受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
「ケアを受けるプロ」からの熱いメッセージ
小山内美智子さんというお名前は聞いたことがありましたが、「重度の障害がある有名人」などという認識だけで、どのような人なのか、詳しくは知りませんでした。でも、今年の7月、偶然NHKで、小山内さんと元宮城県知事の浅野史郎さんのドキュメンタリー番組を見て、興味をもち、本書を手に取りました。本書のなかで、小山内さんは自分がケアについて日頃から思っていること、例えば排泄介助時に介助者にしてほしいことや性の悩みなど、なかなか言葉に出しづらいことを包み隠さず、はっきりと赤裸々に語られます。それだけでなく、援助者側の本音と建前にも容赦なく切り込まれるので、少しでも福祉にかかわったことのある人なら誰でも「グサリ」とくるくだりがたくさんあります。援助する側が、知らず知らずのうちにあるべき「障害者」像を作り上げ、それを強要していることに気づかされるのです。
10年以上前の本ですが、全く古さを感じさせず、福祉行政の問題などはあまり進歩がないようにすら思えます。福祉を志す方に一度は読んでいただきたい一冊です。
(介護老人福祉施設 MOさん)
内容
−いつも迷いをもってケアをしてください。これでいいのだと迷いがなくなった時、人は冷たいロボットのような手になってしまうのだ−自身も重度の障害がある著者が、“ケアを受けるプロ”として語る、まったく新しい介護論。