受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
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ヘルプマン
おすすめの理由
福祉の現状をてっとり早く理解するには、この漫画が一番ではないかと思います。テレビCMなどの「介護」はかなりスマートな感じでキレイに見えますが、『ヘルプマン』は、そういうウソくさい宣伝とは違い、生々しい現実が描かれています。
主に主人公として描かれているのは、高校を中退して介護の現場に入った恩田桃太郎と神崎仁。桃太郎は介護保険施設、グループホーム、訪問介護の介護士として活躍?しています。仁も最初は介護士でしたが、5巻から居宅ケアマネジャー、10巻では社会福祉協議会の社会福祉士となっています。
僕がこのヘルプマンと出会ったのは3年前で、老健で現場上がりの支援相談員をやっている頃でした。この頃に読んだ5巻〜7巻の“介護支援専門員編”は、ケアマネジャーが悩む姿がリアルに描写されていました。特に6巻(第55話)の最後の稲垣ケアマネの叫びは、誰もが一度は感じたことがあるものではないでしょうか。その姿が、現場と制度及び上司の板ばさみになっている自分と重なったこともあり、非常に共感したのを覚えています。
実際、この漫画の影響で居宅ケアマネジャーをやりたいと思い、後に介護支援専門員の資格を取得しました。
この漫画は一般の方には受け入れがたい場面もありますが、人として大事なものを教えてくれる心温かい漫画だと思います。今でもモチベーションが下がった時は、この漫画を読んで初心に戻るように心掛けています。
介護業界以外の人にも、この本をきっかけに介護の現状を少しでも知っていただければと思っています。
(伊賀上博之さん・介護老人保健施設ラ・クラルテ 支援相談員)