第33回 娘の孫に対する教育熱心ぶりが心配です。
まず娘さんの「何かしなければ」という不安な気持ちを考えましょう
【Q】
娘夫婦は私たち夫婦の敷地内に住んでいます。娘はもともと航空関係の仕事をしていて、産休後、職場復帰する予定でした。しかし、孫が保育園に通い出したその日から出勤と園への送りがうまくいかず、娘は復帰の予定を泣く泣く断念しました。娘の仕事は不規則で、義理の母親からも働くことを反対されて釘を刺されたようです。
その後、孫は元気に2歳になりましたが、娘は孫を毎日のように漢字教室や英会話、リトミック等のお稽古に通わせています。さらに、今度は受験準備のための教室にも通うと喜び勇んでいます。私が子育てしていた時代は「子どもは元気に遊ぶのが仕事だ」と育ててきましたが、今は昔と違うのでしょうか。娘が孫に絵カードを差し出すと、孫が奇声をあげるのも気にかかります。
なお、娘の夫は海外出張が多く、あまり相談にのってもらえないといいます。何かよいアドバイスをして下さい。
【A】
ポイントは、娘さんご夫婦で子どものことについてゆっくり話す時間をつくることです
【解説】
今の母親は子育てに対する不安を持ちやすく、「こうすれば、あなたのお子さんはもっと素晴らしくなりますよ」「刺激を与えることによって脳はどんどん発達しますよ」「子どもの育ちは親次第ですよ」「3歳までに脳のシナプスを増やす方がよい」といった情報に振り回されやすい傾向が明らかになっています。
これらの背景には、(1)母親の育児能力への自信喪失、(2)メディアによる紹介、(3)民間企業の教育産業への参入、(4)少子化で子どもにかける期待と時間、お金の増加、(5)ゆとり教育への不信感と先取り教育、(6)受験準備のための競争の低年齢化、(7)臨界期などの脳の発達研究への興味、(8)母親自身が裕福な高学歴で育ったこと、(9)兄弟が少なく育った母親には子育て子育ての目安となる「子ども像」が描きにくいこと、(10)母親の育児不安をあおる土壌が主な理由とされています。
そのため、「だからこそ何かしなければ」という気持ちに駆り立てられやすいようです。お孫さんがカードを見ると奇声を発することも気になりますね。
実は早期の教育の多くの場合には基本原則があるため、一定の方向と順序を認め、「もっと早く、高く、正確に」ということが求められます。具体的には、大きく(1)右脳教育、(2)パターン教育、(3)カード教育に分けられます。そのため、これらのいずれかのパターンを覚え、暗記イコール学習のスタイルで進めていく場合が多いようです。
また、教育準備の低年齢化は子どもの出生数と反比例する形で進行していると指摘されています。フランチャイズやチェーン店の幼児能力の開発教室などが数多くあり、出版社や教育産業の子ども通信添削も低年齢化で増えています。
ちなみに、乳幼児のお稽古事教室を紹介したホームページ「子どもぴあ」をみると、全国の主要都市周辺のお稽古の教室だけでも1000を超えています。
また、文部科学省(2006年)のデータによれば、昨今の不況で約4割強の保護者の家庭が支出の削減のため、子どもの教育費を優先的にやりくりする親心がみられます。それだけ子どもへの期待があるのですが、子どもの春思期に「成長を急がされた」という問題が数多く報告されています。今回のケースにもみられるように、これらに駆り立てられる母親には子育ての不安や孤立化を補うための場合があるのです。
あなたは娘さんの夫が海外出張のため、娘さんは子育ての相談を夫にできないと決めつけていますが、果たしてそうでしょうか。このことについては娘さんを責めるのではなく、まずは娘さんご夫婦でじっくり話すことです。娘さんの教育熱の根源は何なのか、考える時期なのかもしれませんからです。
そこで、夫婦で子育ての楽しさを共有することや、どのような子に育てたいかをきっかけにしてはいかがでしょうか。その際、重要なことは(1)発達段階をふまえた子どもに見合った教育をする、(2)自発的な遊びを大切にする、(3)その教育に対して冷静な目で判断する、(4)子どもも親同士も比較や競争はしない、(5)本来の子どもの生活の中での遊びや心の育ちとすることです。
乳幼児期には子ども自身が母親とわくわくしながら想像したり、失敗したりの学習活動を行うことがその後の能力の発達に大切になります。遊びのなかでの試行錯誤の大切さは大脳生理学からも証明されています。何か特別な教育用のものよりも生活のなかで育まれた遊びやおもちゃ、絵本の読み聞かせ、自由で豊かな子育てを行うことが大事です。
そのためには、娘さんの夫の子育てへの参加や妻へのねぎらいの言葉、地域での子育ても視野に入れる必要があります。親子で遊べる場所も必要です。また、娘夫婦が子育てについてよく話すこと、娘さんを育てたときの失敗談や悩みを共有するなど、あなたの橋渡しの役割もありそうですね。
