Vol.6 結晶知能を高める方法1:興味を持つ!
キーワード
☆<結晶知能>☆
脳の成長が止まったシニア期以降でも、経験と深い思考を積み重ねることでグングン伸びる脳力。若者にはない、大人の英知のもとになる知能。困難に直面したときに高い水準で解決できる、まさにシニアの知能。
★<流動知能>★
パソコンゲームを競ったり、単純な計算をすばやく行ったりするような脳の「性能」。青年期までは急速に成長するが、シニア期以降、急激に衰えてしまう。シニアは苦手だが、社会的・対人的な問題の対処には役立たない。
脳の成長が止まったシニア期以降でも、経験と深い思考を積み重ねることでグングン伸びる脳力。若者にはない、大人の英知のもとになる知能。困難に直面したときに高い水準で解決できる、まさにシニアの知能。
★<流動知能>★
パソコンゲームを競ったり、単純な計算をすばやく行ったりするような脳の「性能」。青年期までは急速に成長するが、シニア期以降、急激に衰えてしまう。シニアは苦手だが、社会的・対人的な問題の対処には役立たない。
今回から1回おきに「結晶知能を高める方法」を提案します。その第1回目は「興味を持つ!」です。知的好奇心は、結晶知能を高める最大の推進力です。さまざまな物事に興味をもち、常に新しい情報を取り込み、チャレンジすることで、思考の内容が硬直して過去にばかりこだわることを防ぎます。みずみずしい思考の継続が、結晶知能を高めるのです。
【実践法1】マーカーしながら新聞を読む
周囲に注意を配ると見えてくること
例えば、通勤路をいつもと同じように、単なる駅への通り道と考えて駅舎をめがけて急ぎ足で歩くことと、周囲の家や草木、行き交う人々を観察しながら歩くこととを比べてみてください。
周囲に注意を配りながら歩いてみると、これまで気づかなかったさまざまなことに気づくものです。すると、「この間までレストランだった場所にコンビニができた。立地条件を考えるとコンビニが正解かな」などと、さらに思考という結晶知能が働き始めます。これが好奇心の働きです。
自分の住む街への好奇心が、このような思考を働かせるのです。散歩好きの人は、おそらく知的好奇心の旺盛な、結晶知能の高い人に違いありません。
新聞は結晶知能を高める絶好の材料
好奇心をもっと効率的に機能させ、かつ結晶知能をよりレベルアップさせてくれるのが新聞です。新聞は、結晶知能を高めるための材料の宝庫だからです。しかも、通勤路と違って、毎日内容が変化します。同じテーマの記事でも、前日からさらに進化した記事となっているはずです。私が、結晶知能を高める方法の第1に選んだのも、新聞マーカー法の威力がすばらしいからです。
用意するものは、講読している新聞とマーカー(色つきボールペンでOK)だけです。方法も簡単。新聞を読み進めながら、気になる記事をマーカーで囲むだけ。切り取ってスクラップする必要もありません。ただ、それだけです。
この方法のミソは、マーカーで記事を囲むという「行為」にあります。マーカーで囲もうと思った記事は、その何かに、あなたの興味や関心が引っかかりを感じたはずです。つまり、あなたの「注意」が向いたのです。
用意するものは、講読している新聞とマーカー(色つきボールペンでOK)だけです。方法も簡単。新聞を読み進めながら、気になる記事をマーカーで囲むだけ。切り取ってスクラップする必要もありません。ただ、それだけです。
この方法のミソは、マーカーで記事を囲むという「行為」にあります。マーカーで囲もうと思った記事は、その何かに、あなたの興味や関心が引っかかりを感じたはずです。つまり、あなたの「注意」が向いたのです。
注意を向ける姿勢を行為化すると……
記憶には、注意を向けた事象しか覚え続けておくことができない、というメカニズムがあります。注意を向けることを行為化したのがマーカーで囲むという動作なのです。これによって、この記事は、他の記事とは違った意味と重要さをもって、あなたの頭脳に納まります。
もうそれだけでOKです。次の記事に進んでください。興味があればチェック、なければ読み飛ばす。その繰り返しで読み進めてください。
