第13回 認知症の人とのかかわり方のヒント(3)−認知症初期ゆえに悩んでいる家族の対応
誰にでも当てはまることですが、慢性の病気の場合、時期に応じて心がけるべき対応があります。「自分は認知症かもしれない」と悩んでいる人にはどのように対応すればよいのでしょうか。逆に、明らかな認知症の症状が出ているのに、その人が全く気づいていない時にはどうしましょうか。今回はその2点を考えてみましょう。
「認知症かもしれない」と悩んでいる人へのかかわり
たとえば、もし夫が「もの忘れが増えた」と悩んでいたら、あなたはどのように対応しますか? 「大丈夫ですよ。しっかりとしてください」と何度も励ましの声をかけるでしょうか。
しかし、あまりにも「大丈夫、大丈夫」と言われると、認知症の人は自分の心細さや将来への不安を口にすることができなくなってしまいます。家族を心配させまいと気遣って、ひとりで悩むかもしれません。
家族の側も「ああ、またこんなことを忘れている」とがっくりしたかと思うと、あるときには「まだこんな難しいこともできる」と喜び、心は揺れます。できたことばかりを覚えていて、その人ができなかったことについては無意識のうちに忘れる。そのような家族の「迷い」は、認知症の程度が軽いほど生じやすいものです。
だからこそ悩んでいる人に対応するには、まず家族は「自分がこの事実に直面してどれほど動揺しているか」を冷静に見つめ、悩んでいる本人を試すように何度も質問をくり返すことは避けましょう。この時期に必要なことは、家族のあなたがその人の苦悩に耳を傾けて、「傾聴」する姿勢を見せることです。
家族にはその時期に応じて、できることがあります。早期だからこそ、安心して受診できる医療機関の情報を手に入れて準備することが、将来の大きな力になります。
しかし、あまりにも「大丈夫、大丈夫」と言われると、認知症の人は自分の心細さや将来への不安を口にすることができなくなってしまいます。家族を心配させまいと気遣って、ひとりで悩むかもしれません。
家族の側も「ああ、またこんなことを忘れている」とがっくりしたかと思うと、あるときには「まだこんな難しいこともできる」と喜び、心は揺れます。できたことばかりを覚えていて、その人ができなかったことについては無意識のうちに忘れる。そのような家族の「迷い」は、認知症の程度が軽いほど生じやすいものです。
だからこそ悩んでいる人に対応するには、まず家族は「自分がこの事実に直面してどれほど動揺しているか」を冷静に見つめ、悩んでいる本人を試すように何度も質問をくり返すことは避けましょう。この時期に必要なことは、家族のあなたがその人の苦悩に耳を傾けて、「傾聴」する姿勢を見せることです。
家族にはその時期に応じて、できることがあります。早期だからこそ、安心して受診できる医療機関の情報を手に入れて準備することが、将来の大きな力になります。
認知症に気づかない人へのかかわり
認知症の人が自分のもの忘れに気づかない場合にはどうすればよいのでしょうか。さりげなく受診を勧めても「いや、俺は大丈夫」と言われると、あなたにできることは限定されます。
でも、焦らないでください。何とか早いうちに受診させたいというあなたの焦りは、かえってその人をかたくなにしてしまうかもしれません。そんなとき、家族にできるのは相談できるネットワークを広げることです。あなたが地域にある包括支援センターや認知症の家族会を訪れ、「家族としてかかわることができずに困っている」と相談すること、それが第一歩です。
今、ここでその人のためにできることがないように見えても、一歩ずつその人を支える体制を作り始めることが大切なのです。
次回は、10月27日に公開予定です。
でも、焦らないでください。何とか早いうちに受診させたいというあなたの焦りは、かえってその人をかたくなにしてしまうかもしれません。そんなとき、家族にできるのは相談できるネットワークを広げることです。あなたが地域にある包括支援センターや認知症の家族会を訪れ、「家族としてかかわることができずに困っている」と相談すること、それが第一歩です。
今、ここでその人のためにできることがないように見えても、一歩ずつその人を支える体制を作り始めることが大切なのです。
次回は、10月27日に公開予定です。