大変さばかり強調されることの多いケアマネジャーの仕事。でも、そのなかには、大変さ以上の魅力がつまっています。「難しい……」を「面白い!」に変えるヒントを一緒に探していきましょう。
最終回 自己決定を支えていこう
この連載もいよいよ最終回になってしまいました。最後として、ケアマネジャーならいつでも考えていてほしいこんなテーマを取り上げてみますので、一緒に考えてくださいね。
これまでの連載をとおして、皆さんの日々の仕事にヒントにしていただきたいことを書いてきました。最後にもう一度強調したいのは、私たちの仕事は誰のためにあり、そこで決定権を持つのは誰なのかということです。
皆さんは、目の前のご利用者や家族のことを考えるあまりに、あるいは理解したからこそ、自身の思いを優先させてしまうことはありませんか?対人援助の場面では、「〜すればもっと楽になっていただけるから」「〜すればきっと○○ができるようになるから」「一番いい方法は〜だ」と決めてしまい、知らず知らずにその方向へ誘導してしまうことがあります。
方針を持つことを否定しているのではないので、もう少しおつき合い下さいね。ここで危ないのは、皆さんが一所懸命であればあるほど、相手の方はその方針に「否」といえなかったり「こんな形にしていきたい」と言いにくい状況を作ってしまうということなのです。
自己決定が大事だと言うことはよくご存じですよね。皆さんがプラン等を示す際には、「これでよろしいですか?」「はい、お願いします」というやりとりを 必ず行っていると思います。しかしそれがその方にとって本心からの自己決定でない場合があることを理解しておいていただきたいのです。
何を回りくどいことを言っているのかって? ちょっと自分自身を振り返ってみれば分かることですが、相手が自分のために言うことって反対しにくいですよね。例えば、親が良かれと思って言う小言(?)に、一応聞く振りだけはしませんでしたか? 「(小言を言われている)今」という瞬間が過ぎ去るのを期待して、何を言ってるかなんて考えてもせずに、「はいはい」と頷いた経験のことです。また、こんなこともありませんでしたか? 言われた通りにして結果が出なかったときには、自分が決めたんじゃないから責任はない、って言い訳したり(笑)。
利用者や家族も同じだと思うのです。もしあなたがあまり熱心でもなくいい加減であれば、はっきり文句も言いやすいし断りやすいでしょう。でもあなたが真面目で一所懸命なとき、または相手の方がご自分の中で何が良いか決められずにまだ揺れているときには、差し出された提案に、「はい」と言ってしまうのです。そして、期待した結果が出ないときの責任も取りたくない(取れない)のです。
じゃあどうしろって言うんだ!という声が聞こえてきそうです。私は、人間というものはいつも変化し続けていくものだと思っています。だから利用者や家族の決心や希望も変わって良い、と思うのです。私たちが努力するのは、この決定が本心からのものかを問い続けていくことと、変化しても良いという確信を持って、その変化に寄り添おうとする姿勢です。そうすれば、もし私たちが自分の判断や意向を優先した事があったとしても、あとからそれをご本人の自己決定としていただけると思います。
この仕事で100点というのは難しいことです。常に満点を目指すのではなく、自分自身を見つめ、自分のできることとできないことを認めて努力し続ける、そんな素敵なケアマネジャーであり続けて下さいね。皆さまの活躍をお祈りしています。これまでおつき合いありがとうございました。と、感謝の言葉を述べたばかりですが、次回からはケアプランについての新連載をスタートします! 現場で使えるものを考えていくつもりですので、こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。最後はちょっと宣伝になってしまいましたね(笑)。
これまでの連載をとおして、皆さんの日々の仕事にヒントにしていただきたいことを書いてきました。最後にもう一度強調したいのは、私たちの仕事は誰のためにあり、そこで決定権を持つのは誰なのかということです。
皆さんは、目の前のご利用者や家族のことを考えるあまりに、あるいは理解したからこそ、自身の思いを優先させてしまうことはありませんか?対人援助の場面では、「〜すればもっと楽になっていただけるから」「〜すればきっと○○ができるようになるから」「一番いい方法は〜だ」と決めてしまい、知らず知らずにその方向へ誘導してしまうことがあります。
方針を持つことを否定しているのではないので、もう少しおつき合い下さいね。ここで危ないのは、皆さんが一所懸命であればあるほど、相手の方はその方針に「否」といえなかったり「こんな形にしていきたい」と言いにくい状況を作ってしまうということなのです。
自己決定が大事だと言うことはよくご存じですよね。皆さんがプラン等を示す際には、「これでよろしいですか?」「はい、お願いします」というやりとりを 必ず行っていると思います。しかしそれがその方にとって本心からの自己決定でない場合があることを理解しておいていただきたいのです。
何を回りくどいことを言っているのかって? ちょっと自分自身を振り返ってみれば分かることですが、相手が自分のために言うことって反対しにくいですよね。例えば、親が良かれと思って言う小言(?)に、一応聞く振りだけはしませんでしたか? 「(小言を言われている)今」という瞬間が過ぎ去るのを期待して、何を言ってるかなんて考えてもせずに、「はいはい」と頷いた経験のことです。また、こんなこともありませんでしたか? 言われた通りにして結果が出なかったときには、自分が決めたんじゃないから責任はない、って言い訳したり(笑)。
利用者や家族も同じだと思うのです。もしあなたがあまり熱心でもなくいい加減であれば、はっきり文句も言いやすいし断りやすいでしょう。でもあなたが真面目で一所懸命なとき、または相手の方がご自分の中で何が良いか決められずにまだ揺れているときには、差し出された提案に、「はい」と言ってしまうのです。そして、期待した結果が出ないときの責任も取りたくない(取れない)のです。
じゃあどうしろって言うんだ!という声が聞こえてきそうです。私は、人間というものはいつも変化し続けていくものだと思っています。だから利用者や家族の決心や希望も変わって良い、と思うのです。私たちが努力するのは、この決定が本心からのものかを問い続けていくことと、変化しても良いという確信を持って、その変化に寄り添おうとする姿勢です。そうすれば、もし私たちが自分の判断や意向を優先した事があったとしても、あとからそれをご本人の自己決定としていただけると思います。
この仕事で100点というのは難しいことです。常に満点を目指すのではなく、自分自身を見つめ、自分のできることとできないことを認めて努力し続ける、そんな素敵なケアマネジャーであり続けて下さいね。皆さまの活躍をお祈りしています。これまでおつき合いありがとうございました。と、感謝の言葉を述べたばかりですが、次回からはケアプランについての新連載をスタートします! 現場で使えるものを考えていくつもりですので、こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。最後はちょっと宣伝になってしまいましたね(笑)。