毎日これを繰り返していくと、同じテーマの記事がいろいろな情報を加え、視点を替えて繰り返し論じられていることがわかります。そのとき、あなたはすでにそのテーマに対するあなたなりの考えや主張をもち始めていることに気づくはずです。さらに、「ずいぶん以前に気になっていたことが、また新たに動き始めたようだ」などと思いはめぐります。
もうそれだけでOKです。次の記事に進んでください。興味があればチェック、なければ読み飛ばす。その繰り返しで読み進めてください。
毎日これを繰り返していくと、同じテーマの記事がいろいろな情報を加え、視点を替えて繰り返し論じられていることがわかります。そのとき、あなたはすでにそのテーマに対するあなたなりの考えや主張をもち始めていることに気づくはずです。さらに、「ずいぶん以前に気になっていたことが、また新たに動き始めたようだ」などと思いはめぐります。
自分なりに考えをめぐらせてみよう
例えば、私は、北方領土問題に関心があります。若い頃に北海道を旅したときに、北方領土返還を訴える看板をたくさん見ました。また、稚内に行ったときは、街にロシア語の表記があふれていることを知りました。
それ以来、北方領土に関する記事をマークする習慣がついています。最近はあまり目にしなかった北方領土の記事ですが、ロシアの大統領が替わったことから、また議論が再燃してきました。
こうした記事をマークして、過去の政治的いきさつを思い起こし、そして、北方領土で暮らすロシア人との交流のあり方などを私なりに考えながら、今日もまた、記事を見つけるとマークしています。
それ以来、北方領土に関する記事をマークする習慣がついています。最近はあまり目にしなかった北方領土の記事ですが、ロシアの大統領が替わったことから、また議論が再燃してきました。
こうした記事をマークして、過去の政治的いきさつを思い起こし、そして、北方領土で暮らすロシア人との交流のあり方などを私なりに考えながら、今日もまた、記事を見つけるとマークしています。
新聞マーカー法で心に多くを刻みつけよう!
人の記憶はそれほど馬鹿にしたものでもありません。
最近、記憶が怪しくなった、と考えるシニアは多いかもしれませんが、実は、それは記憶の衰えではなく、好奇心の低下と新鮮な感動の機会の喪失が原因なのです。
新聞マーカー法でこの両者を取り戻すことができれば、切り取ることも、スクラップも必要なく、あなたの思考の内容として、つまり結晶知能として、さまざまなことがあなたの心に刻みつけられるはずです。
【結晶知能を高める方法1:興味を持つ!】のこれ以外の方法については、拙著『『結晶知能』革命─50歳からでも「脳力」は伸びる!』(小学館)を参照してください。
最近、記憶が怪しくなった、と考えるシニアは多いかもしれませんが、実は、それは記憶の衰えではなく、好奇心の低下と新鮮な感動の機会の喪失が原因なのです。
新聞マーカー法でこの両者を取り戻すことができれば、切り取ることも、スクラップも必要なく、あなたの思考の内容として、つまり結晶知能として、さまざまなことがあなたの心に刻みつけられるはずです。
【結晶知能を高める方法1:興味を持つ!】のこれ以外の方法については、拙著『『結晶知能』革命─50歳からでも「脳力」は伸びる!』(小学館)を参照してください。
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佐藤眞一先生が会長を務める老年行動科学会のホームページは、こちらからご覧になれます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsbse/
日本老年行動科学会は、高齢者心理の研究者、医療・看護等の専門家、高齢者ケアの実践者等、様々な人々が集い、高齢者の徘徊や行動障害など心の問題に根ざした課題の解明に努め、高齢者の行動・生活改善とケアの向上に取り組んでいます。
現在、月例の高齢者ケースワーク研究会(ACS)、ACSのノウハウを基にした老年行動科学講座を開設しています。