第1回 筋力トレーニングはなぜ必要?
歳をとっても、筋力は向上する
最近、介護予防の観点から筋力トレーニングが注目されています。以前であれば、高齢者に筋力トレーニングはとんでもないとされてきましたが、様々な研究から安全管理のもと適切な負荷で行えば比較的自立した高齢者から介護が必要な層まで効果があることがわかってきました。
介護が必要となる要因
我々日本人で介護が必要になるきっかけの第一位の要因は、「脳卒中」です。第二位は「高齢による衰弱」、第三位は「転倒・骨折」と続きます。
脳卒中の対策ですが、運動の予防法として一番良いのが有酸素運動です。皆さんが手軽にできるのがウォーキングでしょう。この有酸素運動は、血圧を下げたり、血中脂質の状態を改善したりするのに効果的です。
転倒は下半身の筋力低下から
では、転倒・骨折予防をするにはどうしたらよいのでしょうか。転倒の原因として、実際には複数の要因が関係していますが、原因の一つに老化により下半身の筋力が低下することがあげられます。転倒予防という観点から考えますと、老化に伴う筋力の低下を防ぐ、あるいは低下した筋力を向上すれば予防につながることになるわけです。
筋肉量の維持はウォーキングのみでは難しい
老化による筋力の低下がおきる理由は、私たちの体を構成している筋肉の量が老化により減少するためです。ですから、転倒を予防するためには筋肉の量をいかに維持・増大させるかが鍵となります。しかし、残念ながらウォーキングのみでは、筋量の低下を抑えたり筋量を増加させたりすることはできません。そこで必要なのが、筋力トレーニングなのです。
大腰筋が動きのかなめ
特に歩行能力の維持が生活には欠かせない
歩行は私たちの日常生活において基本動作です。転倒を予防するという観点からだけでなく、介助を必要とせず歩くことができ、自立した日常生活をおくるという点からも、筋力トレーニングによって大腰筋をはじめとした歩行にかかわる筋力を維持しておくことは非常に重要なのです。
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