受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
一路白頭ニ倒ル
―留岡幸助の生涯―
―留岡幸助の生涯―
社会福祉の古典とされる一冊
2007(平成19)年に社会福祉士及び介護福祉士法が20年ぶりに改正されたことにより、2009(平成21)年度から社会福祉士の養成科目(受験科目)に「更生保護制度」が加えられました。これを契機として、罪を犯した人に対する福祉的な支援に関する書物が少しずつ発刊されるようになっています。このような新しい書物を購読し知識を吸収する一方で、社会福祉における罪を犯した人の支援を畢生の仕事とした先達の活躍を知り、現代にその遺功が息づいていることを感じとることも、現代に生き、今後、社会福祉を志そうとする人にとって大切なことと思われます。本書は、社会福祉を志そうとする人が先達の足跡を知り、更生保護を学ぶことの意義を考えるために適しており、資格取得に向けたモチベーション向上にも寄与すると思われ、おすすめの一冊です。
内容
本書は、明治・大正・昭和の時代に活躍された社会福祉事業の開拓者、留岡幸助先生の生涯が綴られた一冊です。社会福祉の古典とされており、既に絶版となっているものの、多くの図書館に所蔵されているため、比較的容易に手にとり、読むことができます。留岡先生がキリスト教精神のもと一貫して社会の底辺に目を注ぎ、監獄制度の改善や非行少年の感化事業に対して、座右の銘「一路白頭二倒ル」そのままに実践されたことを学び・知ることができます。「一路白頭二倒ル」とは、一つの道を白髪になるまで突き進むことを意味しています。この座右の銘をもちながら、非行少年を対象として「労働と教育との統合こそよく生きる人間を育てる」という理想のもと邁進された足跡が綴られています。
(北星学園大学 小柳達也)