の指示を出し、車椅子の足元前輪のバーに括りつけたバンダナやロープなどの輪っかを、口でくわえて引っ張ってもらえます。これで、ユーザーさん1人では乗り越えられない段差や、長いスロープについて、力を合わせて乗り越えることができるのです!
ただし、全体重をすべて犬だけの力で引っ張るのではなく、ユーザーさんの力も合わせて引っ張ります。(獣医学的観点・動物福祉の観点からも)補助犬の福祉が保たれない状態では、ユーザーの福祉は成り立ちません。
肢体不自由者は、移動に困難が生じたときには人に頼むしかありません。そして、人に頼むときには「すみませんが、車椅子を押していただけますか?」など、多くの方が気兼ねしながらお願いをされています。
それが、介助犬であれば、シッポふりふり♪大好きなユーザーさんのために指示に従って、喜んでお仕事をしてくれます。しかも、もともと犬にとって【くわえて引っ張る】という作業は、遊びの延長で大好きな作業♪ そんな大好きなことをして、大好きなユーザーさんに褒められ、さらにシッポふりふりが倍増する、というわけです。
ですので、介助犬とは、肢体不自由者の移動のUD(ユニバーサルデザイン)を実現するためのサポートもしてくれていると感じています。
最近では、横断歩道の切れ目部分の段差の一部に傾斜をつけ、段差をなくしたタイプのブロックも登場しました。これは、視覚障害者・肢体不自由者双方にとって優しいつくりになっています。これはつまり、高齢者・子どもをはじめ、すべての人が利用しやすいということになります♪
※参考:品川区の取り組み「まちで見かけるバリアフリー」
ひとことで、UD(ユニバーサルデザイン)と言っても、【すべての人に優しいデザイン】というものは、本当に難しいな〜と感じることがたくさんあります。それらに関しては、今後も触れていきたいと思っています。
次回は、「聴覚障害者から学んだこと」をご紹介します。どうぞお楽しみに♪
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