おすすめの理由

　いじめが原因で、非行や自殺未遂などに走った大平さんが、極道の妻という想像もできないどん底の環境から、大学も出ずに最難関の弁護士になるまでの生き様を書いた名著です。
　どんな状況にもくじけることなく取り組む姿は、生きることの意味を我々に問いかけてくれます。大平さんの文面には一分の高慢さもなく、ただ、生き抜くために、必死に歩み続けている姿に心が洗われます。
　そして、自分の悲しみや苦しみをばねとして、弁護士という権威をもって、いじめ問題に取り組む、まさに最高の福祉を、今も継続しているのです。彼女の孤独は図りしれないものであったでしょうが、それを決してマイナスとせず、プラスに転換して生きていく人生からは、神に等しいものを感じます。
　誰でも意志をつらぬけば、必ずそこに光が見える、そんな気持ちにさせてくれます。くじけそうになったとき、表紙の大平さんを見つめていると生きる勇気が与えられます。

内容

　本書は著者の大平氏が弁護士になるまでをつづったノンフィクション。大平氏は、中学２年のとき、いじめを苦にして自殺を図る。その後、非行に走り、16歳で極道の妻となる。22歳の時、現在の養父に出会い、立ち直るきっかけを得て少しずつ資格取得の勉強を重ね、29歳で国家試験最難関の司法試験に合格する。そしてその後は、自分と同じ人生を繰り返す人がいないようにと、少年犯罪等に力をいれた弁護士活動を続けている。