第24回　生活保護の受給について

【Q】
　工場が倒産しました。借金があっても生活保護は受けられますか。夫婦２人で子どもはいません。
【A】
　世帯の収入が最低生活費を上回っているかどうか

　

【解説】
　生活保護は、国の定める最低生活費とその世帯の収入との差額を現金、または現物で支給する制度です。現物とは医療サービスや介護サービスのことを指します。

　そこで、まず、あなたの資産や借金状況がどうなっているかですが、あなたに借金があるからといって、生活保護が利用できないということはありません。ただ、借金の取り扱いについては次の点に注意して下さい。

1. 借金の返済について：支給される保護費はあくまでも最低生活費を維持するためのもので、借金返済に充てるものではない。


2. 保護期間中に福祉事務所の了解を得ず、何らかの収入を借金の返済に充てた場合、収入の届出義務違反を問題にされる余地があるので注意する。


3. 対処策として、生活保護の申請と平行し、専門家に借金の整理を依頼する。

　借金返済で、弁護士に依頼する方法として、日本司法支援センター（法テラス）に法律相談の援助を受けるという手もあります。これは資力の乏しい人が法的トラブルにあったとき、弁護士などが相談にのり、その費用を立て替えてくれるものです。

　ただし、利用するには次の３つの要件を満たす審査があります。

1. 資力を証明する資料（課税証明書、非課税証明書、給料証明書、源泉徴収票等）
2. 住民票
3. その他関連書類

　なお、法律相談援助には法テラスのほか、法テラスに登録した弁護士や司法書士の事務所でも行います。

　そこで、まずはこれらの専門家に一度相談することから始めて下さい。その際、預金通帳や取引関係の資料、負債額、財産、土地家屋書類、家計簿、金融機関からの請求書、明細関係、本人確認の書類を持参し、時系列に今までの流れを話せるように準備しましょう。弁護士が受任通知を債権者へ通知したそのときから債権者への支払いはストップします。

　次に借金問題の解決には以下の４点があります。

1. 任意整理（裁判所を通さず、弁護士が債権者と和解交渉して借金を減額してもらい、利息なしで３〜５年の長期分割で支払う）


2. 過払い金（返済しすぎた利息の返還を求める手続き・完済後でも10年以内なら過払い金の返還請求が可能）


3. 民事再生（裁判手続きで住宅を手放さずに借金を減額してもらい、一定の金額を免除してもらう）


4. 自己破産（裁判手続きで借金をすべて免除してもらう国の救済制度・再スタート）があります。あなたがどうしても生活ができないようなときは自己破産を選ぶことができますが、５〜７年、借金ができないなど、社会生活上の制約が伴います。

　さて、生活保護の話に戻りますが、自己破産は生活保護を利用する前でも後でも条件を満たせば可能です。

　この生活保護には保護申請、受理、調査、要否判定、指導指示等の流れがありますので、まずは市町村の福祉事務所の窓口か、身近なソーシャルワーカーに相談して下さい。

ソーシャルワーカー・翼　都子

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