Vol.5 結晶知能の高い人物とは?
キーワード
☆<結晶知能>☆
脳の成長が止まったシニア期以降でも、経験と深い思考を積み重ねることでグングン伸びる脳力。若者にはない、大人の英知のもとになる知能。困難に直面したときに高い水準で解決できる、まさにシニアの知能。
★<流動知能>★
パソコンゲームを競ったり、単純な計算をすばやく行ったりするような脳の「性能」。青年期までは急速に成長するが、シニア期以降、急激に衰えてしまう。シニアは苦手だが、社会的・対人的な問題の対処には役立たない。
脳の成長が止まったシニア期以降でも、経験と深い思考を積み重ねることでグングン伸びる脳力。若者にはない、大人の英知のもとになる知能。困難に直面したときに高い水準で解決できる、まさにシニアの知能。
★<流動知能>★
パソコンゲームを競ったり、単純な計算をすばやく行ったりするような脳の「性能」。青年期までは急速に成長するが、シニア期以降、急激に衰えてしまう。シニアは苦手だが、社会的・対人的な問題の対処には役立たない。
品性のある人は結晶知能が高い
結晶知能は、シニアになれば誰でも高まる、というわけではありません。日々の積み重ねが大事です。結晶知能は経験の知能ですが、単に経験するだけでは高まりません。経験したことをどのようにとらえるか、つまり、内省の能力と深くつながっています。
例えば、日本人の特徴といわれる「恥」という感情があります。実は、これも結晶知能のなせるわざなのです。同じ感情でも怒りや恐怖などは、心理学では「情動」と呼び、動物の本能に近い原始的な感情です。ところが「恥」は、人間以外の動物にはみられない、非常に高度な感情といわれています。「恥知らず」という言葉が示すように、まさに人間としての品性に結びつく感情です。
では、品性とは何かといえば、その人の思考内容そのもの。人生のなかで積み重ねてきた経験とその内省からにじみ出てくる、その人ならではの考え方や行動であり、人としての存在のエッセンスです。
ですから、私たちの生き方そのものが結晶知能となり、品性となるといえます。そして、それが人生を生きる知恵となり、英知に高まっていくのです。
例えば、日本人の特徴といわれる「恥」という感情があります。実は、これも結晶知能のなせるわざなのです。同じ感情でも怒りや恐怖などは、心理学では「情動」と呼び、動物の本能に近い原始的な感情です。ところが「恥」は、人間以外の動物にはみられない、非常に高度な感情といわれています。「恥知らず」という言葉が示すように、まさに人間としての品性に結びつく感情です。
では、品性とは何かといえば、その人の思考内容そのもの。人生のなかで積み重ねてきた経験とその内省からにじみ出てくる、その人ならではの考え方や行動であり、人としての存在のエッセンスです。
ですから、私たちの生き方そのものが結晶知能となり、品性となるといえます。そして、それが人生を生きる知恵となり、英知に高まっていくのです。
結晶知能を高めることは人生の目標
このような思考内容の核として、心の奥深くに結晶した知能は、たとえ認知症になっても最後まで残ります。
もちろん、結晶知能を磨いても、アルツハイマー病などの病気としての認知症を予防することはできません。しかし、結晶知能を磨き、人間としての品性を高めていけば、もしも介護されるような年齢になっても、「この人のためなら一生懸命介護しよう」と思ってもらえるような人物になれるはずです。
「いくらお金を積まれても、この人の介護だけはしたくない」と思われる老人になってしまうのとは大違いです。
認知症にならない努力も大切かもしれませんが、他者が介護したくなるほどの人格に自分自身を高めることも、人生の目標として大事なことなのではないでしょうか。
もちろん、結晶知能を磨いても、アルツハイマー病などの病気としての認知症を予防することはできません。しかし、結晶知能を磨き、人間としての品性を高めていけば、もしも介護されるような年齢になっても、「この人のためなら一生懸命介護しよう」と思ってもらえるような人物になれるはずです。
「いくらお金を積まれても、この人の介護だけはしたくない」と思われる老人になってしまうのとは大違いです。
認知症にならない努力も大切かもしれませんが、他者が介護したくなるほどの人格に自分自身を高めることも、人生の目標として大事なことなのではないでしょうか。
トライ&エラーが結晶知能を伸ばす
結晶知能がシニアになっても高まるのは、結晶知能が脳の機能ではなく、経験によって得た思考内容そのものだからです。賢さが高まることを学習といいますが、コンピュータの人工知能もトライ&エラーの繰り返しによって学習が進み、賢さが高まります。
結晶知能は経験という学習によって高まる知能ですから、トライ&エラーを繰り返すことが、結晶知能を高める秘訣でもあります。
若者よりも圧倒的に「トライ=経験」が豊富なシニアですが、同時に「エラー=失敗」もたくさんしてきています。失敗によって成功への道筋を明確に理解できるのですから、結晶知能を高めることにシニアが若者よりも有利なのは、当然といえば当然なのです。
シニアがさらに結晶知能を高めるには、したがって、失敗を恐れず、新たな経験をどんどん積み重ね、進取の精神で学習をしていくことが大切なのです。
結晶知能は経験という学習によって高まる知能ですから、トライ&エラーを繰り返すことが、結晶知能を高める秘訣でもあります。
若者よりも圧倒的に「トライ=経験」が豊富なシニアですが、同時に「エラー=失敗」もたくさんしてきています。失敗によって成功への道筋を明確に理解できるのですから、結晶知能を高めることにシニアが若者よりも有利なのは、当然といえば当然なのです。
シニアがさらに結晶知能を高めるには、したがって、失敗を恐れず、新たな経験をどんどん積み重ね、進取の精神で学習をしていくことが大切なのです。
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佐藤眞一先生が会長を務める老年行動科学会のホームページは、こちらからご覧になれます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsbse/
日本老年行動科学会は、高齢者心理の研究者、医療・看護等の専門家、高齢者ケアの実践者等、様々な人々が集い、高齢者の徘徊や行動障害など心の問題に根ざした課題の解明に努め、高齢者の行動・生活改善とケアの向上に取り組んでいます。
現在、月例の高齢者ケースワーク研究会(ACS)、ACSのノウハウを基にした老年行動科学講座を開設しています。