第2回 認知症ってどんな病気?(2)
ひとくちに認知症といっても、その中にはさまざまな種類があることを知っていますか? 大まかに分けても、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(代表的なのがピック病)などがあります。それぞれの認知症には特徴があり、ケアの際の注意が異なってきます。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は認知症全体の50〜60%で、最も数が多いものです。脳細胞の中にβ(ベータ)アミロイドという物質が貯まって脳が萎縮するもので、最初に気づく変化は「やる気の減退」です。これまでいろいろなことに興味を示していた人が、ある時期を境にして急激にやる気をなくした場合、周囲の者は不安症や「うつ」とともに、アルツハイマー型認知症の初期ではないかと考える必要があります。
脳血管性認知症
脳血管性認知症は全体の25%程度を占めるもので、脳内の細い血管(毛細血管)に血の塊(血栓)や脂肪の塊(塞栓)が詰まるために、微小脳梗塞が起きることで始まります。一つひとつの梗塞は小さくても、多くの梗塞ができることで認知症になっていきます。この場合、喜怒哀楽が激しくなることで周囲の人が気づくことがあります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は全体の20%程度ですが、この認知症には特徴があります。幻が見えること、たとえば、亡くなったはずの人がいるように見える場合や、パーキンソン症状を伴っていて、手足が小刻みに震えることや歩く際にすくみ足になることがあります。初期には「うつ」が出ることも多いため、別の病気と間違われることもあります。
ピック病
ピック型認知症は数こそ少ない認知症ですが、無頓着さが表面に出るため、ケアの時に目を離せないのが特徴です。自分の行動がどういう結果に結びつくかを推し量る力がなくなるため、無頓着になったように感じるのですが、スーパーなどで目についた品物を何の気なしにポケットに入れてしまうような行為が出ることがあり、「万引き」と間違われることもあります。
それぞれの病気を理解し、どのような症状が出やすいかを知り、目の前にいる認知症の人がどの病気なのかを知ることが、適切なケアにつながります。
それぞれの病気を理解し、どのような症状が出やすいかを知り、目の前にいる認知症の人がどの病気なのかを知ることが、適切なケアにつながります。