第12回 認知症の人とのかかわり方のヒント(2)
仮性認知症は必ず除外する
「認知症は治るのでしょうか」
いつも介護家族から聞かれる質問です。認知症の人とのかかわり方のヒントを知っていても、介護家族がこの点をしっかり理解しているかどうかが介護に大きく影響します。
私は現在のところ、全く病気がなかったかのように治る認知症はないと思っています。でも、誤解しないでください。人間には、「全く健康な状態」と「病気になって全く何もできない状態」の二者択一しかないのではありません。
多くの慢性生活習慣病を考えてみてください。その病気をコントロールできれば、一生涯をかけるだけの根気は要りますが、病気と付き合っていくことができます。認知症も同じような慢性病と考えてみましょう。
でも、その前に一見すると認知症と「うりふたつ」の症状になるが、実際は認知症ではない病気を必ず除外しなければなりません。そのような一群の病気を「仮性認知症」と言います。たとえば、体内の血液バランスが悪くなってぼんやりしているのに外見だけで「認知症になった」と考えると、仮性認知症を見逃す原因になってしまいます。頭部を打ったその日には何ともなくても、数日〜数週間か経過するうちにゆっくりと脳硬膜下血腫が起こり、脳がじわじわと圧迫されて認知症と似た症状が出る場合にも、脳外科で処置を受ければあっという間に治ります。
いつも介護家族から聞かれる質問です。認知症の人とのかかわり方のヒントを知っていても、介護家族がこの点をしっかり理解しているかどうかが介護に大きく影響します。
私は現在のところ、全く病気がなかったかのように治る認知症はないと思っています。でも、誤解しないでください。人間には、「全く健康な状態」と「病気になって全く何もできない状態」の二者択一しかないのではありません。
多くの慢性生活習慣病を考えてみてください。その病気をコントロールできれば、一生涯をかけるだけの根気は要りますが、病気と付き合っていくことができます。認知症も同じような慢性病と考えてみましょう。
でも、その前に一見すると認知症と「うりふたつ」の症状になるが、実際は認知症ではない病気を必ず除外しなければなりません。そのような一群の病気を「仮性認知症」と言います。たとえば、体内の血液バランスが悪くなってぼんやりしているのに外見だけで「認知症になった」と考えると、仮性認知症を見逃す原因になってしまいます。頭部を打ったその日には何ともなくても、数日〜数週間か経過するうちにゆっくりと脳硬膜下血腫が起こり、脳がじわじわと圧迫されて認知症と似た症状が出る場合にも、脳外科で処置を受ければあっという間に治ります。
あきらめや絶望にとらわれる必要はない
そのような仮性認知症を必ず除外したのちに、本当に認知症になっている場合には、嘘のように治ることはありません。しかし、中核症状が急激に悪くならないようにすることも、周辺症状が激しくなりすぎないようにコントロールすることも、ある程度は可能です。そう理解すれば「完全な治癒はなくても、慢性疾患としてできる限りその人の能力を保ちながら、認知症の進行を穏やかにすることはできる」という見解になります。
さて、この文章を読んでみなさんは「やはり治らないのだ」と落胆しますか、それとも「希望はある」と感じますか。その答えは介護している方の「ものの見方」によって変わるかもしれません。でも、私から助言できることはただひとつ、認知症になったからといってその時点であきらめや絶望にとらわれる必要はないということです。糖尿病があっても日々の食生活や運動に心がけることによって対応している人は大勢います。認知症もそのようにコントロールすることが大切な病気と考えられるようになりました。
「嘘のように完全に治癒することはないけれど、悪化を遅らせながら一生をかけて付き合うことができるようになってきた病気」。これが私の本音です。
次回は、10月13日に公開予定です。
さて、この文章を読んでみなさんは「やはり治らないのだ」と落胆しますか、それとも「希望はある」と感じますか。その答えは介護している方の「ものの見方」によって変わるかもしれません。でも、私から助言できることはただひとつ、認知症になったからといってその時点であきらめや絶望にとらわれる必要はないということです。糖尿病があっても日々の食生活や運動に心がけることによって対応している人は大勢います。認知症もそのようにコントロールすることが大切な病気と考えられるようになりました。
「嘘のように完全に治癒することはないけれど、悪化を遅らせながら一生をかけて付き合うことができるようになってきた病気」。これが私の本音です。
次回は、10月13日に公開予定です。