娘夫婦は私たち夫婦の敷地内に住んでいます。娘はもともと航空関係の仕事をしていて、産休後、職場復帰する予定でした。しかし、孫が保育園に通い出したその日から出勤と園への送りがうまくいかず、娘は復帰の予定を泣く泣く断念しました。娘の仕事は不規則で、義理の母親からも働くことを反対されて釘を刺されたようです。
その後、孫は元気に2歳になりましたが、娘は孫を毎日のように漢字教室や英会話、リトミック等のお稽古に通わせています。さらに、今度は受験準備のための教室にも通うと喜び勇んでいます。私が子育てしていた時代は「子どもは元気に遊ぶのが仕事だ」と育ててきましたが、今は昔と違うのでしょうか。娘が孫に絵カードを差し出すと、孫が奇声をあげるのも気にかかります。
なお、娘の夫は海外出張が多く、あまり相談にのってもらえないといいます。何かよいアドバイスをして下さい。
桶川市・S子(55歳)
【A】
ポイントは、娘さんご夫婦で子どものことについてゆっくり話す時間をつくることです
【解説】
今の母親は子育てに対する不安を持ちやすく、「こうすれば、あなたのお子さんはもっと素晴らしくなりますよ」「刺激を与えることによって脳はどんどん発達しますよ」「子どもの育ちは親次第ですよ」「3歳までに脳のシナプスを増やす方がよい」といった情報に振り回されやすい傾向が明らかになっています。
これらの背景には、(1)母親の育児能力への自信喪失、(2)メディアによる紹介、(3)民間企業の教育産業への参入、(4)少子化で子どもにかける期待と時間、お金の増加、(5)ゆとり教育への不信感と先取り教育、(6)受験準備のための競争の低年齢化、(7)臨界期などの脳の発達研究への興味、(8)母親自身が裕福な高学歴で育ったこと、(9)兄弟が少なく育った母親には子育て子育ての目安となる「子ども像」が描きにくいこと、(10)母親の育児不安をあおる土壌が主な理由とされています。
そのため、「だからこそ何かしなければ」という気持ちに駆り立てられやすいようです。お孫さんがカードを見ると奇声を発することも気になりますね。
実は早期の教育の多くの場合には基本原則があるため、一定の方向と順序を認め、「もっと早く、高く、正確に」ということが求められます。具体的には、大きく(1)右脳教育、(2)パターン教育、(3)カード教育に分けられます。そのため、これらのいずれかのパターンを覚え、暗記イコール学習のスタイルで進めていく場合が多いようです。
また、教育準備の低年齢化は子どもの出生数と反比例する形で進行していると指摘されています。フランチャイズやチェーン店の幼児能力の開発教室などが数多くあり、出版社や教育産業の子ども通信添削も低年齢化で増えています。
ちなみに、乳幼児のお稽古事教室を紹介したホームページ「子どもぴあ」をみると、全国の主要都市周辺のお稽古の教室だけでも1000を超えています。
また、文部科学省(2006年)のデータによれば、昨今の不況で約4割強の保護者の家庭が支出の削減のため、子どもの教育費を優先的にやりくりする親心がみられます。それだけ子どもへの期待があるのですが、子どもの春思期に「成長を急がされた」という問題が数多く報告されています。今回のケースにもみられるように、これらに駆り立てられる母親には子育ての不安や孤立化を補うための場合があるのです。
あなたは娘さんの夫が海外出張のため、娘さんは子育ての相談を夫にできないと決めつけていますが、果たしてそうでしょうか。このことについては娘さんを責めるのではなく、まずは娘さんご夫婦でじっくり話すことです。娘さんの教育熱の根源は何なのか、考える時期なのかもしれませんからです。
そこで、夫婦で子育ての楽しさを共有することや、どのような子に育てたいかをきっかけにしてはいかがでしょうか。その際、重要なことは(1)発達段階をふまえた子どもに見合った教育をする、(2)自発的な遊びを大切にする、(3)その教育に対して冷静な目で判断する、(4)子どもも親同士も比較や競争はしない、(5)本来の子どもの生活の中での遊びや心の育ちとすることです。
乳幼児期には子ども自身が母親とわくわくしながら想像したり、失敗したりの学習活動を行うことがその後の能力の発達に大切になります。遊びのなかでの試行錯誤の大切さは大脳生理学からも証明されています。何か特別な教育用のものよりも生活のなかで育まれた遊びやおもちゃ、絵本の読み聞かせ、自由で豊かな子育てを行うことが大事です。
そのためには、娘さんの夫の子育てへの参加や妻へのねぎらいの言葉、地域での子育ても視野に入れる必要があります。親子で遊べる場所も必要です。また、娘夫婦が子育てについてよく話すこと、娘さんを育てたときの失敗談や悩みを共有するなど、あなたの橋渡しの役割もありそうですね。
専門学校講師・白石京子
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(アクティブシニア編集部)