冒険する心
神奈川県・鈴木千介さん(77歳)
ホスピス・ボランティアを通じて
私は、1930年(昭和5年)生まれの77歳です。今から17年前に妻をがんで亡くしました。都内の病院の一般病棟でしたが、そちらでお世話になった医師、看護師の方々のケアは、今のホスピス病棟に勝るとも劣らぬ心のこもったものでした。
現在、神奈川県西部にあるピースハウス病院というホスピスで、ボランティアをしています。妻がお世話になったご恩を、別の病院で“お返し”しているのです。1993年の開院以来ですから、もうすぐ15年、ボランティアの時間も6000時間を超えました。
富士を望み、豊かな自然のなかで静かに最期の日々をすごしていらっしゃる患者さん、看守るご家族、それを支える70人のスタッフ、100人のボランティア。いろいろな境遇の方がいらっしゃいますが、私と同年輩の方々の、その方らしい日々のご様子を垣間見て、思うところが多々あります。
15年近くもボランティアを続けられたのは、毎週の無償の奉仕活動に対して、人生とは何か、家族とは何かといったことについて深く考えるキッカケを頂くという無形の得るものが大きいからです。すなわち、与えるより与えられるものの方がはるかに大きいからなのです。
自動車の設計開発者として20年余り勤め、その後転職して、意思決定の方法論のコンサルティングに20年携わり…そんな仕事一色だった人生の後に、こんなに豊かで心に触れる日々がおとずれるとは思ってもみないことでした。
「あなたが無為に過ごした今日の一日は、昨日死んだ人が必死に生きたかった一日でもあるのです」は、最近聞いたことばですが、私の胸を打つものの一つです。
今、日本で亡くなる方の3分の1を占めるがんの最期に大きな助けとなるホスピス、緩和ケアについては、まだまだ知られていない上、正しい認識もされていないのが現状です。少しでも多くの方々に、ご自分がどんな生き方をし、どんな死に方をしたいのか、生と死を正面に見据えて考えていただきたいと思います。
現在、神奈川県西部にあるピースハウス病院というホスピスで、ボランティアをしています。妻がお世話になったご恩を、別の病院で“お返し”しているのです。1993年の開院以来ですから、もうすぐ15年、ボランティアの時間も6000時間を超えました。
富士を望み、豊かな自然のなかで静かに最期の日々をすごしていらっしゃる患者さん、看守るご家族、それを支える70人のスタッフ、100人のボランティア。いろいろな境遇の方がいらっしゃいますが、私と同年輩の方々の、その方らしい日々のご様子を垣間見て、思うところが多々あります。
15年近くもボランティアを続けられたのは、毎週の無償の奉仕活動に対して、人生とは何か、家族とは何かといったことについて深く考えるキッカケを頂くという無形の得るものが大きいからです。すなわち、与えるより与えられるものの方がはるかに大きいからなのです。
自動車の設計開発者として20年余り勤め、その後転職して、意思決定の方法論のコンサルティングに20年携わり…そんな仕事一色だった人生の後に、こんなに豊かで心に触れる日々がおとずれるとは思ってもみないことでした。
「あなたが無為に過ごした今日の一日は、昨日死んだ人が必死に生きたかった一日でもあるのです」は、最近聞いたことばですが、私の胸を打つものの一つです。
今、日本で亡くなる方の3分の1を占めるがんの最期に大きな助けとなるホスピス、緩和ケアについては、まだまだ知られていない上、正しい認識もされていないのが現状です。少しでも多くの方々に、ご自分がどんな生き方をし、どんな死に方をしたいのか、生と死を正面に見据えて考えていただきたいと思います。
ミニ・ハウスの製作
私の中で、作る際に実行しようと決めたポリシーは、(1)たった一人で作る、(2)なるべく安く作る、の2つですが、(1)の“たった一人で作る”ためには、ちょっと材料の片方を持ってもらうなどの助けも借りない訳ですから、設計から段取りまでいろいろな工夫が必要です。頭の体操にもなりますし、重い材料を工作するのはいい運動です。
小さな部屋ですが、基礎から棟上げ、屋根葺き、外装から室内の壁塗り、御影石張りまで、すべての職種が体験できて、創造力、技術力、体力を刺激する絶好のオモチャです。出来上がったら、中で瞑想? いや、居眠りかな。
こんな生活がいつまで続くかわかりませんが、老後元気でいられるのは好奇心のおかげだと思っています。
Sense of Adventure―冒険心―
“好奇心”と言えば、先に書いた2番目の仕事−コンサルティング−に転職したとき、その会社(外資系)の創立者である会長の「どうしてこの会社に移ろうと思ったのか」という質問に「Curiosity (好奇心)」と答えたところ、彼は笑って「そういう場合は、Sense of Adventure (冒険心)と言った方がいいよ…」と返ってきた言葉に、「なるほど」と思わず、感心してしまいました。
歳をとっても“Sense of Adventure”―冒険心―があれば、いつまでも若くいられるものではないでしょうか。
歳をとっても“Sense of Adventure”―冒険心―があれば、いつまでも若くいられるものではないでしょうか。
(2007年8月16日)