第19回 離婚問題について<2>
離婚したいのですが…
【Q】
夫は63歳で、最近、定年となりました。仕事は真面目でしたが、ワンマンで普段から命令調です。昔から時々手をあげましたが、幼い子どもが3人いたので、これまで我慢してきました。今は子どももそれぞれ独立し、近所に住んでいます。夫は定年後、再就職せず、家におり、専業主婦の私といつも顔を合わせ、毎日、嫌みをいうので苦痛です。
とくに最近はイライラして八つ当たりをしてきます。「今まで、だれが食べさせてきたんだ」、「今度はお前が働け」などと怒鳴ります。針のむしろに座っているような気分で食欲もなくなり、5キロもやせました。こんな生活では残りの人生が無駄です。この際、離婚したいと考えるようになりましたが、できるでしょうか。
【A】
熟年離婚するか否か、まずは熟知から
ご主人の定年後、あなたの生活が急激に変化し、困惑されているのですね。今まで離婚を考え、そのための準備をしたことはあるのでしょうか。それが第一のポイントです。
次に、あなたの味方になってくれる人はいますか。さらに、お子さんたちの意見はどうでしょうか。まずは、あなたの意思の確認と、今後の生活設計をいくつかシミュレーションしてみて下さい。
【解説】
一般に、夫が定年後、毎日家にいるようになったときが夫婦の人生の最大の転機といわれています。これまで互いにそれぞれのペースで暮らしてきたため、ギャップが埋まらず、さらに遠慮なしの関わり方だと一層ギスギスしてしまいます。
あなたの場合、まず、ご主人が今までの生活から脱却できず、やりどころのない気持ちをあなたに八つ当たりしているようですね。このため、それまでうまく保ってきた距離が変化し、互いに短所ばかりが目につくようになることがあります。このままだと、ささいな喧嘩も継続してしまいますね。
今まで、ご主人との生活で十分に話し合わずにやってきたことが露呈したともいえますので、互いのペースがとれるまで、時間はかかるかもしれません。ご主人はこれから地域社会の中で友人やつながりをつくることは可能なタイプでしょうか。それが可能なら2人でいろいろチャレンジすることができます。ご主人の今までの職歴を地域で活かすチャンスがあるでしょう。
しかし、やはりあなたがご主人との生活を清算することを希望するのならば話は別です。老後は気がねをせず、のんびり暮らしたい気持ちもわかります。具体的に、あなたはだれとどこでどのように暮らすかイメージしてみて、一時の気持ちなのかどうか振り返ってみて下さい。また、今後、経済的にどうするかは大きな指標になります。ご主人が家を出ていかなければ、あなたがアパートを借りて住むことになります。
まずは、あなたの今の気持ちをご主人に伝えることが重要です。さらに、2人での話し合いが無理なら調停を申し立てることになります。妻からの離婚調停を申し立てられても「自分は悪いことをしていない」と、あなたの気持ちや離婚の理由が自覚できないこともあります。
調停では、ご主人が暴力的であることは離婚の理由になりますが、それが夫婦関係の破綻している理由になるかは争点になるかもしれません。残念ながら、ご主人は生活費をきちんと入れ、不貞もせず、真面目に生活を維持してきたなら離婚の理由としては少し弱いでしょう。あなたの気持ちを十分伝え、理解してもらう努力が必要になってきます。
そこで、あなたの言い分を時系列に書き記すといいでしょう。そのなかで、ご主人が離婚に合意してくれればその他の条件(財産分与等)に話は進みますが、ご主人が離婚に納得しなければ調停は継続していくことになります。それでも、あなたがどうしても離婚したいなら、当分、あなたが家を出て別居の期間をおき、ある程度の時間を経て、その後、離婚の手続きを進める方法もあります。相手の立場になれば、同居のまま離婚といわれても本気にしないかもしれません。
その際、婚姻費用分担(生活費)をご主人に求めることもできます。引っ越しの費用をご主人に出してほしいと調停で話すこともできますが、相手は心情的に「自分は悪くない。勝手に出て行った」という気持ちの場合、あなたが自腹を覚悟で進めるしかありません。しかし、すべての清算の際に役立つことも考えられますので、領収書はしっかり保管しておいて下さい。
別居することのメリットは、互いに離れて暮らし、冷静になることです。夫婦のやり直しを踏まえて話し合いを進めることもできます。また、別居して事実上離れて暮らし、あなたたちの夫婦の交流が途絶え、「修復の見込みがない」と将来的に判断してもらえることもあります。ただ、生活費はそれぞれが負担するという課題が残ります。やみくもに家を出ると、窮地に陥る場合もありますので頭に入れておいて下さい。
さらに、あてにしていたご主人名義の保険の解約金や家計費から貯めた貯金等はすべて自分のものにならないこともありますので、注意して下さい。財産の一覧表やお金の出入りをきちんとしておき、いつでも説明ができることが必要になります。
以上のことも勘案し、離婚後の生活設計を多面的に考えた準備をしたうえで、離婚の意思表示をする方がいいかもしれません。
