Vol.8 結晶知能を高める方法2:やる気を出す!
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☆<結晶知能>☆
脳の成長が止まったシニア期以降でも、経験と深い思考を積み重ねることでグングン伸びる脳力。若者にはない、大人の英知のもとになる知能。困難に直面したときに高い水準で解決できる、まさにシニアの知能。
★<流動知能>★
パソコンゲームを競ったり、単純な計算をすばやく行ったりするような脳の「性能」。青年期までは急速に成長するが、シニア期以降、急激に衰えてしまう。シニアは苦手だが、社会的・対人的な問題の対処には役立たない。
脳の成長が止まったシニア期以降でも、経験と深い思考を積み重ねることでグングン伸びる脳力。若者にはない、大人の英知のもとになる知能。困難に直面したときに高い水準で解決できる、まさにシニアの知能。
★<流動知能>★
パソコンゲームを競ったり、単純な計算をすばやく行ったりするような脳の「性能」。青年期までは急速に成長するが、シニア期以降、急激に衰えてしまう。シニアは苦手だが、社会的・対人的な問題の対処には役立たない。
「結晶知能を高める方法」の第2回目は「やる気を出す!」です。
やる気のあるときとないときでは、同じことをしても成果がまったく違うという経験は誰にでもあると思います。やる気、すなわちモチベーションの高い人とそうでない人では、同じ経験をしても、得られる情報量が異なるばかりでなく、その経験が「自分のもの」になる水準に違いが現れます。
さらに、モチベーションが高いか低いかで、経験それ自体の量も質もまったく異なってしまいます。そのため、結晶知能のレベルにも大きな差がついてしまいます。モチベーションを高めて、さまざまな経験にトライすることで、結晶知能は自然に高まってゆくからです。
やる気のあるときとないときでは、同じことをしても成果がまったく違うという経験は誰にでもあると思います。やる気、すなわちモチベーションの高い人とそうでない人では、同じ経験をしても、得られる情報量が異なるばかりでなく、その経験が「自分のもの」になる水準に違いが現れます。
さらに、モチベーションが高いか低いかで、経験それ自体の量も質もまったく異なってしまいます。そのため、結晶知能のレベルにも大きな差がついてしまいます。モチベーションを高めて、さまざまな経験にトライすることで、結晶知能は自然に高まってゆくからです。
【実践法2】自分にごほうびをあげる
自分自身への“ありがとう”
最近、「自分へのごほうび」といって、仕事が一段落したときや、1年を振り返って「われながらよく頑張った」と、他の人に贈るような特別な品や、高級ホテルに宿泊してエステを楽しむなど、自分に対して高価なプレゼントをすることが、特に女性の間で流行っているようです。
「自分へのごほうび」、これも報酬のひとつです。
「今日は初めて、自分で自分をほめてあげたい」は、アトランタ・オリンピックの女子マラソンで銅メダルを獲得したときの有森裕子さんの言葉です。 「自分をほめる」も報酬の一種です。
要するに、人は誰でもほめられたいのです。ほめられることで、自分の努力が確認でき、そしてまた、明日への意欲が高まってくるからです。自己肯定は、モチベーションを高め、やる気を出してくれる源泉です。逆に、自己否定はやる気を失わせる元凶なのです。
給料日に食卓を囲む幸せ
ここで提案します。モチベーションを高めるためのしかけを、毎日の生活のなかに作る方法です。
昔の家族は、お父さんの給料日には家族そろってごちそうを食べたものです。私の家もそうでした。
『お父さんが給料袋をお母さんに手渡し、お母さんは「ご苦労様」と言って受け取る。子どもたちは「やっぱり、お父さんは偉いんだなあ」と思う。そして、普段はめったに食卓に上ることのないごちそうを、家族そろって食べる』
わが家では、すき焼きが定番でした。いつもと違う幸福感が、食卓に漂ったものです。父も「明日からまた頑張ろう」と思ったのではないでしょうか。
昔の家族は、お父さんの給料日には家族そろってごちそうを食べたものです。私の家もそうでした。
『お父さんが給料袋をお母さんに手渡し、お母さんは「ご苦労様」と言って受け取る。子どもたちは「やっぱり、お父さんは偉いんだなあ」と思う。そして、普段はめったに食卓に上ることのないごちそうを、家族そろって食べる』
わが家では、すき焼きが定番でした。いつもと違う幸福感が、食卓に漂ったものです。父も「明日からまた頑張ろう」と思ったのではないでしょうか。
お父さんにとっての、何よりのごほうび
今は給料が口座振込になってしまいましたから、手にするのは明細書が一枚だけ。しかも最近は、ハガキで送られてきた明細書を妻がペリッとめくるだけ。そこには、1か月間一生懸命に働いてきたお父さんへの感謝も、家族で共有する幸福もありません。これでは、お父さんのやる気が高まらないばかりか、ドライブや外食に連れ出してご機嫌でもとらないかぎり、お父さんが家庭に存在する意味すら妻や子どもには意識されなくなってしまいます。
さて、ここで見逃していけないことがあります。お父さんの仕事へのやる気にとって大事なのは、「給料」というリアルな報酬ではないということです。いつもより少しだけおめかしをして夫の帰りを待っている妻。そして、めったに食べられないごちそうを喜んで食べる子どもたち。彼らの感謝の気持ちが、お父さんへの何よりの報酬です。つまり、「精神的報酬」が大事なのです。「自分へのごほうび」も「自分をほめる」も精神的報酬を形にしたものといえるでしょう。
