大変さばかり強調されることの多いケアマネジャーの仕事。でも、そのなかには、大変さ以上の魅力がつまっています。「難しい……」を「面白い!」に変えるヒントを一緒に探していきましょう。
第9回 困難事例解決の手がかり
ケアマネジャーの話のなかには、「困難事例」という言葉がよく出てきます。皆さんは困難事例と聞くと、どんな利用者やケースを思い浮かべますか?
どこから手をつければいいのか迷うほど、いろいろな問題を抱えている方ですか? それとも支援をしていて大変だなぁと感じる方ですか? 支援をしていて、どうもずれを感じてしまう事例でしょうか? どのようなケースにしろ困難事例に処する際には、私はまず「誰が困っているの?」と考えます。利用者? 家族? サービス担当者? ケアマネ自身? 地域の人々? 困難を感じているのは誰なのでしょうか。
次に「何が大変か(困るか)?」を考えます。サービスを利用しても思ったような効果が現れない。ADLは向上しているのに、生活の実態は変化がない。利用者・家族からの要求に対応しきれない。サービス事業者から聞いたことと利用者・家族から聞いたことが食い違う。ケアプランの原案になかなか同意してくれない。説明しても理解してくれず、手間がかかる。一方的に話をされるので、時間ばかりかかってしまう。
すべて支援においてありがちなことですが、お気づきになりましたか? 上で挙げた大変さは、すべてケアマネジャーが困っていることばかりです。
実は、困難事例だと思っている事例の多くは、「ケアマネが困っている事例」ではないでしょうか? そして、困っている中身をよく見てみると、ケアマネジャーと利用者が充分に理解し合っていないためにもたらされることが多いと思いませんか。一つずつ見ていきましょう。
「サービスを利用しても思ったような効果が現れない」。誰にとっての効果なのでしょう。それは、利用者の望んだものでしたか? はっきりとした具体的な目標を持っていましたか? その目標は、利用者の実感に添うものでしたか? 例えば、通所リハに通って「下肢筋力を維持向上する」では、何をもって効果とするのか、それが生活の上で、どんなメリットをもたらすのかは分かりませんよね。これが「下肢筋力を向上させて、自力で庭を歩けるようになる」ならば、そしてそれを利用者が望んでいれば、きっと効果が現れるでしょうし、目標は下肢筋力の向上ではなく「庭を歩く(庭へ出られる)」ことだというのがはっきりすることでしょう。
「ADLは向上しているのに、生活の実態は変化がない」。これは、前例に挙げた目標が分からない場合の典型的な状況ともいえます。例えば、「下肢筋力の維持向上」が達成できたとします。しかし、それを実際の生活場面においてどう活かすかという関連が見えていないのでしょう。場合によっては、介護者が不安がって歩かせないことも考えられますし、具体的な身体の使い方や対応の仕方が分からないだけかもしれません。
「利用者・家族からの要求に対応しきれない」。この場合は、まず要求の中身の問題と、介護支援専門員の業務に関する共通理解の有無が関係してきます。きちんとケアマネジャーの仕事を理解しているにもかかわらず、その範囲を超える要求をしてくるのであれば、これまでのかかわり(前任者を含めて)を点検してみる必要があるでしょう。暗黙の了解のなかで範囲を超える要求を受け入れていたのかもしれません。どこまでなら越えることが出来るかを試されているのかもしれません。
「ケアプランの原案になかなか同意してくれない」。いくら専門職として最高の計画を立てたとしても、それが援助者の見方・考え方で作成されたものでしかなければ、利用者や家族は“自分のため”の計画とは思えないでしょう。まずは、相手の話を充分に聴いて、今感じている、その方が今感じていることに対応した計画を作ることです。
