受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法
おすすめの理由
若手社会起業家としてマスコミにも多く登場している著者。男性で子どもはいないにもかかわらず病児保育サービスNPOを立ち上げ、しかも学生時代はバリバリのITベンチャー企業経営者だったという。その人による「働き方」の本ということで興味をもち手に取りました。この本では、ワークライフバランスがなぜ大切なのか、ワーカーホリックがいかに生産性を下げ会社のためにもならないか、家族や恋人との関係を壊すかについて語られています。著者の体験がベースにあるのでとても読みやすく、ありがちな、価値観を押しつけてくる啓発書とは一線を画しています。ワークライフバランスというと、政策上のオピニオン色の強い言葉のように感じていたのですが、その本質的な意味について考えさせられました。
特に「働く」の定義を「傍を楽にする/他者に価値を与える」とすることにとても共感しました。残業を減らすのは、「自分の働く量を減らす」ためではなく、「自分の働く場を(会社一極集中させず、)家族や友人・地域・社会にむけて大きく広げる」ことと捉え直しています。
福祉業界でも、昨今は業務の合理化の必要が叫ばれていて、ときにそれは利用者をないがしろにしているかのように取られることもあります。しかし、援助する側が仕事と人生のバランスを取り、自分だけでなく家族や周囲の人を大事にできてこそ、利用者に対して本当の意味での援助が行えるとも言えるのではないでしょうか。
(H.K・社会福祉士)