第6回 認知症ってどんな病気?(6)
介護者が抱く心の変化
これまで認知症という病気がもつ特徴をいくつか述べてきましたが、ここからはそのような認知症の人をケアする介護者の心理について考えましょう。
認知症という病気について知り、知識として理解していることと、実際に身近な人が認知症になってその人を介護しているのとでは、感じ方が異なって当たり前です。
誰か大切な人が認知症になった時、介護者が抱く心の段階は、(1)驚愕→(2)否認→(3)怒り→(4)抑うつ→(5)適応→(6)再起、と移っていくと言われています。最初に大切な人が「認知症である」と告げられると、「まさか」と驚愕する時期があります。たとえ普段から「何となく怪しいな」と感じていたとしても、改めて医療機関でそのことを指摘されると、少なからず驚くものです。
たとえば、息子が父親と「ものわすれ外来」を受診し、父親が認知症であると告知されて帰宅したら、その直後に妻は息子に聞くでしょう。「お父さんはどうだったの?」と。
診察室で認知症と告知されたはずの息子は、その時、「いや、お父さんはたいしたことないって言われたよ」と言うかもしれません。それこそが「否認」の段階です。息子として父親の病気を認めたくない時、人は意識することなく、その事実を忘れてしまいます。
そんな時、「この息子はダメだな、告知されたのにわかっていない」と言いたくなったとしても、その言葉は発しないでください。息子も無理解なのではなく、父親が認知症であるというつらい事実を無意識のうちに否定し、事実を受け入れるにはある程度の時間がかかるからです。
認知症という病気について知り、知識として理解していることと、実際に身近な人が認知症になってその人を介護しているのとでは、感じ方が異なって当たり前です。
誰か大切な人が認知症になった時、介護者が抱く心の段階は、(1)驚愕→(2)否認→(3)怒り→(4)抑うつ→(5)適応→(6)再起、と移っていくと言われています。最初に大切な人が「認知症である」と告げられると、「まさか」と驚愕する時期があります。たとえ普段から「何となく怪しいな」と感じていたとしても、改めて医療機関でそのことを指摘されると、少なからず驚くものです。
たとえば、息子が父親と「ものわすれ外来」を受診し、父親が認知症であると告知されて帰宅したら、その直後に妻は息子に聞くでしょう。「お父さんはどうだったの?」と。
診察室で認知症と告知されたはずの息子は、その時、「いや、お父さんはたいしたことないって言われたよ」と言うかもしれません。それこそが「否認」の段階です。息子として父親の病気を認めたくない時、人は意識することなく、その事実を忘れてしまいます。
そんな時、「この息子はダメだな、告知されたのにわかっていない」と言いたくなったとしても、その言葉は発しないでください。息子も無理解なのではなく、父親が認知症であるというつらい事実を無意識のうちに否定し、事実を受け入れるにはある程度の時間がかかるからです。
否認の時期を見守る
私たちには、その否認の時期をあえて見守ることも求められます。無理に事実を説明して受け入れてもらおうとしても、かえって介護者と支援者との関係に亀裂を入れることもあります。否認の時期は永遠には続きません。否認しようとしても認知症による症状によって家族に「怒り」が出てくるからです。
その「怒り」の時期にこそ、支援者が介護家族との絆を深められるか、それとも無理解で終わるかの分かれ道です。
このことについては次回に説明します。
その「怒り」の時期にこそ、支援者が介護家族との絆を深められるか、それとも無理解で終わるかの分かれ道です。
このことについては次回に説明します。