受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
支援があれば社会生活を送れる人たちの存在を痛感
獄窓記
おすすめの理由
この本は、書店で見かけてなんとなく読み始めた本でした。社会福祉士としても大きな影響を受けるとは思ってもいませんでした。山本譲司さんの刑務所生活。刑務所の外では考えられない不合理のまかり通る世界。そのことがわかるだけでも興味深いのですが、山本さんは、刑務所生活で指導補助として、障害をかかえた人たちの世話をするようになります。そこでは、他の受刑者とは違った扱いを受ける障害者の姿があり、まるで、介護者のように世話をする指導補助の姿がありました。
障害を持った受刑者の多くは、釈放されても身元引受人がいなかったり、出所後の生活の目途が立っていなかったりと、刑務所を出てもどう暮らしていけばよいかが見えず、再犯によって刑務所に逆戻りするケースも多いといいます。
私は、支援があれば社会生活が送れる人たちの存在を改めて痛感し、社会福祉士が関わっていくべき問題なんじゃないだろうかと感じました。視野を広く持っていなければと反省させられました。
『獄窓記』の影響で、多くの人たちが、塀の中の人たちの生活や人権に興味を持つようになりました。また、山本さん自身も、その後、刑務所の待遇改善等に関わっています。そういった意味でもとても意義深い本です。
(ゆうさん・社会福祉士)