受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
24人のビリー・ミリガン
おすすめの理由
この本を読んでいなくても、ビリー・ミリガンはメディアでもよく取り上げられているので、彼の名前を知っている人は多いのではないでしょうか。彼によって「多重人格」という言葉が広く知られるようになったと言っても過言ではないと思います。私がこの本を読んだのは、高校生のときでした。「多重人格」という言葉はすでに知っていたものの、他の人格が生まれる経緯、生まれた後の悲劇、そして人格を1つに戻すことの困難さを初めて知りました。
犯罪者として裁判にかけられるも、当時の記憶がまったくなく、とても演技とは思えない行動をとるビリーに翻弄される周囲の人びと。また、裁判の一方で、ビリーのなかに存在する24もの人格をどうやって1つに統合するか苦心する医師。そして苦しんだ末に自殺を図ろうとするビリー。
当事者とそれを取り巻く人々、支援者のそれぞれがさまざまな思いを抱えている様は、いま現在、福祉従事者として働く自分にとって身近に感じられることでもあります。援助を必要とする人と福祉従事者の関係、支援の困難さを伺い知ることができる作品だと思います。
(さくら MSW)