さて、ここで見逃していけないことがあります。お父さんの仕事へのやる気にとって大事なのは、「給料」というリアルな報酬ではないということです。いつもより少しだけおめかしをして夫の帰りを待っている妻。そして、めったに食べられないごちそうを喜んで食べる子どもたち。彼らの感謝の気持ちが、お父さんへの何よりの報酬です。つまり、「精神的報酬」が大事なのです。「自分へのごほうび」も「自分をほめる」も精神的報酬を形にしたものといえるでしょう。
欲しいものも、手にしたとたん……
ところで、精神的報酬がなぜ重要かというと、実は、「物質的報酬」には、受け取ったとたんにモチベーションが下がるという逆の側面もあるからです。あれほど手に入れたいと願っていたモノでも、それを手に入れるまでは欲しくてたまらなかった気持ちが、手にしたとたんに薄らいでしまった、という経験のある人も多いのではないでしょうか。
ですから、物質的報酬に精神的報酬が伴っていれば、それこそ報酬の効果は絶大です。日常生活のなかでこうした精神的報酬を演出するしかけを作っておくことが、モチベーションを高め、結晶知能を磨くきっかけになります。
ですから、物質的報酬に精神的報酬が伴っていれば、それこそ報酬の効果は絶大です。日常生活のなかでこうした精神的報酬を演出するしかけを作っておくことが、モチベーションを高め、結晶知能を磨くきっかけになります。
“報酬”によって、結晶知能が磨かれる
「報酬」は、夫婦や家族の間で取り決めてもよいでしょうし、「自分へのごほうび」でもかまいません。
家族で取り決めるなら、「給料日にはごちそうを食べる」あたりから入るのがやりやすいでしょう。毎月異なるごちそうを作れば、1年間で12回、ボーナスのときはいっそう豪華にするなら14回。「たまには外食も」ということになれば、お店はどこにしようか、どこの国の料理にするかなど、食の知識と興味もどんどん広がっていきます。外食するなら、それなりの服装をしなければならないでしょうし、マナーに気をつけることも必要になります。
このように、結晶知能もどんどん磨かれていくというわけです。夫婦共働きなら、妻の給料日には夫が食事の用意をするという取り決めをしてもよいかもしれません。
家族で取り決めるなら、「給料日にはごちそうを食べる」あたりから入るのがやりやすいでしょう。毎月異なるごちそうを作れば、1年間で12回、ボーナスのときはいっそう豪華にするなら14回。「たまには外食も」ということになれば、お店はどこにしようか、どこの国の料理にするかなど、食の知識と興味もどんどん広がっていきます。外食するなら、それなりの服装をしなければならないでしょうし、マナーに気をつけることも必要になります。
このように、結晶知能もどんどん磨かれていくというわけです。夫婦共働きなら、妻の給料日には夫が食事の用意をするという取り決めをしてもよいかもしれません。
目標を達成できたら、盛大なごほうびを
さらに、もっとダイレクトに結晶知能を高めるためには、「今年はこれをやり遂げる」などの目標を立てて、達成したら報酬を得られるように取り決めをします。
「夫が1年間新聞スクラップを続けられたら、デジカメを妻がプレゼントする」、「妻が1年間日記をつけ続けられたら、夫が指輪をプレゼントする」、もちろん、自分への取り決めとして「自分で自分にプレゼントする」のでもOKです。
ただし、ひとつ大事なことがあります。「達成したら盛大に祝う」ということです。お金をたくさんかける必要はありません。達成したという精神的報酬が大事なのです。本当の報酬は、「デジカメ」や「指輪」ではありません。1年間「スクラップを続けた」、「日記を続けた」という達成感が報酬であり、その行為が結晶知能のもとになるのです。
【結晶知能を高める方法2:やる気を出す!】のこれ以外の方法については、拙著「『結晶知能』革命─50歳からでも「脳力」は伸びる!」(小学館)を参照してください。
「夫が1年間新聞スクラップを続けられたら、デジカメを妻がプレゼントする」、「妻が1年間日記をつけ続けられたら、夫が指輪をプレゼントする」、もちろん、自分への取り決めとして「自分で自分にプレゼントする」のでもOKです。
ただし、ひとつ大事なことがあります。「達成したら盛大に祝う」ということです。お金をたくさんかける必要はありません。達成したという精神的報酬が大事なのです。本当の報酬は、「デジカメ」や「指輪」ではありません。1年間「スクラップを続けた」、「日記を続けた」という達成感が報酬であり、その行為が結晶知能のもとになるのです。
【結晶知能を高める方法2:やる気を出す!】のこれ以外の方法については、拙著「『結晶知能』革命─50歳からでも「脳力」は伸びる!」(小学館)を参照してください。
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佐藤眞一先生が会長を務める老年行動科学会のホームページは、こちらからご覧になれます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsbse/
日本老年行動科学会は、高齢者心理の研究者、医療・看護等の専門家、高齢者ケアの実践者等、様々な人々が集い、高齢者の徘徊や行動障害など心の問題に根ざした課題の解明に努め、高齢者の行動・生活改善とケアの向上に取り組んでいます。
現在、月例の高齢者ケースワーク研究会(ACS)、ACSのノウハウを基にした老年行動科学講座を開設しています。