大変さばかり強調されることの多いケアマネジャーの仕事。でも、そのなかには、大変さ以上の魅力がつまっています。「難しい……」を「面白い!」に変えるヒントを一緒に探していきましょう。
第8回 こんなことしていませんか?(3)「視線の先は手元の資料とノートだけ!?」
ご自宅を訪問して利用者・家族とお話をしている時、あなたはどこを見ていますか?
「もちろん相手の様子を観察し、アセスメントしています」って? その時、あなたの視線はどこを向いていましたか?
アセスメントと称していろいろと尋ねながら、その回答を必死にシートに記入しているあなたを、本人や家族はどんな表情で見ていたのでしょうか?
「こんな表情でした」と答えられた方は合格です。相手の方に注意を向け、ちゃんと観察していたことが分かります。でも、「えっ?」と相手の表情が浮かばなかった方は、ちょっと耳を貸して(じゃなくて、目かな?)ください。
私たちケアマネジャーは、専門家として利用者・家族に接することになります。その役目を果たすために、私たちは資料や記録を残すためのノートやシートを持参して訪問します。でも、常に視線の先にあるのが資料やノートだけ、では困ります。プロとして情報の記録はとても重要なことです。しかし面接は、情報をとって記録するためだけの場ではありません。最も大切なことを見失っては、予期せぬ結果──信頼関係を築けないということ──をもたらす可能性があるのです。
私たちが相手にするのは、「下肢筋力の状態」や「ADLの自立度」ではありません。一人ひとりの人間です。ですから、「下肢筋力の状態」や「ADLの自立度」に関して、目の前にいる方がどんなことを問題と感じ、どんなふうに暮らしたいと思っているのか、これができないことが悲しい、腹立たしい──この、相手の思っていることや感じていることがケアマネジャーにとって一番大切な情報なのです。
人は、成長するにつれて自分の感情を正直に表現することをしなくなります。ましてや、他人の前に本心をさらすことなどなかなかできません。「思い」や「価値観」を言葉で伝えてくださる方はまれです。だからこそ私たちケアマネジャーには、自分自身の感性で相手の思いを受けとめ、それを言葉にして確認していく作業が要求されるのです。それこそがケアマネジャーとしてのプロの証だといえるでしょう。
たとえば「下肢筋力の状態をアセスメントする」とは、単に身体的状態を知ることではなく、それがどのように生活に影響を与え、また、そのことが本人や家族にとってどんな意味を持っているのかを知ることなのです。しかし、この「意味」は言葉にしにくいものでもあります。本人自身が気づいていない場合もあるのです。
この話が視線や信頼関係とどうつながるのかって? 私たちは自分を大切にしてくれる人には、安心して接することができますよね。自分に関心をもってくれる人には好意を抱きます。そうした相手には自然と信頼を寄せませんか? 実は、相手の存在を大切にしているかそうでないか、相手に関心をもっているかそうでないか、こうしたことは、視線をどこに向けるかなどの態度によって、確実に相手に届きます。あなたが何に関心をもっているかは、自然と伝わってしまうものなのです。「自分の(仕事の)ために一生懸命」なのか、「私を理解しようとしている」のか、それを感じとり、あなたが信頼に値する人物かどうか判断されてしまっているということです。
これは視線に限った話ではありません。言葉遣いは当然のこと、私たちの全身から発するさまざまなもの全てが、相手の方との信頼関係を決定づけるメッセージとなっているのです。面接の場では、ケアマネジャーが情報を得るだけでなく、利用者・家族もまた、ケアマネジャーがどのような人物かという情報をキャッチしているのです。
「もちろん相手の様子を観察し、アセスメントしています」って? その時、あなたの視線はどこを向いていましたか?
アセスメントと称していろいろと尋ねながら、その回答を必死にシートに記入しているあなたを、本人や家族はどんな表情で見ていたのでしょうか?
「こんな表情でした」と答えられた方は合格です。相手の方に注意を向け、ちゃんと観察していたことが分かります。でも、「えっ?」と相手の表情が浮かばなかった方は、ちょっと耳を貸して(じゃなくて、目かな?)ください。
私たちケアマネジャーは、専門家として利用者・家族に接することになります。その役目を果たすために、私たちは資料や記録を残すためのノートやシートを持参して訪問します。でも、常に視線の先にあるのが資料やノートだけ、では困ります。プロとして情報の記録はとても重要なことです。しかし面接は、情報をとって記録するためだけの場ではありません。最も大切なことを見失っては、予期せぬ結果──信頼関係を築けないということ──をもたらす可能性があるのです。
私たちが相手にするのは、「下肢筋力の状態」や「ADLの自立度」ではありません。一人ひとりの人間です。ですから、「下肢筋力の状態」や「ADLの自立度」に関して、目の前にいる方がどんなことを問題と感じ、どんなふうに暮らしたいと思っているのか、これができないことが悲しい、腹立たしい──この、相手の思っていることや感じていることがケアマネジャーにとって一番大切な情報なのです。
人は、成長するにつれて自分の感情を正直に表現することをしなくなります。ましてや、他人の前に本心をさらすことなどなかなかできません。「思い」や「価値観」を言葉で伝えてくださる方はまれです。だからこそ私たちケアマネジャーには、自分自身の感性で相手の思いを受けとめ、それを言葉にして確認していく作業が要求されるのです。それこそがケアマネジャーとしてのプロの証だといえるでしょう。
たとえば「下肢筋力の状態をアセスメントする」とは、単に身体的状態を知ることではなく、それがどのように生活に影響を与え、また、そのことが本人や家族にとってどんな意味を持っているのかを知ることなのです。しかし、この「意味」は言葉にしにくいものでもあります。本人自身が気づいていない場合もあるのです。
この話が視線や信頼関係とどうつながるのかって? 私たちは自分を大切にしてくれる人には、安心して接することができますよね。自分に関心をもってくれる人には好意を抱きます。そうした相手には自然と信頼を寄せませんか? 実は、相手の存在を大切にしているかそうでないか、相手に関心をもっているかそうでないか、こうしたことは、視線をどこに向けるかなどの態度によって、確実に相手に届きます。あなたが何に関心をもっているかは、自然と伝わってしまうものなのです。「自分の(仕事の)ために一生懸命」なのか、「私を理解しようとしている」のか、それを感じとり、あなたが信頼に値する人物かどうか判断されてしまっているということです。
これは視線に限った話ではありません。言葉遣いは当然のこと、私たちの全身から発するさまざまなもの全てが、相手の方との信頼関係を決定づけるメッセージとなっているのです。面接の場では、ケアマネジャーが情報を得るだけでなく、利用者・家族もまた、ケアマネジャーがどのような人物かという情報をキャッチしているのです。