第9回 認知症ってどんな病気?(9)
アルツハイマー型認知症の原因と治療
アルツハイマー型認知症の場合、よくいわれているように、脳細胞の中にβ(ベータ)アミロイドという物質が溜まることにより、脳細胞が負担に耐えられず縮んでいくことで発症します。そのアミロイドが消えてなくなる薬が開発されつつありますが、まだ発売されていません。
現在ある薬は、脳内の神経の刺激がより活発に伝達されるように、もともと脳内にあるアセチルコリンという神経伝達のための物質が減らないようにすることで、アルツハイマー型認知症が進まないようにするものです。根本的な治療薬ではありません。それゆえ薬物による治療だけでなく、脳に刺激を与えること、かつての生き生きとした喜びの感情や「やりがい」を持ってもらうことで、脳の動きをより活発にし、日々の脳の活性を高めようとする治療が大切になります
現在ある薬は、脳内の神経の刺激がより活発に伝達されるように、もともと脳内にあるアセチルコリンという神経伝達のための物質が減らないようにすることで、アルツハイマー型認知症が進まないようにするものです。根本的な治療薬ではありません。それゆえ薬物による治療だけでなく、脳に刺激を与えること、かつての生き生きとした喜びの感情や「やりがい」を持ってもらうことで、脳の動きをより活発にし、日々の脳の活性を高めようとする治療が大切になります
脳血管性認知症の原因
一方、脳血管性認知症は、脳内の細い血管に血の塊(血栓)や油の塊(塞栓)が詰まることで悪化します。そのために最も悪い因子は血圧が変動すること、血糖値が高いこと、そして体内の油(中性脂肪やコレステロール)が多くなりすぎないことが大切です。
血圧が上がった後で急激に低下すると、血管内の血液の流れが一定ではなくなり、その結果、血管内で小さな血の塊(血栓)ができ、それが細い血管に詰まる、これが脳血管性認知症の原因です。そういったメカニズムを考えると、脳血管性認知症は血圧の変動や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病とのかかわりが多いことがわかります。
血圧が上がった後で急激に低下すると、血管内の血液の流れが一定ではなくなり、その結果、血管内で小さな血の塊(血栓)ができ、それが細い血管に詰まる、これが脳血管性認知症の原因です。そういったメカニズムを考えると、脳血管性認知症は血圧の変動や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病とのかかわりが多いことがわかります。
悪くなることを防ぎながら病気とつきあう
認知症の場合には一度、脳内で起きた変化が嘘のように改善する「治療」ではなく、他の慢性の病気の場合と同様に、より悪くなることを防ぎながら病気とつきあうための治療として考えることが大切です。
また、周辺症状については、できるかぎりその症状を改善することで、明らかに認知症の人の治療をすることができます。周辺症状が激化して周囲の人に対して病的な感情を持つことや、精神的に興奮すること、昼夜が逆転することは、できるだけ治療とケアが組んで改善していくことが求められます。周辺症状がそのまま放置されると、その認知症の人の脳にダメージが広がり、全身を考えても興奮や混乱から心臓をはじめとする体への負担が大きくなるからです。
また、周辺症状については、できるかぎりその症状を改善することで、明らかに認知症の人の治療をすることができます。周辺症状が激化して周囲の人に対して病的な感情を持つことや、精神的に興奮すること、昼夜が逆転することは、できるだけ治療とケアが組んで改善していくことが求められます。周辺症状がそのまま放置されると、その認知症の人の脳にダメージが広がり、全身を考えても興奮や混乱から心臓をはじめとする体への負担が大きくなるからです。