どうでしょう、困難事例の解決の手かがりは見つかりましたか?いわゆる困難事例といわれるケースには、自分自身を点検するだけでも解決できるものも多いと私は考えています(もちろん、それでも解決できない問題もたくさんあること、誰が取り組んでも結果は同じであるケースもあることは忘れてはなりません)。一番大切なことは、あきらめずに努力を継続していくことです。
どこから手をつければいいのか迷うほど、いろいろな問題を抱えている方ですか? それとも支援をしていて大変だなぁと感じる方ですか? 支援をしていて、どうもずれを感じてしまう事例でしょうか? どのようなケースにしろ困難事例に処する際には、私はまず「誰が困っているの?」と考えます。利用者? 家族? サービス担当者? ケアマネ自身? 地域の人々? 困難を感じているのは誰なのでしょうか。
次に「何が大変か(困るか)?」を考えます。サービスを利用しても思ったような効果が現れない。ADLは向上しているのに、生活の実態は変化がない。利用者・家族からの要求に対応しきれない。サービス事業者から聞いたことと利用者・家族から聞いたことが食い違う。ケアプランの原案になかなか同意してくれない。説明しても理解してくれず、手間がかかる。一方的に話をされるので、時間ばかりかかってしまう。
すべて支援においてありがちなことですが、お気づきになりましたか? 上で挙げた大変さは、すべてケアマネジャーが困っていることばかりです。
実は、困難事例だと思っている事例の多くは、「ケアマネが困っている事例」ではないでしょうか? そして、困っている中身をよく見てみると、ケアマネジャーと利用者が充分に理解し合っていないためにもたらされることが多いと思いませんか。一つずつ見ていきましょう。
「サービスを利用しても思ったような効果が現れない」。誰にとっての効果なのでしょう。それは、利用者の望んだものでしたか? はっきりとした具体的な目標を持っていましたか? その目標は、利用者の実感に添うものでしたか? 例えば、通所リハに通って「下肢筋力を維持向上する」では、何をもって効果とするのか、それが生活の上で、どんなメリットをもたらすのかは分かりませんよね。これが「下肢筋力を向上させて、自力で庭を歩けるようになる」ならば、そしてそれを利用者が望んでいれば、きっと効果が現れるでしょうし、目標は下肢筋力の向上ではなく「庭を歩く(庭へ出られる)」ことだというのがはっきりすることでしょう。
「ADLは向上しているのに、生活の実態は変化がない」。これは、前例に挙げた目標が分からない場合の典型的な状況ともいえます。例えば、「下肢筋力の維持向上」が達成できたとします。しかし、それを実際の生活場面においてどう活かすかという関連が見えていないのでしょう。場合によっては、介護者が不安がって歩かせないことも考えられますし、具体的な身体の使い方や対応の仕方が分からないだけかもしれません。
「利用者・家族からの要求に対応しきれない」。この場合は、まず要求の中身の問題と、介護支援専門員の業務に関する共通理解の有無が関係してきます。きちんとケアマネジャーの仕事を理解しているにもかかわらず、その範囲を超える要求をしてくるのであれば、これまでのかかわり(前任者を含めて)を点検してみる必要があるでしょう。暗黙の了解のなかで範囲を超える要求を受け入れていたのかもしれません。どこまでなら越えることが出来るかを試されているのかもしれません。
「ケアプランの原案になかなか同意してくれない」。いくら専門職として最高の計画を立てたとしても、それが援助者の見方・考え方で作成されたものでしかなければ、利用者や家族は“自分のため”の計画とは思えないでしょう。まずは、相手の話を充分に聴いて、今感じている、その方が今感じていることに対応した計画を作ることです。
どうでしょう、困難事例の解決の手かがりは見つかりましたか?いわゆる困難事例といわれるケースには、自分自身を点検するだけでも解決できるものも多いと私は考えています(もちろん、それでも解決できない問題もたくさんあること、誰が取り組んでも結果は同じであるケースもあることは忘れてはなりません)。一番大切なことは、あきらめずに努力を継続していくことです。