受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
夜と霧(新版)
V.E.フランクル=著、 池田香代子=訳
発行:みすず書房、2002年
価格:¥1,575
発行:みすず書房、2002年
価格:¥1,575
人が人として生きるということ
十年以上前、一度旧版を手に取ったのですが、収容所内の描写のあまりの悲惨さ残酷さ、なぜ同じ人間がこのようなことをしてしまうのかという怒りで、読む気力がなくなり途中で挫折してしまいました(そもそも、文章が難解で読解力がなかったせいもあるのですが…)。今回、改めて新版に挑戦してみましたが、だいぶわかりやすい表現に改変されていて、何とか読むことができました。本書は、第二次世界大戦中、心理学者である著者が、ナチスにより収容された強制収容所での体験が赤裸々に描かれていますが、ナチスの蛮行を暴いたり、戦争はしてはならないということだけでなく、人が生きるとはどういうことかについて強く突きつけてきます。どんな過酷な状況でも自分の人生とどう向き合い決断するか、その自由は誰にも奪えないこと、苦しみも死も含む、人生で起きるすべてが「生きる」ということであること、もう終わりだと決めるのも自分であること…。日々死に直面しながら過酷な状況で辛うじて生き残った著者の言葉には、とてつもない重みがありました。言わずと知れた名著ですが、人生について考える上でこれ以上のものはないと思います。
最後に、最も印象に残った一節を紹介します。
「人間とはなにものか、人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。」
(HARUさん 福祉事務所)