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第３回　筋力トレーニングの実際

　これまで、筋力トレーニングの必要性やその効果についてお話してきました。今回は、具体的な筋力トレーニングプログラムをご紹介いたします。

無理なくできる自分の体重を使った筋力トレーニング

　自分の体重を負荷にして行う筋力トレーニングは、マシンを用いたトレーニングに比べて無理な負荷がかかりにくく、自宅や職場などどこでも行えますので、これから筋力トレーニングを始める方には取り組みやすいと思います。また、筋力トレーニングには、上半身を強化する種目と下半身を強化する種目がありますが、筋力トレーニングを初めて行うという方は、歩行に関連した大腰筋や太ももの筋肉など下半身の筋肉を強化する種目から行うとよいでしょう。

下半身を強化する筋力トレーニング

　４種類のトレーニングを紹介します。それぞれ10回を1セットとして、１～３セットを目安に行ってください。筋力トレーニング中は、呼吸を止めて行うと血圧が上がりやすいため、息を吐きながら行い、反動をつけずにゆっくりと動かし、使っている筋肉に意識を向けながら行いましょう。

＜筋力トレーニングを行う時の注意点＞
（１）呼吸を止めない
（２）反動をつけずにゆっくり行う
（３）使っている筋肉を意識する

ももあげ

　いすに座り、背筋を伸ばします。

　ゆっくりと息を吐きながら、おなかと膝を抱え込むように片足を持ち上げ、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。

膝伸ばし

　いすに浅めに腰かけ、背筋を伸ばします。

　ゆっくりと息を吐きながら片方の膝を伸ばし、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。

蹴りだし　

　いすの後ろに背筋を伸ばして立ちます。

　腰を反らせないように、息を吐きながらゆっくりと踵から足を後方へ持ち上げ、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。

スクワット

　両手をいすの背に置き、肩幅に足を開き、背筋を伸ばして立ちます。

　息を吐きながらゆっくりと膝を45度程度曲げ（膝がつま先と同じ方向に曲がることを確認しながら）、ゆっくりと元に姿勢に戻ります。

高齢者では、個別プログラムが重要

　高齢者においては、個人の生活機能や身体特性が様々ですので、安全で効果的に行うためには、トレーニングする人の特性を考慮し、その人に合った「個別プログラム」が重要となります。個別プログラムの実施によって、初めて安全かつ確実に効果が得られます。
　今回ご紹介した筋力トレーニングは初心者でも無理なく行えるものですが、自己流で体力の評価を行ったり、トレーニングプログラムを実践したりすると、効果が出ないばかりか、ケガを招くなど、かえって危険なことさえあります。実践する際には、正しい方法で無理なく自分に合ったプログラムを行いましょう。

著者である久野譜也先生の活動は、こちらをご覧ください: 筑波大学久野研究室
〒305-8577 茨城県つくば市天王台１-１-１
総合研究棟Ｄ（309号室）
スポーツ医学専攻久野研究室
http://wellness.taiiku.tsukuba.ac.jp/

株式会社つくばウエルネスリサーチ
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久野譜也
(くのしんや)

1962年生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院博士課程医学研究科修了。東京大学助手、ペンシルヴァニア大学客員研究員、筑波大学講師等を経て、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授。
2002年、筑波大学発のベンチャー企業であるつくばウエルネスリサーチを設立。最先端の健康政策の研究に取り組むとともに、市町村、企業、健保組合を中心に科学的根拠に基づく健康増進支援システムの普及に努めている。
著書に『寝たきり予防の簡単筋トレ』『代謝高めて中高年ダイエット』（以上、ＮＨＫ出版）、『健康遺伝子をオンにしよう！』（サンマーク出版）など多数。