夫は63歳で、最近、定年となりました。仕事は真面目でしたが、ワンマンで普段から命令調です。昔から時々手をあげましたが、幼い子どもが3人いたので、これまで我慢してきました。今は子どももそれぞれ独立し、近所に住んでいます。夫は定年後、再就職せず、家におり、専業主婦の私といつも顔を合わせ、毎日、嫌みをいうので苦痛です。
とくに最近はイライラして八つ当たりをしてきます。「今まで、だれが食べさせてきたんだ」、「今度はお前が働け」などと怒鳴ります。針のむしろに座っているような気分で食欲もなくなり、5キロもやせました。こんな生活では残りの人生が無駄です。この際、離婚したいと考えるようになりましたが、できるでしょうか。
釧路市・女性(60歳)
【A】
熟年離婚するか否か、まずは熟知から
ご主人の定年後、あなたの生活が急激に変化し、困惑されているのですね。今まで離婚を考え、そのための準備をしたことはあるのでしょうか。それが第一のポイントです。
次に、あなたの味方になってくれる人はいますか。さらに、お子さんたちの意見はどうでしょうか。まずは、あなたの意思の確認と、今後の生活設計をいくつかシミュレーションしてみて下さい。
【解説】
一般に、夫が定年後、毎日家にいるようになったときが夫婦の人生の最大の転機といわれています。これまで互いにそれぞれのペースで暮らしてきたため、ギャップが埋まらず、さらに遠慮なしの関わり方だと一層ギスギスしてしまいます。
あなたの場合、まず、ご主人が今までの生活から脱却できず、やりどころのない気持ちをあなたに八つ当たりしているようですね。このため、それまでうまく保ってきた距離が変化し、互いに短所ばかりが目につくようになることがあります。このままだと、ささいな喧嘩も継続してしまいますね。
今まで、ご主人との生活で十分に話し合わずにやってきたことが露呈したともいえますので、互いのペースがとれるまで、時間はかかるかもしれません。ご主人はこれから地域社会の中で友人やつながりをつくることは可能なタイプでしょうか。それが可能なら2人でいろいろチャレンジすることができます。ご主人の今までの職歴を地域で活かすチャンスがあるでしょう。
しかし、やはりあなたがご主人との生活を清算することを希望するのならば話は別です。老後は気がねをせず、のんびり暮らしたい気持ちもわかります。具体的に、あなたはだれとどこでどのように暮らすかイメージしてみて、一時の気持ちなのかどうか振り返ってみて下さい。また、今後、経済的にどうするかは大きな指標になります。ご主人が家を出ていかなければ、あなたがアパートを借りて住むことになります。
まずは、あなたの今の気持ちをご主人に伝えることが重要です。さらに、2人での話し合いが無理なら調停を申し立てることになります。妻からの離婚調停を申し立てられても「自分は悪いことをしていない」と、あなたの気持ちや離婚の理由が自覚できないこともあります。
調停では、ご主人が暴力的であることは離婚の理由になりますが、それが夫婦関係の破綻している理由になるかは争点になるかもしれません。残念ながら、ご主人は生活費をきちんと入れ、不貞もせず、真面目に生活を維持してきたなら離婚の理由としては少し弱いでしょう。あなたの気持ちを十分伝え、理解してもらう努力が必要になってきます。
そこで、あなたの言い分を時系列に書き記すといいでしょう。そのなかで、ご主人が離婚に合意してくれればその他の条件(財産分与等)に話は進みますが、ご主人が離婚に納得しなければ調停は継続していくことになります。それでも、あなたがどうしても離婚したいなら、当分、あなたが家を出て別居の期間をおき、ある程度の時間を経て、その後、離婚の手続きを進める方法もあります。相手の立場になれば、同居のまま離婚といわれても本気にしないかもしれません。
その際、婚姻費用分担(生活費)をご主人に求めることもできます。引っ越しの費用をご主人に出してほしいと調停で話すこともできますが、相手は心情的に「自分は悪くない。勝手に出て行った」という気持ちの場合、あなたが自腹を覚悟で進めるしかありません。しかし、すべての清算の際に役立つことも考えられますので、領収書はしっかり保管しておいて下さい。
別居することのメリットは、互いに離れて暮らし、冷静になることです。夫婦のやり直しを踏まえて話し合いを進めることもできます。また、別居して事実上離れて暮らし、あなたたちの夫婦の交流が途絶え、「修復の見込みがない」と将来的に判断してもらえることもあります。ただ、生活費はそれぞれが負担するという課題が残ります。やみくもに家を出ると、窮地に陥る場合もありますので頭に入れておいて下さい。
さらに、あてにしていたご主人名義の保険の解約金や家計費から貯めた貯金等はすべて自分のものにならないこともありますので、注意して下さい。財産の一覧表やお金の出入りをきちんとしておき、いつでも説明ができることが必要になります。
以上のことも勘案し、離婚後の生活設計を多面的に考えた準備をしたうえで、離婚の意思表示をする方がいいかもしれません。
ソーシャルワーカー・翼 都子
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(アクティブシニア編集部)