受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
橋のない川
おすすめの理由
かつての自分は、被差別部落ということについて想像をしたこともありませんでした。もちろん、歴史的に差別や貧困の問題があったことは、学校でも学び、事実として頭には入っていますが、どこか遠い世界のことのように漠然としか考えていませんでした。ですが、「橋のない川」の映画を観た時に、大きな衝撃を受けました。映画は、大学の授業で参考資料として紹介されていて、友人と借りて観たのが最初です。その後、本を買い求め、没頭して読みました。
福祉を学ぶなか、クライエントを理解することは、難しいことだとは思っていましたが、相手の立場に立つことは決してできないことではないと思っていました。
でも、この作品を読んで、私には想像力が足りなかったということを痛感し、今のままでは相手の立場に立つなんてとうてい無理だ、自分には「実感」が足りない、と考え直しました。
この作品に出会ってから、クライエントを理解するための技術の本当の意味がじわじわしみてきた気がしています。この作品があってよかった。
(T.Kさん・特別養護老人ホーム勤務 社会福祉士)
内容紹介
被差別部落を題材に、差別の悲惨さ、人間の醜さをリアルに描いた作品。著者である住井すゑが生涯のテーマとしていた題材であり、小説は1部から7部まで発行されている。発行部数は累計800万部を超え、大きな影響力を持った作品。2度にわたって映画化されながらも、様々な上映阻止運動があったことが知られている。