受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
認知症の妻に夫が思い出を読み聞かせるラブストーリー
きみに読む物語
おすすめの理由
支援相談員として働き始めて数年後、公開された同タイトルの映画を観にいきました。終わった後は、号泣してしばらく席を立つことができませんでした。帰り道でも、ずっと映画のせつなさと温かさを後味として噛みしめていたことを覚えています。ストーリーは、認知症となった妻に自分のことを思い出してもらって、少しでも一緒の時を過ごしたいと願う夫が、今までの二人の思い出を読み聞かせながら妻と記憶の糸をたどっていくというラブストーリー。
なぜこの本(映画)をおススメするかというと、就職して数年後、一通り仕事内容が把握できるようになり、日常業務に追われる日々の中で、見失いかけていた大切なものを思い出させてくれたからです。
認知症とは? そのご本人・ご家族とは? 今まで歩んでこられた人生とは? そして今おかれている状況とは?
私が日常業務で携わっている方たちにも、こういった歴史があって今があるのだということをしみじみ感じました。その上で、私の援助業務は本当にそういったことを尊重できていたのだろうかと考えさせてくれるきっかけになりました。
この本は、援助技術の向上や資格取得のために、という内容の本ではありません。でも、今実際に仕事に就いておられる方や資格取得にむけて勉強中の方に、気分転換に読んでいただきたい一冊です。忘れかけている大切な何かが見つかるかもしれませんよ。
(みさとさん・支援相談員)