第18回 認知症の人とのかかわり方のヒント(8)−薬を使うのは抑制じゃないか!その2
薬物使用の基準
私が考えるBPSDへの薬物使用の基準は、以下のような点の確認から始まります。
1 周辺症状に対しては、必ず最初に「非薬物的療法」を試みること。すなわち、いきなり薬を処方するのではなく、その人の心の不安を取り除き、何か本人の「やりがい」を達成できるようなことを通じて安定を図ること。そのためにはBPSDを生じている原因の多くが認知症の人の不安や混乱に基づいていることを理解して、原因を除くことを第一義的に大切にすること。
2 それがだめでも、介護者(多くの場合には家族)を支援することによって、認知症の人の不安や混乱が軽くなることを経験してもらうこと(家族支援による本人の安定)。
3 BPSDが出る背景が精神的な面だけでなく、体調の変化や社会的な状況の変化、たとえば「これまでと違った環境のためではないか」という理解と対応。
4 その上で、その人の行動や思考を「押さえ込む」ことにならないように心がけること。すなわち薬を使う場合、本人の過剰なBPSDによってその人自身が破綻するのを防ぐ溜めに必要であり、できるだけ少量で処方すること。
1 周辺症状に対しては、必ず最初に「非薬物的療法」を試みること。すなわち、いきなり薬を処方するのではなく、その人の心の不安を取り除き、何か本人の「やりがい」を達成できるようなことを通じて安定を図ること。そのためにはBPSDを生じている原因の多くが認知症の人の不安や混乱に基づいていることを理解して、原因を除くことを第一義的に大切にすること。
2 それがだめでも、介護者(多くの場合には家族)を支援することによって、認知症の人の不安や混乱が軽くなることを経験してもらうこと(家族支援による本人の安定)。
3 BPSDが出る背景が精神的な面だけでなく、体調の変化や社会的な状況の変化、たとえば「これまでと違った環境のためではないか」という理解と対応。
4 その上で、その人の行動や思考を「押さえ込む」ことにならないように心がけること。すなわち薬を使う場合、本人の過剰なBPSDによってその人自身が破綻するのを防ぐ溜めに必要であり、できるだけ少量で処方すること。
薬の使用は適量に
これらの要因について対応を考えた後、それでもBPSDが改善しないと分かった場合に、向精神薬を少量使います。
でも、その場合、「薬によってその人を大人しくする」というイメージではなく、「この場合には薬を使って、その人の心身が破綻するのを防ぐ」というイメージを持つことが大切なのは言うまでもありません。薬の使用が抑制にならないように、あくまでもその人にとって至適用量になることが大切です。
そのためには克服することがまだまだたくさんあります。数年前にアメリカからの情報を受けて「抗精神病薬、特に非定型抗精神病薬と言われる薬を飲んでいる人に突然死が多いので使わないように」との指示が出ました。安易に一般的な薬の量を処方すると、認知症の人にとって危険な状況を作ってしまうようです。これはあくまでも私見ですが、私は「一般的な用量の1/4から1/5の用量にすることで調整可能である」と考えています。あくまでも個人的な印象の範囲を超えていませんし、学術的な裏付けがあるものでもありません。しかし少量処方する場合にも「その人の人権を守るための処方」が一刻も早く確立することが大切だと思うのです。
そのためには、今ある抗精神病薬の「オフラベル問題」にも切り込んでいかなければなりません。今の医療保険では、どのような病気に対して、どういった薬を使うことができるか保険適用がありますが、認知症のBPSDに対しては多くの場合、その薬は認知症だからと言って使えるわけではありません。だからオフラベルと言われるゆえんです。
認知症のBPSDへの適用が一日も早く実現することで、医者も安心て処方ができ、利用者も守られるような薬の適用ができることが大切だと思います。
次回は「代弁って何?」を考えましょう。
でも、その場合、「薬によってその人を大人しくする」というイメージではなく、「この場合には薬を使って、その人の心身が破綻するのを防ぐ」というイメージを持つことが大切なのは言うまでもありません。薬の使用が抑制にならないように、あくまでもその人にとって至適用量になることが大切です。
そのためには克服することがまだまだたくさんあります。数年前にアメリカからの情報を受けて「抗精神病薬、特に非定型抗精神病薬と言われる薬を飲んでいる人に突然死が多いので使わないように」との指示が出ました。安易に一般的な薬の量を処方すると、認知症の人にとって危険な状況を作ってしまうようです。これはあくまでも私見ですが、私は「一般的な用量の1/4から1/5の用量にすることで調整可能である」と考えています。あくまでも個人的な印象の範囲を超えていませんし、学術的な裏付けがあるものでもありません。しかし少量処方する場合にも「その人の人権を守るための処方」が一刻も早く確立することが大切だと思うのです。
そのためには、今ある抗精神病薬の「オフラベル問題」にも切り込んでいかなければなりません。今の医療保険では、どのような病気に対して、どういった薬を使うことができるか保険適用がありますが、認知症のBPSDに対しては多くの場合、その薬は認知症だからと言って使えるわけではありません。だからオフラベルと言われるゆえんです。
認知症のBPSDへの適用が一日も早く実現することで、医者も安心て処方ができ、利用者も守られるような薬の適用ができることが大切だと思います。
次回は「代弁って何?」を考えましょう。